一文無しどころか万能昆虫のオケラ

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 「オケラ」と呼ばれる昆虫がいます。正式な種名はケラといいます。バッタの仲間です。なぜか、オケラと呼ばれるほうが普通ですね。昔は、子どもの平凡な遊び相手でした。
 バッタといえば、跳ねる昆虫ですね。ぴょんぴょん跳ねることによって、敵から逃れます。ところが、ケラは跳ねません。では、どうやって身を守っているのかといいますと、彼らは地中に逃れます。モグラのように、地中で暮らしているのです。
 ケラの前肢は頑丈です。シャベルのような形をしています。この前肢で土を掘ります。捕まえられると、前肢を大きく開いて見せます。威嚇【いかく】しているつもりなのかも知れません。昔の人は、その様子を「何も持っていないよ」と手を広げた様子に見立てました。ここから、一文無しのことを「オケラ」と呼ぶようです。
 昆虫の中でも、ケラは変わり者です。地中で暮らすことだけでも、変わっていますね。モグラのように、一生地中にいるのかと思えば、そんなことはありません。なんと、彼らは空を飛べます。ちゃんと翅【はね】があるからです。そのうえ、泳ぎも得意です。体に細かい毛がたくさん生えていて、水をはじくために、浮きやすいようです。地中も空中も水中もOKなんて、万能昆虫ですね。
 ケラの特技はまだあります。彼らは、コオロギやキリギリスと同じように鳴きます。春の夜、空き地などで、「ジー」とか「ビー」と聞こえる単調な音を聞いたことがありませんか? あれがケラの鳴き声です。春、他の虫が鳴かないうちから鳴き始めます。
 ケラの鳴き声は、ずいぶん大きく聞こえます。小さな昆虫が鳴いているとは、信じられないくらいです。あんなに大きな声で鳴けるのには、訳があります。
 ケラは、「地中に棲む」有利さを存分に生かしています。彼らは、自分が掘った地中のトンネルで鳴きます。トンネルでは音が反響しますから、実際に出している以上の音になります。それが、私たちの耳に届くわけです。
 都市化が進んだ地域でも、ケラはけっこういます。その万能さで、しぶとく生き延びているのでしょう。「一文無しのオケラ」なんて、ばかにしてはいけませんね。


図鑑には、ケラが掲載されています。ぜひご利用下さい。

3月22日『険しい道』に、画像解説の追記をいたしました。どうぞご覧ください。こちら>>>険しい道

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このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2006年3月24日 00:00に書いたブログ記事です。

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