陸に棲むのに肺がないハコネサンショウウオ

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両生類は、幼生が水中に棲み、成体が陸に棲むことが知られていますね。「おたまじゃくしはカエルの子」と歌われるとおりです。成長して水から陸に上がる過程で、両生類の体は激変します。でないと生きられません。
 例えば、私たちヒトは陸に棲みます。水中では息ができませんね。空気を呼吸する肺は、水中で使えないからです。また、魚は水中に棲みます。陸では生きてゆけませんね。水中の呼吸に役立つ鰓【えら】は、空気を呼吸できないからです。
 両生類は、このように異なる環境を生き抜きます。幼生の間は鰓で呼吸します。成体になると、陸に上がるために鰓が退化します。代わりに肺が発達して、空気を呼吸できるようになります。
 ところが、両生類の中には、成体になっても肺が発達しない種がいます。日本にいるハコネサンショウウオなどがそうです。成体のハコネサンショウウオは、ちゃんと陸で暮らしています。どうやって呼吸しているのでしょう?
 彼等は皮膚で呼吸をしています。肺という呼吸専用器官を使いません。
 これは、ハコネサンショウウオの体が小さいためにできることです。ヒトのように大きな生き物では、皮膚だけで体を維持する分の呼吸ができません。
 呼吸するには、皮膚を湿った状態に保たなければなりません。乾燥しやすい陸では大変なことです。このために、ハコネサンショウウオは湿気の多いところに棲み、日光に当たらないように夜行動しています。
 陸に棲むのに、肺がないのは不便そうですね。ハコネサンショウウオが、なぜこんな生活を選んだのかはわかりません。日本の他のサンショウウオは、みな肺を持っています。外国には、ハコネサンショウウオと同様に肺を持たない種が多いようです。
 両生類は、水中と陸上とで暮らすため、両方の環境が整っていないと生きられません。ハコネサンショウウオの場合ですと、水のきれいな山地の渓流が必要です。肺を持たない不思議なサンショウウオが、いつまでもいられる環境を守りたいですね。


図鑑には、ハコネサンショウウオが掲載されています。ぜひご利用ください。

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このページは、松沢千鶴が2005年10月10日 05:53に書いたブログ記事です。

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