2005年12月アーカイブ
ダイダイは、お正月に大活躍する果物ですね。注連【しめ】飾りに付けられたり、鏡餅(お供え餅)に載せられたりします。橙【だいだい】色という言葉ができたように、鮮やかな彩りで目を楽しませてくれます。
見た目が美しいだけなら、他にもいろいろな果実がありますよね。なぜ、ダイダイばかりがお正月飾りにされるのでしょう?
ダイダイの実は、熟してもなかなか落ちません。一つの実が、二年も三年も木に付いています。面白いことに、一度「橙色」に熟した実が冬を越し、夏を迎えると、緑に戻ります。次の冬には、再び橙色になります。
そんなわけで、ダイダイの木には、常に新旧の果実が付いています。「代々の実が付いている」ことから、ダイダイと名付けられました。「代々、繁栄するように」という語呂合わせにより、果実が縁起ものとして使われます。
ダイダイは、日本のお正月風景に欠かせませんね。ところが、原産地は日本ではありません。インドのあたりです。中国を経て、今から千九百年ほども昔、日本に渡来したと考えられています。当時は、伝説の不老長寿の薬と思われたようです。
ダイダイの実は、酸っぱすぎて食べられません。果汁からお酢を作ったり、果皮や未熟な果実を漢方薬にしたりします。そういう用途のために、はるばる外国から持ち込まれたようです。ビタミンCが多い果実は、古代には貴重な食材・薬材でした。
南アジアのダイダイの祖先は、東へ移入されて今のダイダイになりました。一方、西へ移入されたものもあります。こちらは地中海沿岸まで行き着き、サワーオレンジsour orangeと呼ばれるようになりました。そのものずばり、酸っぱいオレンジという意味ですね。サワーオレンジは、今ではスペインのセヴィーリャの名産です。マーマレードの原料として、たくさん作られているそうです。
日本のダイダイの「兄弟」が、遠いスペインの空の下に実っているなんて、想像するとロマンティックかも知れません。
図鑑には、ダイダイは残念ながら載っていませんが、ダイダイの仲間のナツミカン、レモンが掲載されています。ぜひご利用ください。
イセエビは、日本人にとても好まれる食材ですね。お正月や結婚式など、おめでたい席に使われます。お供え餅(鏡餅)に添えられることも多いですね。
祝宴にイセエビが出されるのは、美味しいからだけではありません。その姿に理由があります。ぴんと張ったひげと、曲がった腰(実際はエビの腹です)が老人を思わせるため、長寿の象徴とされました。エビを漢字で「海老」と書くのは、ここに由来します。
中でもイセエビが尊ばれるのは、殻【から】が硬くて立派だからです。殻を鎧兜【よろいかぶと】にたとえて、「グソクエビ」という別名があります。具足【ぐそく】とは鎧兜のことです。武者を思わせる姿から、特に武家で尊ばれました。
昔、お正月の武家では、鎧兜にお供え餅をあげて、「具足餅」と称しました。今、鏡餅にイセエビ(グソクエビ)を添えるのは、その名残かも知れません。
武者に似たイセエビは、本当に強いのでしょうか? 大型のイセエビは、無敵のように見えますね。ところが、実際には敵だらけです。
子供の頃のイセエビは、とても弱い存在です。卵から生まれた時、イセエビは殻を持っていません。半透明の薄い葉のような形をしていて、親とは全然違います。この時期の幼生をフィロソマといいます。フィロソマは、海中を漂って暮らします。
一年ほどフィロソマとして過ごすと、小さなエビ型に変態して、海底で暮らすようになります。この時期の幼生はプエルルスと呼ばれます。
フィロソマもプエルルスも、強力な武器を持っていません。そのため、ほとんどのイセエビは、これらの時期に他の生き物に食べられてしまいます。
やっと成体になっても、安心できません。大きなイセエビにも、タコという天敵がいます。くにゃくにゃしたタコより、イセエビのほうが強そうですよね。けれども、イセエビはタコに全くかないません。八本の腕で押さえ込まれてしまいます。
イセエビとタコは、海中では敵同士です。でも、おせち料理に仲良く並んでいますね。一番食いしん坊で強い生き物は、やはりヒトでしょう。
図鑑には、イセエビが掲載されています。ぜひご利用ください。
象や馬は、どうして立ったまま眠るのですか?
象や馬などの野生の草食動物が立ったまま眠るのは、眠っている間に敵に襲われた場合にも、すぐに逃げられるようにするためです。象や馬も、いつも立って眠るわけではありません。できれば坐って眠りたいようです。特に馬は立って眠るとよく言われますが、飼われている馬はちゃんと坐って眠ります。安全が確保されている場所でなら、どの草食動物も坐って眠るのが普通のようです。野生の象や馬でも、子供のうちは親が見張っていてくれるので坐って眠ります。
その他、哺乳類の眠りについてのQ&A記事へ
●キリンは、どのように眠るのですか?
