原始的に見えても魚に近い? ホヤ(海鞘)

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 東北地方や北海道の夏の味覚に、ホヤがありますね。ホヤは、海に棲む動物です。東北や北海道以外でも、時おり、魚屋で見られます。
 外見からは、ホヤが何の仲間なのか、想像しにくいですね。ごろんとした体は、木のこぶのように見えます。動物どころか、植物っぽいですね。けれども、立派な動物です。
 ホヤは、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】というグループに属します。脊索【せきさく】とは、脊椎骨【せきついこつ】、つまり背骨の原型です。背中にあって体を支えるすじです。ホヤの仲間には、みな脊索があるところから、この名が付きました。
 脊索がもう少し進化すると、脊椎骨になります。私たちが持つ背骨ですね。ホヤは、骨を持たない無脊椎動物ですが、脊椎動物の一歩手前にいます。ホヤに近縁な生き物から、脊椎動物が進化したと考えられています。最初の脊椎動物である魚類の誕生です。
 しかし、食用のホヤの体には、脊索らしきものは見当たりません。どこが背なのかもわかりませんよね。じつは、食用になる成体のホヤには、脊索がありません。幼生のホヤだけが、脊索を持ちます。成体と幼生とでは、姿も生活ぶりも、全く違います。
 成体は、海底の岩などにくっついたまま動きません。体に海水を吸い込んで、その中の有機物を濾【こ】しとって食べます。カキやアサリと似た生活です。
 幼生は、カエルのおたまじゃくしにそっくりな姿をしています。おたまじゃくしと同じように泳ぎます。食べ物は取りません。ひたすら泳ぎます。成体になった時に、暮らしやすい場所を捜すためです。幼生の期間は、そのためだけにあります。
 脊索は、体を支える器官です。懸命に泳ぐ幼生にとっては、大事ですね。運動する時に、体の支えがあるのは有利です。逆に言えば、運動しないなら脊索は要りません。動かない成体に、脊索は必要ありませんね。成長の過程で、ホヤの脊索はなくなります。
 食用にされるホヤは、主にマボヤとアカボヤです。成体の彼らは、海中の岩こぶにしか見えません。でも、彼らも、前記の成長過程を経ています。それは、進化の謎の一端を解くものです。外見に惑わされず、地道に研究することが、謎を解く鍵ですね。

図鑑には、食用になるマボヤアカボヤが掲載されています。また、食用にはなりませんが、同じホヤの仲間のチャツボボヤも載っています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2006年8月28日 00:07に書いたブログ記事です。

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