田植えを促【うなが】す? ホトトギス

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 初夏を表わす鳥の声といえば、ホトトギスですね。有名な「目には青葉山ほととぎす初がつお」をはじめ、数知れぬ俳句や和歌に詠まれています。
 ホトトギスのさえずりは、様々に聞きなされます。「てっぺんかけたか」・「本尊【ほんぞん】かけたか」・「特許許可局【とっきょきょかきょく】」などと聞こえます。美しいというより、早口言葉みたいな鳴き方ですね。なぜ、こんなさえずりが尊ばれたのでしょうか?
 一つには、日本が最も爽やかな季節にさえずるからでしょう。ホトトギスは夏鳥です。冬の間は日本にいません。東南アジアやインドで越冬し、初夏に日本へ渡ってきます。昔の人には、夏とともに、忽然【こつぜん】と現われるように見えたでしょう。爽やかな初夏の使者に見えても不思議ではありません。
 もう一つ、ホトトギスが四六時中さえずるから、という理由があります。普通の鳥は、夜に弱いですよね。日のあるうちしかさえずりません。けれども、ホトトギスは、朝でも昼でも夕方でも夜中でも、かまわずにさえずります。それも、前触れなく、唐突に、一声、二声だけ鳴きます。この習性が珍しがられたようです。
 ホトトギスが、どんな時間帯でもさえずる理由は、解明されていません。私などは、真夜中や早朝に声を聞くと、いつ眠っているのかと心配になります。
 最後に、おそらく最も重要な理由を挙げましょう。ホトトギスがさえずるのが、ちょうど田植えの季節だからです。昔の人は、この声を農作業の目安にしました。天気予報などない時代、渡り鳥の声は、季節の移ろいを知る有効な方法だったのです。
 ホトトギスの別名に、卯月鳥【うづきどり】、早苗鳥【さなえどり】、田長鳥【たおさどり】などがあります。これらの名は、農業との関係を示します。卯月とは、田植えの月である旧暦四月(現在の五月)のことです。早苗は、田に植える苗のことですね。田長とは、田植えを指導する農夫の長を指します。
 昔の人は、早口のホトトギスの鳴き方を、田植えをせかしていると聞いたようです。今の私たちにとっては、心を癒す自然の声ですね。


図鑑にはホトトギスが掲載されています。ぜひご利用ください。

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このページは、松沢千鶴が2006年5月 3日 09:54に書いたブログ記事です。

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