先日ヘビの呼吸のことで伺いましたが、知人がヘビのうろこのところにある穴からも呼吸できると教えてくれました。うろこの穴ってどんな仕組みになってるのですか?教えてください。
「へびがうろこにある穴から呼吸できる」というのは、皮膚呼吸のことを指しているのではないでしょうか?ヘビやヒトを含む全ての脊椎動物は、鰓や肺以外に、皮膚でも呼吸しています。脊椎動物の皮膚には目に見えない小さな穴がたくさん開いていて、そこから酸素を取り込んでいます。ですから、皮膚が全く空気に触れないように全身に塗料のようなものを塗ってしまうと、脊椎動物は窒息して死んでしまいます。「ヘビのうろこにある穴」というのは、おそらくこの皮膚呼吸に使われる小さな小さな穴のことでしょう。だとしたら、この穴は小さすぎて残念ながら肉眼では見えません。
その他、ヘビのQ&A記事やコラムへ
●ハブはなぜ危険か?
●へびはどのように息をしているのですか?
●草や木の実をたべる蛇がいるのか?
●ニシキヘビの危険度は?
来年は戌【いぬ】年ですね。年賀状の犬の絵をどうするか、悩んでいる方も多いでしょう。ここぞとばかりペット自慢をする方もいらっしゃるでしょうね。
イヌは最古の家畜です。はっきり「イヌ」といえる化石のうち、最も古いのは、一万四千年ほど前のものです。ドイツで発見されました。
家畜というより、イヌは人類の友というにふさわしいですね。ヒトを救ったイヌの話は、枚挙にいとまがありません。こんなに人懐こい動物がなぜ生まれたのか、不思議ですよね。この問題は、昔から議論されてきました。
これまでに、イヌの祖先に関しては、オオカミ説、ジャッカル説、コヨーテ説などが唱えられました。現在では、イヌの祖先はオオカミであると確定されています。
いつ頃、どこでオオカミがイヌになったのかは、まだわかっていません。時代を確定しにくいのは、初期のイヌがオオカミそっくりだからです。それらしき化石が見つかっても、初期のイヌなのかオオカミなのか、区別できません。
どこで家畜化されたかについても、的を絞るのは難しいです。オオカミの分布はとても広く、ほぼ北半球全域にわたるからです。現在のところ、西アジア(中近東)という説と、東アジア(中国周辺)という説が有力です。
一番の謎は、「なぜ、オオカミはヒトに近づいて、イヌになったのか」でしょう。これについても様々な説があります。どの説でも挙げられるのは、「ヒトもオオカミも、群れ(家族)で生活する」共通点があることです。
本当のオオカミは、おとぎ話の残忍な狼とは違います。愛情深く、群れ(家族)の絆が強く、助け合って暮らします。ヒトも、同じように家族で助け合って暮らしますね。似たような生活ですから、オオカミは馴染みやすかったことでしょう。
異種でも仲間だと認識できる能力がオオカミにあるのは、驚くべきことです。その寛容さと愛情深さが、オオカミをイヌに変えたのでしょう。仲間内で争いが多い人間は、彼らの寛容さと愛情深さを見習うべきかも知れません。
クリスマスには、いろいろな植物が飾りに使われますね。中の一つがセイヨウヒイラギです。ぎざぎざの葉と赤い実が付いた枝が、クリスマスケーキなどに付いていますよね? あれがそうです。日本では、生きている本種ではなくて人工の模造品が用いられることが多いですね。
セイヨウヒイラギと、日本に生えるヒイラギはそっくりです。ところが、この二種は全く違う種です。いわば「他人の空似」なのですね。
セイヨウヒイラギはモチノキ科モチノキ属に属します。春に白っぽい花を咲かせ、晩秋から冬にかけて赤い実をならせます。日本には自生しません。ヨーロッパや西アジアに分布します。日本には、近縁種のクロガネモチ、モチノキなどが分布します。
セイヨウヒイラギは常緑樹です。冬でも青々と葉が茂っています。クリスマスの頃には、ちょうどそこへ鮮やかな赤い実が付きます。生命力に溢れた姿が、クリスマスの飾りにふさわしいとされたようです。
一方、日本のヒイラギは、モクセイ科モクセイ属に属します。晩秋から冬にかけ、白っぽい花を咲かせます。ギンモクセイの近縁種なので、同様に香りが良い花です。翌年の初夏に、黒っぽい果実がなります。ヨーロッパには分布しません。関東地方以西の日本各地に自生します。
日本のヒイラギも行事に利用されます。皆さん御存知の節分ですね。その夜、ヒイラギの枝が戸口に挿されます。常緑で棘のある葉が、邪鬼を追い払うとされるからです。
花期も果期も分布も、ヒイラギとセイヨウヒイラギは全く異なります。けれども、常緑樹であることと、葉が棘だらけなことが同じです。真冬に生命力に溢れ、棘で武装した姿が、両種とも神秘的に見えたのでしょう。ヒイラギはいかめしい姿が重視されて魔除けに、セイヨウヒイラギは果実の鮮やかさが重視されて豊饒の象徴にされたと想像できます。
昔の人は、厳しい冬を無事に乗り切ろうとして、植物の生命力に祈りを託したのでしょう。純粋なヒトの心は、洋の東西を問いませんね。
サンタクロースは、いまや世界中の人が知っているクリスマスの妖精ですね。彼がトナカイのそりに乗ることも知られています。なぜ、サンタクロースのそりを牽【ひ】くのはトナカイなのでしょうか?
