毒にも薬にもなるオトギリソウ

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 オトギリソウという植物を御存知でしょうか? 日本の野山には、何種かのオトギリソウ属の植物が分布します。どれも、金色に近い明るい黄色の花が咲きます。花が美しいため、外国から移入された園芸種もあります。
 オトギリソウの仲間の葉を日に透かしてみると、黒い斑点が見えます。これは、この属の植物の特徴です。オトギリソウは、この斑点にまつわる伝説で有名です。
 伝説はいくつかあります。最も有名なのは、鷹匠【たかじょう】に関する伝説でしょう。鷹匠とは、タカを使う猟師のことです。
 昔、晴頼【はるより】という名の鷹匠がいました。彼は、タカの傷を治す秘伝の薬草を知っていました。誰もがその薬草の正体を知りたがりました。しかし、晴頼は教えません。ある時、彼の弟が、薬草の秘密を漏らしてしまいます。怒った晴頼は、弟を切り殺しました。そのため、その薬草はオトギリソウ(弟切草)と呼ばれるようになりました。葉の黒い点は、飛び散った弟の血が付いたものだといいます。
 この伝説にあるとおり、オトギリソウは傷によく効く薬草です。現在も、漢方薬として使われています。西洋でも、オトギリソウ属の植物が薬草とされています。
 薬草は、また毒草でもあります。オトギリソウに限らず、薬草は、ヒトの役に立つために薬草になったのではありません。動物に食べられないように、毒成分を持ったと考えられています。毒成分をうまくヒトが使って、薬にしたわけです。
 オトギリソウの薬効成分(毒成分)の一つに、皮膚炎を起こすものがあります。この成分を体に入れても、そのままでは何ともありません。日光に当たると、皮膚炎を起こします。皮膚炎で苦しめば、動物は、二度とオトギリソウを食べようとしないでしょう。
 野外では、日光に当たらずにいられません。動物の食害を防ぐ方法として、巧妙ですね。ところが、昆虫のガの仲間などに、オトギリソウ属の植物を食べるものがいます。彼らはくるりと葉を巻いて、その中に入っています。こうすれば日に当たらずに済みます。これまた巧妙ですね。自然の仕組みには、いつも感嘆します。


図鑑には、オトギリソウが掲載されています。同じオトギリソウ属のビヨウヤナギも載っています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2006年6月 2日 00:20に書いたブログ記事です。

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