無脊椎生物の最近のブログ記事

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 シーラカンスの発見物語については、多くの方が、聞いたことがあるでしょう。シーラカンスは、もともと、化石しか発見されていませんでした。とっくの昔に、恐竜と一緒に、絶滅したと考えられました。それが、生きた個体が見つかり、大騒ぎになりました。
 こんな劇的な発見物語は、他にもあるでしょうか?
 あります。それも、私たちの住む日本で、つい最近、ありました。二〇一六年のことです。化石でしか知られなかった生物の、生きた個体が発見されました。
 それは、カタツムリの一種です。サルダアツブタムシオイガイという種名です。長い種名ですね。どういう意味なのか、わかりにくいです。意味に応じて区切れば、サルダ(猿田)アツブタ(厚蓋)ムシオイガイ(虫負貝)です。
 カタツムリの中に、ムシオイガイ科というグループがいます。貝殻に、小さな虫を背負っているかのような器官があるために、この名が付きました。ムシオイガイ科の中に、アツブタムシオイガイ属というグループがいます。石灰質の厚い蓋を持つグループです。
 サルダアツブタムシオイガイは、このアツブタムシオイガイ属の一種です。高知県の猿田洞という鍾乳洞で、化石が発見されたために、この種名になりました。
 化石が発見され、新種として名付けられたのは、二〇一二年のことでした。化石は、約三万三千年前のものだとされました。サルダアツブタムシオイガイについて発表された論文を読んで、「まだ、この種は絶滅していないかも知れない」と考えた人がいました。
 それが、高知県在住の高校の講師、矢野重文さんです。奥さんとお二人で、サルダアツブタムシオイガイが生息していそうだと目星を付けた所に行き、探しました。
 といっても、殻の直径が、わずか数mmという小さな貝です。よくぞ見つけたと思います。矢野さん御夫妻の「あきらめない心」に感心します。
 じつは、ムシオイガイ科のカタツムリでは、他にも、近年に発見された種がいます。徳島県のアナンムシオイガイです。新種として記載されたのは、二〇一三年のことです。この調子ですと、ムシオイガイ科の新種は、まだ、見つかるかも知れませんね。



 過去の記事でも、カタツムリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
絶滅種に、再発見の可能性はあるか?(2010/3/22)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/6/10)
カタツムリの殻は右巻き?左巻き?(2007/6/18)
日本の陰の昆虫王者? マイマイカブリ(2006/8/5)
ナメクジは塩をかけると溶ける?(2006/6/23)

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 寒い日々が続きますね。でも、春は、もうそんなに遠くありません。今回は、ひと足早く、春を感じるイベントを紹介しましょう。国立科学博物館の、二つの企画展です。
 一つは、「花粉と花粉症の科学」です。せっかくの春でも、花粉症のために憂鬱【ゆううつ】という方も、いらっしゃるでしょう。スギ花粉症は、今や、日本の国民病といわれるほどですね。このために、「花粉」全体の印象が、悪くなってしまいました。
 本来、花粉は、ヒトにとって害になるものではありません。植物にとって、繁殖に必要な、大切なものです。花粉は、ヒトにも役に立っています。じつは、大昔から、ヒトは、花粉を食べています。蜂蜜の中に、花粉が混ざっているからです。
 近年では、花粉は、サプリメントに使われることもあります。花粉は、とても栄養バランスが良く、完全栄養食に近いからです。また、一部の植物の花粉は、薬にも使われます。例えば、ガマの花粉が、火傷に効くことは、昔から知られています。
 企画展の会場では、この他にも、花粉について、いろいろ知ることができます。
 もう一つの企画展は、「小笠原国立公園」です。東京都内にあるにもかかわらず、亜熱帯の島々ですね。真冬でも、春のようです。ここの貴重な自然を、紹介しています。
 小笠原では、ザトウクジラのホエールウォッチングが、著名な観光資源になっていますね。会場では、ザトウクジラの「ひげ」に、触ることができます。ザトウクジラの口の中に生えている「クジラひげ」です。これを使って、クジラは餌を取ります。
 ザトウクジラ以外にも、小笠原には、希少な生き物が、たくさんいます。とりわけ、小さな昆虫や無脊椎動物に、固有種が多いです。固有種にとっては、世界中で小笠原諸島だけが、すみかです。中には、野生で一株しか確認されていない植物もあります。
 固有種だけが、大事なわけではありません。本土と同じ種がいる場合でも、小笠原の個体群が、本土の同種の個体群とは、違う習性を持つことがあります。
 それは、小笠原諸島という、特殊な環境に適応した結果だと考えられます。日本が誇る小笠原の自然は、こういった種も含めて、構成されています。


 過去の記事でも、花粉について取り上げています。また、小笠原の生物についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
交流は限定的? 小笠原諸島の鳥たち(2016/5/6)
再来なるか? ニシノシマホウキガニ(2015/7/10)
いろいろと役立ちます、ガマ(蒲)(2012/8/24)
小笠原諸島のトカゲたち(2011/9/26)
ユリの仲間は、チョウと仲良し?(2011/8/5)

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 ノミ(蚤)は、吸血するために、ヒトに憎まれる昆虫ですね。彼らは、ヒト以外に、イヌやネコやネズミなどの哺乳類に付きます。ところが、海の中にも、ウミノミ(海蚤)と呼ばれる生き物がいます。昆虫のノミが、海にも棲むのでしょうか?
 そうではありません。ウミノミは、昆虫のノミとは、まったく違う生き物です。詳しく分類を書けば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】クラゲノミ亜目【あもく】に属するものたちです。
 クラゲノミ亜目という分類名から、ウミノミの仲間は、クラゲノミ類とも呼ばれます。この名のとおり、海の中で、クラゲに付着して生活する種が多いです。クラゲ以外に、サルパ―脊索【せきさく】動物の仲間―など、海中を漂う生物に付く種も、多いです。
 クラゲやサルパに付着して、ウミノミは、昆虫のノミのように、体液を吸うのでしょうか? これについては、わかっていません。ウミノミの仲間は、研究が進んでいないため、生態がわかる種が、少ないのです。何を食べるかさえ、不明な種が多いです。
 クラゲやサルパに付着せず、自由に海中を漂って生活するウミノミもいます。そのような種は、クラゲやサルパに付着する種に比べて、体が透明なことが多いです。
 それには、理由があります。隠れるところのない海中で、敵から逃れるためには、敵から見えにくくなることが有利です。体を透明にすれば、周囲の海水に溶け込んで見えるため、敵に見つかりにくくなります。
 最近の研究で、ウミノミの一部には、より透明に見えるように、特別な構造を持つものがいることが、わかりました。フクロウミノミ科フクロウミノミ属の一種です。
 その種は、脚に、ナノ突起という微小な突起が、びっしりと生えています。この突起は、ヒトの肉眼で見える大きさではありません。ヒトの肉眼で見ると、この突起は、光の反射を弱める働きがあります。つまり、体表の反射を抑えて、より見えにくくしています。
 これは、昆虫のガ(蛾)が持つ「モスアイ構造」と、同じものです。モスアイ構造は、以前、このブログで取り上げましたね(ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10))。



 過去の記事で、海中を漂って暮らす生き物を取り上げています。また、モスアイ構造についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
セミの翅【はね】の秘密(2016/7/22)
ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/4/1)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
サルパとは、どんな生き物?(2007/5/31)

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