それは、彼の故郷が、トナカイのすみかと一致するからのようです。サンタクロースの故郷には諸説があって、デンマーク領グリーンランドだとか、フィンランドだとかいわれます。どの説でも、そこではかつてトナカイそりが重要な交通手段でした。サンタクロースは、その伝統を受け継いでいるようです。
トナカイが棲むのは、北極圏やそれに近いとても寒い地域です。そういう地域には、ツンドラと呼ばれる荒野が広がっています。冬のツンドラは雪に閉ざされます。夏になると、凍った土が溶けてどろどろになります。雪の上や泥の上はとても歩きにくいですね。自動車や馬車を走らせることもできません。
トナカイは、ツンドラをすいすい歩くことができます。彼らの足の蹄【ひずめ】は大きく広がって、雪の上でも泥の上でも、沈まないで歩けます。トナカイが牽くそりでなければ、ツンドラを進むことはできませんね。
トナカイには、他のシカにない珍しい特徴があります。雄にも雌にも角があることです。
ニホンジカなどの普通のシカは、雄が雌を惹きつけるために角を使います。ですから、雌には角が要りません。トナカイの雄も、雌を惹きつけるのに角を使います。トナカイの雌は角を何に使うのかといえば、雪を掘るのに使います。
ツンドラの植物は、冬、雪に埋もれます。雪を掘らなければ、トナカイは何も食べられません。トナカイの雄は体が大きいため、蹄でたくさんの雪を掘ることができます。雌は体が小さいので、蹄だけでなく角も使って雪を掘ります。
厳しいツンドラで暮らすために、トナカイは特別な蹄や角を発達させました。極地で暮らす人々は、そんなトナカイの肉や労働力を利用して生きてきました。北国でサンタクロースが活躍できるのも、きっとトナカイのおかげですね。
図鑑には、ニホンジカが掲載されています。ぜひご利用ください。
インターネット生物図鑑-zukan.net-では、参照数トップ3が爬虫類です。爬虫類は、人気者なのですね。
和名:グリーンイグアナ
学名:Iguana iguana
インターネット生物図鑑-zukan.net-mobileでは、日本に生息する爬虫類が30数種見られます。
ずかんどっとねっと-zukan mobileを、ぜひご利用下さい。
魚の学名を調べていると、同じ魚でも、本によって違う学名がつけられているのがよくありますね。ですから、種によっては複数つけられていることになります。この複数の学名の違いはなんですか? 教えて下さい。
魚に限らず、生物の種には学名を付けることになっていますね。学名はラテン語で付けられます。
同じ種なのに、本によって学名が違うことは、ままあります。それはなぜかといいますと、いくつかの理由があります。
1.新しい種を発見したと思って、学名を付けた。ところが、後で別の種と同じものだとわかって、後から付けた方の学名が無効になった。(学名には、「先に付けた学名が有効」 という規則がある)。
しかし、いったん出版されてしまった本は変えようがないので、古い本には無効になった学名が載っている。
2.新しい種を発見したと思って、学名を付けた。ところが、後になって、その種の分類が変えられた。
最初とは違う属に所属するとわかった場合、その種の学名は変わる。学名は、一般的に「属名-種名」で表記されるので、最初の「属名」部分が変更されることになる。場合によっては、ラテン語の語形変化のために、後ろの「種名」の部分も変更されることもある。
いったん出版された本は、やはり変えようがないため、古い本には昔の学名が載っている。
3.同じ種であっても、学者によって、違う学名を採用することがある。そうなる理由はいろいろである。ある学者が新種だと考えているものを、別の学者は既存の種だと考えている場合などがある。
本の著者や監修者の考え方により、本に載っている学名は変わる。
正しい学名を知りたいと思ったら、なるべく新しく出版された本を探さなければなりませんね。
それと、いくつかの本を読み比べてみることも必要です。
冬になると、庭園のマツや街道のマツ並木に、藁【わら】が巻きつけられていますね。ちょうど腹巻きをしているように見えます。あれは何のためなのか、御存知でしょうか?
