精霊【しょうりょう】トンボとはどんなトンボ?

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 八月のお盆の頃から、急にトンボを見かけるようになった、と思う方はいませんか? それは、俗に精霊トンボと呼ばれるトンボでしょう。精霊【しょうりょう】とは、仏教用語で、死者の霊のことです。言い伝えでは、「死者の霊が、トンボに姿を変えたもの」などとされます。ちょうどお盆の頃に現われるためですね。
 精霊トンボというのは、正式な種名ではありません。地方により、この名で呼ばれる種が違います。ウスバキトンボという種が、精霊トンボと呼ばれることが多いですね。
 日本の多くの地方で、ウスバキトンボがお盆の頃に現われます。なぜでしょう? その理由は、ウスバキトンボの生態にあります。
 ウスバキトンボには、三つの特徴があります。寒さに弱いこと、飛翔能力が高いこと、成長が速いことです。これらの特徴が、ウスバキトンボを精霊トンボにしています。
 ウスバキトンボは、日本の大部分の地方では、越冬できません。寒さに弱いためです。卵も幼虫も成虫も、みな死に絶えてしまいます。それなら、どうして毎年、日本にウスバキトンボが現われるのか、不思議ですね。この謎を解く鍵が、飛翔能力の高さと、成長の速さです。
 ウスバキトンボは、あまりはばたかずに、風に乗って飛ぶのがうまいです。つまり、体力を消耗しないで、長い距離を飛ぶことができます。冬、ウスバキトンボが死に絶えた地方でも、暖かくなれば、より暖かい地方から飛んできます。
 加えて、ウスバキトンボは成長が速いです。成虫が産んだ卵は、どんどん育ちます。すぐ成虫になって、また遠くまで飛びます。こうして、暖かくなるにつれ、ウスバキトンボは北上します。桜前線みたいですね。その「トンボ前線」が行き着くのが、多くの地方で、ちょうどお盆の頃なのです。
 ウスバキトンボは、世界一分布が広いトンボといわれます。前記の特徴のおかげですね。おそらく、世界一平凡なトンボです。なのに、生態に謎が多いです。日本に来る個体が、正確にはどこから来るのかも不明です。謎は身近にあるものですね。


図鑑には、ウスバキトンボは掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2006年8月12日 00:11に書いたブログ記事です。

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