クリスマスの飾りは豊饒【ほうじょう】のしるし、ヤドリギ

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クリスマスという行事は、すっかり日本に浸透しましたね。西洋に負けない本格的な飾りが増えました。けれども、浸透していない飾りもあります。ヤドリギがその一つです。
 ヤドリギは、名のとおりの寄生植物です。とても樹木には見えない小さな樹木です。普通ならば地面に根を下ろすところを、他の樹木の枝に根を下ろします。その根から、水分や栄養分を横取りして生きています。
 人間から見れば、こんな生き方はずるいですよね。なぜこんな植物が、クリスマスの飾りにされるのでしょう?
 一つは、ヤドリギが常緑樹だからです。ヤドリギの宿主は落葉樹なので、冬に葉がなくなります。しかし、ヤドリギは葉を落とさないため、そこだけ青々として見えます。昔の人には、これがとても神秘的に見えました。厳冬に負けない魔法の植物と見えたのでしょう。
 二つめは、ちょうどクリスマスの頃に、ヤドリギが実を付けるからです。雪に埋もれる中、つややかな実がなる様子は、人々に希望を与えたことでしょう。ヤドリギは困難に打ち勝つ希望のしるし、来年の豊饒を表わすしるしとなりました。
 寄生という生き方は、単純にずるいとは言えません。宿主にたどり着くのが難しいからです。ほとんどの寄生生物が、そのために死にます。その不利さを越えて生きる様子は、希望や豊饒のしるしとされてもおかしくないでしょう。
 ヤドリギの果実には、繁殖のための工夫があります。果実は粘液質でべたつきます。鳥が食べても、粘りは失われません。食べられた果実は、糞になってもべたつくわけです。鳥が木の枝で種入りの糞をすれば、種はそこへくっつきます。そのまま種が根を伸ばせば、新しいヤドリギの誕生ですね。
 高い木に付く性質を模して、クリスマスのヤドリギの飾りは、天井から吊るされます。その下にいる女性にはキスしていい、という西洋の風習があります。この風習は、豊饒を表わす果実とそれをついばむ鳥との関係を思わせて、面白いですね。


図鑑には、ヤドリギが掲載されています。ぜひご利用ください。

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このページは、松沢千鶴が2005年12月12日 08:53に書いたブログ記事です。

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