巻きつけられているのは、「こも」と呼ばれるものです。こもは、害虫退治に使われます。なぜ藁で害虫退治ができるのか、説明しましょう。
マツの仲間には、マツカレハという害虫が付きます。マツカレハはガの一種で、幼虫がマツの葉を食い荒らします。幼虫はいわゆる毛虫型をしていて、マツケムシと呼ばれます。
マツケムシは、冬に休眠します。その時には木を降りて、落ち葉の間などに隠れます。翌年の春にまた活動を始め、やがて親のガになります。
休眠しようとした時、途中にこもがあれば、マツケムシは地面にまで降りません。休むのにちょうどいい場所だと思うのでしょうね。こもにもぐって休眠します。
翌年、暖かくなる前にこもを外せば、一緒に害虫を取ることができます。外したこもは焼いてしまいます。農薬を使わずに、害虫退治ができるわけです。昔の人から伝えられる知恵です。
いつ頃こもを巻いて、いつ頃外すのかは、地域やその年の気候によって違います。一般的には、立冬(十一月八日前後)の頃に巻いて、啓蟄【けいちつ】(三月六日前後)の前に外すようです。こもを巻く作業を「こも巻き」、こもを外す作業を「こも外し」、こもを焼くことを「こも焼き」と呼びます。
じつは、こもには害虫ばかりでなく、害虫を食べるクモなどもたくさんいるそうです。食べ物を狙って入るのですね。一緒に焼かれてしまうのは気の毒です。
しかし、こもは環境を汚染しません。やたらに薬をかけるより、よほどいいでしょう。農薬を使えば、どんな虫も、もっと広範囲に死んでしまいます。
最近は、各地で普通にこもが巻かれるようになりました。こんにちでも使える古来の知恵は、他にもありそうです。そういう知恵を発掘すれば、私たちヒトも、もっと暮らしやすい環境を作れるかも知れません。
熱帯魚を飼っている水槽を見ていたら、すごく小さいナメクジのような生物がたくさんいました。その生物は、普通の状態で1mm位、伸びた状態で、3mm位です。もっと小さいのもいます。伸び縮みして水槽に張り付いて移動し、体は半透明のような白で内臓が透けて見えるようです。この生物はなんですか?教えてください。
それは、扁形動物門[へんけいどうぶつもん]に分類されるプラナリアという生物ではないかと思います。ぬるぬるした感じで、ちょっと気持悪いですね。とはいえ、直接魚に害はありません。魚の食べ残した餌などを食べるだけです。放っておいても大丈夫です。ただ、プラナリアがたくさん発生すると見栄えが悪くなりますね。駆除したいのなら、魚や水草をそっくり別の容器に移しかえて、塩で水槽内部をごしごしと洗う、のが一番だそうです。そこまでするのが面倒でしたら、水槽壁面に吸い付いて藻をかじり取る魚を飼いましょう。藻と一緒にプラナリアを食べてくれることがあります。そういう魚には、アルジーイーターなどがいます。あと、念のためもう一つの可能性も書いておきます。水槽に発生した無脊椎動物は、プラナリアならよいのですが、もしかしたらヒルかも知れません。ヒルはプラナリアとは全く違う生物で、環形動物門[かんけいどうぶつもん]に属し、他の生物の血を吸います。ヒルだとしたら、魚の血を吸って大いに害を及ぼします。その生物が発生してから魚が弱ってきたようなら、すぐ退治して下さい。ヒルの退治方法は、熱帯魚の飼育方法を書いた本にならどれでも載っています。
クリスマスを過ぎると、お正月の準備が急ピッチで進みますね。クリスマスリースに替えて、注連【しめ】飾りをかける家が多くなります。家の中ではクリスマスツリーが片付けられて、お供え餅(鏡餅)が飾られるようになります。
注連飾りや鏡餅の飾りで活躍する植物に、ウラジロがありますね。あの、びらびらしたシダの葉です。葉の裏が白いため、ウラジロという名が付きました。見栄えがする植物ではないのに、なぜお正月の飾りに使われるのでしょう?
理由にはいくつもの説があります。どの説も一長一短です。おそらく、一つだけではなくて、複数の理由があったために選ばれたのでしょう。以下に理由を挙げてみます。
1)常緑植物だから。真冬に青々とした姿に、生命力の強さが感じられた。
2)花が咲かないのに殖えるから。ウラジロを含むシダ植物は、花を咲かせず、種子ではなくて胞子で繁殖する。その様子が神秘的に見えた。
3)繁殖力が強いから。前記のとおり、花が咲かないのにウラジロはよく繁茂する。その様子に子孫繁栄の願いを託した。
4)葉が細かく分かれ、しだれる様子が稲穂に似ているから。たくさんの稲穂が実るようにという願いが込められた。
5)葉の形が左右対称だから。夫婦和合の姿に見立てた。
6)葉の裏が白くて、白髪のように見えるから。夫婦が共に白髪になるまで長生きして添い遂げること(共白髪【ともしらが】)を願った。
どの理由も、昔の人の素朴な願いが込められていますね。昔は、作物がたくさん実ること、子供が無事に育つこと、白髪になるほど長生きすることなどは、どれも大変なことでした。科学が発達したおかげで、ウラジロに願いを託さなくても、豊作や長寿がかなう世の中になりました。
科学の恩恵は計り知れません。しかし、昔の人のような自然を敬う心も忘れてはいけないでしょう。お正月くらい、ウラジロを見て、そういう心を取り戻したいものです。
図鑑には、ウラジロが掲載されています。ぜひご利用ください。
馬の類は、どうしても「家畜」という感があるのですが、野生のものでは、一番小さいものでどれくらいの大きさのものがあるのでしょうか?
