唾【つば】を吐く昆虫? アワフキムシ

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 草木が茂る季節になりましたね。住宅地でも、ちょっとした空き地があれば、すぐに植物が茂ります。
 そのような茂みに、小さな泡の塊【かたまり】を見たことがありませんか? まるで、誰かが唾を吐きかけたようです。でも、たいていはヒトのしわざではありません。
 それはきっと、アワフキムシという昆虫のしわざです。アワフキムシの幼虫は、草木に棲んで、泡を作ります。泡に隠れて、敵から身を守るためと考えられています。
 昆虫の幼虫には、身を隠す方法を持つものが多いです。小さくて弱いからでしょう。アワフキムシの場合は、「泡の中に隠れる」という方法を取ります。ユニークですね。
 彼らの泡は、自分自身の排泄物を利用して作られます。ヒトでいえば、尿を利用するようなものです。汚いなんて言ってはいけません。立派な廃物利用です。排泄物に含まれるアンモニアが、何らかの役に立っているようです。
 アワフキムシの仲間は、セミに近縁です。成虫の姿を見ると、それが納得できます。成虫はセミそっくりです。ただし、ずっと小さいです。セミとは違って、鳴きません。
 アワフキムシとセミの共通点は、植物食であることです。両方とも、ストローのような口で、植物の汁を吸います。幼虫と成虫が、共に植物の汁を吸うことも同じです。おとなしい植物食昆虫ですから、彼らには敵が多いでしょう。セミの幼虫は地中に隠れ、アワフキムシの幼虫は泡に隠れて、敵から逃れるわけです。
 植物の汁を吸うために、アワフキムシやセミは害虫とされることがあります。農作物を傷めるからです。農家で退治されるのは、やむを得ませんね。
 アワフキムシの泡は、外国でも不思議がられたようです。英語で、この泡を"cuckoo spit"といいます。「カッコウの唾」という意味です。あの鳥のカッコウです。ちょうど、カッコウが鳴く初夏の頃に、アワフキムシの幼虫が泡を作るのですね。
 どういうわけか、昔の人は、「カッコウが植物に唾をかけた」と考えたようです。昔の人が自然を表現する力は、詩的ですね。鋭い観察のたまものでしょう。

図鑑には、アワフキムシの仲間のシロオビアワフキが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2006年7月 7日 00:03に書いたブログ記事です。

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