それと、おおよそ馬の品種がどれくらいあるのか、参考までに教えていただけませんでしょうか?
まずは、「ウマ」という動物について、基礎的なことから説明しましょう。
じつは、現在の地球上には、もともとの野生ウマはほとんど存在しません。ヒトによって捕獲されたり、棲んでいた環境が破壊されたりしたために、野生ウマは絶滅してしまいました。現在、各地にいる「野生馬」は、一度人間に飼われていたものが、再び野生化したものです。
そのような「再野生馬」は、競馬場で見られるサラブレッドよりも、おおむね小柄です。例えば、イランのカスピ海沿岸に棲むカスピアンという品種は、体高110cmほどだそうです。カスピアンは、家畜化される前の、本当の野生ウマの特徴を残した品種といわれます。
ウマの品種数はたいへん多いです。おそらく百種は下りません。
ウマの品種は、大きく三グループに分けられます。
1)体高142cm未満のポニー
2)ポニーより大きく、スマートで速く走るのに適した軽種馬
3)軽種馬よりさらに大きく、重い荷物を運ぶのに適した重種馬
です。
競走馬として活躍しているサラブレッドは軽種馬です。北海道の輓曳(ばんえい)競馬や、観光馬車を曳くのに使われている道産子(どさんこ)は重種馬です。
ウマの品種のうち、軽種馬だけでも、60以上の品種があるそうです。
たまごから孵った稚魚を、オスが口の中で育てる魚がいると聞きました。調べたのですがよく分かりませんでした。教えていただけないでしょうか?
親が口の中で稚魚を育てるという魚は、実は何百種もいます。種によって、雄が稚魚を口に入れるものと、雌が稚魚を口に入れるものがあります。口内で稚魚を保育する魚を、マウスブリーダーと総称します。マウスブリーダーとは、英語で、「マウスmouth=口」と「ブリーダーbreeder=養育するもの」を合わせた言葉で、そのものずばりの意味ですね。とてもたくさんの種が含まれるマウスブリーダーの中で、有名なのは、アフリカにすむ「カワスズメ科」に属する淡水魚の仲間です。アフリカのちょうど真ん中あたりに、マラウィ湖という細長い湖があって、そこに棲むカワスズメ科ハプロクロミス属の魚たちは全てマウスブリーダーです。ハプロクロミス属の魚は、何と120種ほどもいるそうです。カワスズメ科の魚は鑑賞用の熱帯魚として人気があり、日本に輸入されて養殖され、街の普通の熱帯魚屋でもマウスブリーダーの姿を見ることができます。子育てしている場面が見られるかどうかは保証できません。
クリスマスという行事は、すっかり日本に浸透しましたね。西洋に負けない本格的な飾りが増えました。けれども、浸透していない飾りもあります。ヤドリギがその一つです。
ヤドリギは、名のとおりの寄生植物です。とても樹木には見えない小さな樹木です。普通ならば地面に根を下ろすところを、他の樹木の枝に根を下ろします。その根から、水分や栄養分を横取りして生きています。
人間から見れば、こんな生き方はずるいですよね。なぜこんな植物が、クリスマスの飾りにされるのでしょう?
一つは、ヤドリギが常緑樹だからです。ヤドリギの宿主は落葉樹なので、冬に葉がなくなります。しかし、ヤドリギは葉を落とさないため、そこだけ青々として見えます。昔の人には、これがとても神秘的に見えました。厳冬に負けない魔法の植物と見えたのでしょう。
二つめは、ちょうどクリスマスの頃に、ヤドリギが実を付けるからです。雪に埋もれる中、つややかな実がなる様子は、人々に希望を与えたことでしょう。ヤドリギは困難に打ち勝つ希望のしるし、来年の豊饒を表わすしるしとなりました。
寄生という生き方は、単純にずるいとは言えません。宿主にたどり着くのが難しいからです。ほとんどの寄生生物が、そのために死にます。その不利さを越えて生きる様子は、希望や豊饒のしるしとされてもおかしくないでしょう。
ヤドリギの果実には、繁殖のための工夫があります。果実は粘液質でべたつきます。鳥が食べても、粘りは失われません。食べられた果実は、糞になってもべたつくわけです。鳥が木の枝で種入りの糞をすれば、種はそこへくっつきます。そのまま種が根を伸ばせば、新しいヤドリギの誕生ですね。
高い木に付く性質を模して、クリスマスのヤドリギの飾りは、天井から吊るされます。その下にいる女性にはキスしていい、という西洋の風習があります。この風習は、豊饒を表わす果実とそれをついばむ鳥との関係を思わせて、面白いですね。
図鑑には、ヤドリギが掲載されています。ぜひご利用ください。
パンダの赤ちゃんはとってもとっても小さいですよね。パンダも「育児嚢」で赤ちゃんを育てたのでしょうか?
パンダとカンガルーは、同じ哺乳類でも縁が遠い動物で、パンダには育児嚢はありません。
パンダは、ヒトと同じように赤ちゃんを産んで育てます。カンガルーと同じように、未熟な子供を産んで育児嚢で育てる哺乳類には多くの種がいて、これらの種はまとめて「有袋目」(ゆうたいもく)というグループに分類されています。
有袋目には、オーストラリアに棲んでいるものが多いです。カンガルーもそうですね。カンガルー以外に有名な有袋目の動物というと、コアラがいます。
コアラの雌もおなかに育児嚢を持っていて、生まれたばかりの子供は育児嚢の中で育ちます。よくコアラのお母さんが背中にしょっている子供は、大きくなって育児嚢から出られるようになった子供です。
その他、有袋類のQ&A記事
カンガルーの袋の内側は、どうなっているの?
カンガルーの雄にも袋があるのでしょうか?
ワラビーとカンガルーの違いを知りたい
十二月、街角にまた家庭に、様々なクリスマスツリーが立っています。暗い季節をきらびやかにしてくれますね。
海の中にも、たくさんのクリスマスツリーが立っています。それらは十二月だけでなく、一年じゅう海中を彩ります。ピンク、橙【だいだい】、コバルトブルー、黄金色に真珠色と、とりどりのツリーが海底から生えています。はて、これらの正体は?
答えは、イバラカンザシゴカイです。ほとんどの方は、初めて聞く名前でしょうね。ゴカイという名にぴんと来た方もいるでしょう。そう、イバラカンザシゴカイは、釣餌にするゴカイの仲間です。細長い体にたくさんの脚が生えた体を持ちます。ミミズの遠い親戚です。専門的には、環形【かんけい】動物というグループに分類されます。
ミミズやゴカイの仲間が、なぜクリスマスツリーなのでしょう? 彼らが鰓冠【さいかん】という器官を持っているからです。イバラカンザシゴカイの鰓冠は円錐形でひらひらしていて、クリスマスツリーに似ています。そのため、英語でChristmas tree worm、クリスマスツリーの虫と呼ばれます。
イバラカンザシゴカイは、普通のミミズやゴカイと違って、自由に歩き回りません。サンゴ礁や石に穴を掘って棲みます。穴に入ったら一生出ません。ですから、彼らのゴカイ型の体を見ることはまずありません。私たちの目につくのは、鰓冠だけです。
彼らは呼吸や食事に鰓冠を使います。穴の入口から鰓冠を伸ばして呼吸し、鰓冠に引っかかった有機物を食べます。その様子が、小さなクリスマスツリーを思わせます。
イバラカンザシゴカイのツリーは、必ず、一頭に二本あります。鰓冠の直径は1cmほどしかありません。にもかかわらず、見れば見るほど細密で美しいツリーです。魅せられて、写真を撮りに行くダイバーが大勢います。
イバラカンザシゴカイは敏感です。怪しい水流や影を感じると、たちまち穴に引っ込んでしまいます。そっと近づくのがこつです。周囲を荒らさないのは言うまでもありません。そうすれば、彼らは美麗なミニチュア・ツリーを伸ばして、歓迎してくれることでしょう。
図鑑には、イバラカンザシゴカイが掲載されています。ぜひご利用ください。
絵画館前のイチョウ並木。素晴らしい眺めですね。
和名:イチョウ
学名:Ginkgo biloba L
東京 南青山 【2005.12月7日】
見方を変えると...
歩道には黄金のジュータンが、ひかれていました。
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
街路樹は生きている化石、イチョウのコラムへ
癒し、イチョウのその他の写真へ
先日、インドネシアのカリマンタン島(ボルネオ島)で、未知の哺乳類が発見されましたね。詳しいことが不明にもかかわらず、私はあえて正体を推測しました。「ジャコウネコ科の新種では?」と、ここのコラムに書いています。
そのコラムに、誤解を招く表現がありました。『日本には、ジャコウネコ科の生物は普通には生息しません』という部分です。
日本にも、野生のジャコウネコ科動物がいないわけではありません。ハクビシンという種がいます。北海道から九州まで、断続的に分布します。
なぜ、紛らわしいことを書いたかといえば、ハクビシンは、日本土着の種ではないらしいからです。二十世紀になってから、人為的に移入された可能性が高いです。江戸時代以前、日本に野生ハクビシンがいた証拠はありません。
ハクビシンは、四肢が短く、胴と尾が長く、典型的なジャコウネコ体型をしています。木登りが得意で、果実が好物です。小動物も食べます。本来の分布地は、中国南部やインドシナなどです。未知の哺乳類が発見されたカリマンタン島にも分布します。
日本では、農作物のミカンを食い荒らして、問題になったことがあります。きっと故郷のカリマンタンなどでも、果実の御馳走にありついているのでしょう。その近くには、例の未知のジャコウネコ?がいるかも知れません。
ジャコウネコの仲間は、どの種も夜行性です。ほとんど鳴き声を立てません。身のこなしが柔軟で、藪の中や樹上での動きが上手です。まるで忍者ですね。
こういった性質のため、ジャコウネコの仲間は、生態を探りにくいです。ハクビシンが、いつ頃、どうやって日本に来たのか不明なのもこのためです。例の未知の哺乳類がこれまで発見されなかったのも、彼等がみごとな「忍者」だからではないでしょうか。
ハクビシンは、ジャコウネコ科の中では、大勢のヒトがいる地域に棲んでいます。研究対象とするには有利なことです。ジャコウネコ科全体の研究を進めるために、ハクビシンは、もっと注目されてよい動物だと思います。
新種のジャコウネコ発見?のコラムへ
2005年12月6日付で、「新種の肉食哺乳類発見か?」というニュースが報じられました。インドネシアのカリマンタン島(ボルネオ島)からの報告です。
公表された写真によれば、赤っぽい毛に覆われた、長い尾の動物です。報道では、「テンの仲間、もしくはジャコウネコの一種である可能性が高い」とされています。テンもジャコウネコも、普通の日本人には馴染みがない名前でしょう。
テンのほうは、まだ知られていますね。日本に生息するからです。テンはイタチ科(イタチの仲間)に属します。イタチに似て胴と尾が長く、小動物を食べます。
ジャコウネコのほうは、どんな動物なのか、見当がつかないのではないでしょうか? ジャコウネコ科(ジャコウネコの仲間)は、主にアフリカと南アジアに分布します。イタチ科と同じように、胴と尾が長い肉食獣です。多くの種は、長い尾を使って木に登るのが得意です。小動物以外に、果実が好物という種もいます。
公表された情報からでは、詳しいことはわかりません。でも、あえて私は、新種?の正体を推測してみました。報道にあるとおり、ジャコウネコ科の新種ではないかと思います。以下に理由を述べます。
まずは、体型が典型的なジャコウネコ型であることです。イタチ科にしては、脚が長すぎる気がします。もう一つは、カリマンタン島に、何種かのジャコウネコ科の動物がいるからです。ここは、ジャコウネコの仲間が暮らしやすい土地なのでしょう。ジャワジャコウネコ、ビントゥロングなどの分布が確認されています。ちなみに、イタチ科では、キエリテンがカリマンタン島に分布します。
ジャコウネコ科の新種だとしたら、どんな暮らしをしているのでしょう? 密林でひっそり暮らしていることは間違いありませんね。ビントゥロングと同じように、樹上生活が主なのかも知れません。だとすれば、これまで発見されなかった理由もわかります。高木の上にいれば、ヒトの目にはつきにくいですよね。
いまだに新種が発見されるのは、カリマンタンの自然が豊かな証拠です。正式に発見される前に絶滅しないよう、何らかの保護策を講じて欲しいですね。
コラムでもご紹介しましたように、日本ではジャコウネコ科の生物は普通には生息していませんが、『イタチ科』の生物は生息しています。
図鑑には、アナグマ、イイズナ、イタチ、オコジョ、テン、ニホンカワウソ、ラッコが掲載されています。ぜひご利用ください。
いつも絶えず泳いでいて、止まると呼吸が出来なくなる魚っているのでしょうか?教えてください。
絶えず泳ぎ続ける魚というのは、実在します。サメの仲間が皆そうです。サメが泳ぎ続けるのは、呼吸のためと、沈んだまま浮き上がれなくならないようにするためです。サメの仲間は、他の魚と違って浮袋を持っていません。そのために、泳がずにいるとどんどん沈んでいってしまいます。浮いているためには、常に泳いでいなければなりません。それと、サメの鰓[えら]は他の魚と構造が違って、鰓蓋[えらぶた]が発達していません。鰓蓋を動かして鰓に新鮮な水を通すということがあまりできないので、サメは常に口を半開きにして泳ぎ続けることで、酸素をたくさん含んだ新鮮な水を口から鰓に通しています。というのが昔の定説だったのですが、実は、泳がないで一個所にじっとしているサメというのも観察されています。そういうサメがどうやって呼吸しているのか、どうして沈まないでいられるのかは、まだ研究の途中ではっきりわかっていません。サメは浮袋がない代わりに、油分を多く含んで比重の軽い巨大な肝臓を持っていて、これが浮袋の役割を果たしているという説があります。
近年の日本では、クリスマスに鶏肉を食べますね。これは、米国でクリスマスにシチメンチョウを食べる風習に由来します。日本ではシチメンチョウの肉を入手しにくいため、代わりにニワトリを、となった模様です。
日本人にとって、シチメンチョウは馴染みが薄い鳥です。実態が誤解されていることも多いですね。
例えば、シチメンチョウは全て飼育されている鳥で、野生のものはいない、と思っている方がいます。実際には、野生のシチメンチョウが存在します。野生のものは、米国からメキシコにかけて分布します。
シチメンチョウは、北米やメキシコの先住民が飼い始めて、家禽【かきん】としました。家禽とは、家畜(人に飼われた獣)のように、人に飼われた鳥のことです。
シチメンチョウは空を飛べない、と思っている方もいますね。これは半分正しいです。家禽のシチメンチョウは、体が重くて飛べません。肉がたくさん取れるよう、大型化されたからです。けれども、野生のものは飛べます。敵から逃げる必要がありますからね。
アメリカ大陸にヨーロッパ人が来た時、すでに家禽化されたシチメンチョウがいました。ヨーロッパ人はこの鳥の有用性に気づいて、自分たちの国に輸入します。こうして、ヨーロッパでもシチメンチョウが飼われ、食べられるようになりました。クリスマスの御馳走にシチメンチョウが使われる理由は、よくわかっていません。特に宗教的な意味はないようです。昔、米国が貧しかった頃、入手できる肉のうちで最も御馳走にふさわしかったのがシチメンチョウ、ということらしいです。ヨーロッパ人に発見されてから、シチメンチョウの飼育数はとても増えました。それに反して、野生のものはとても減りました。乱獲や環境破壊のためです。
幸いにも、野生シチメンチョウを保護しようという人たちが現われました。おかげで、今はだいぶ回復しています。米国では、適度な狩猟を許可することで、野生シチメンチョウと共存しています。自然保護のお手本にしたいですね。
ハブは、日本で最も危険な毒ヘビとして知られていますね。その認識は間違いではありません。世界的に見ても、ハブは危険な毒ヘビの類に入ります。
ハブが危険なのは、毒の強さのためだけではありません。単純に毒の強さを比較すれば、世界には、もっと猛毒を持つヘビがたくさんいます。ハブの危険性は、毒の量が多いことと、人家の近くに棲んでいることと、攻撃的な性格にあります。特にハブを危険にしているのは、その攻撃性です。
普通のヘビは、ヒトのような大型の動物を恐れます。ヘビのほうが先にヒトを発見すれば逃げだします。こちらから手を出さない限り、攻撃してくることはありません。
ところがハブは、こちらから手を出さなくても攻撃してきます。大型の動物が相手でも、一定の距離に近づけば無差別に攻撃します。遠くにいるように見えても安心できません。縮めていた体を伸ばして、一瞬のうちに50~60cmの距離を詰めてしまいます。ハブの長い体が、宙を飛んでくるように見えるそうです。
暗闇でも、ハブは攻撃の的を外しません。特別な赤外線感知器官を持っているからです。その器官で、周囲と温度差があるものを感知できます。ですから、ヒトのように体温が高い動物は、すぐに感知されてしまいます。
こんなに攻撃的なヘビは、世界的にも少ないです。ハブの悪名が高いのは、毒の強さより、「性格の悪さ」によります。
こうしてみると、ハブは悪いところだらけに見えますね。けれども、ハブには大切な役割があります。小形動物が増えすぎないように、食べて数を減らすことです。ハブが棲む南西諸島には、ほとんど肉食獣がいません。ハブがいなければ、小形動物が増えすぎて、生態系のバランスが崩れてしまいます。
「南西諸島に豊かな自然が残っているのは、ハブのおかげだ」と言う人もいます。ハブを恐れるがゆえに、人々はやたらに山を切り開くことをしませんでした。ハブは人間に、「自然に対して謙虚になること」を教えているのかも知れません。
前回(9月15日のQ&A)。でカンガルーの袋の内側がどうなっているのか教わりました。ありがとうございます。もうひとつ質問があります。カンガルーの雄にも袋があるのでしょうか?教えてください。
カンガルーのおなかにある袋は、赤ちゃんを入れて育てるための袋で、「育児嚢」(いくじのう)と呼ばれます。赤ちゃんを育てない雄のカンガルーには育児嚢はありません。カンガルーの赤ちゃんは、ヒトから見れば未熟児のような、発達が不完全の状態で生まれます。ですから育児嚢がなければ、カンガルーの赤ちゃんは無事に育つことができません。育児嚢は「第二の子宮(=赤ちゃんが育つ器官)」のようなものです。育児嚢の中にはカンガルーのお母さんの乳首があって、カンガルーの赤ちゃんは育児嚢の中でお母さんのお乳を飲んで育ちます。
その他、有袋類のQ&A記事ワラビーとカンガルーの違い