ヨシとアシは同じもの?

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 日本は水が豊かな国ですね。水場の生き物が多いです。水場の代表的な植物に、ヨシがあります。淡水域にも、海水と淡水が混じった汽水【きすい】域にも生えます。
 ヨシとアシとは、別の種だと思っている方はいませんか? 方言では、微妙な個体差により、呼び分けている地域があるかも知れません。しかし、生物学的には、ヨシもアシも同じ種を指します。どちらも漢字では「葦」か「蘆」、または「葭」と書きます。
 ヨシは、古くからヒトに利用されてきました。葦簀【よしず】というすだれにしたり、パンパイプなどの楽器を作ったりします。多くの民話や諺【ことわざ】に登場するのも、親しまれた証拠でしょう。
 中でも、「片葉の葦」の伝説は有名ですね。片葉の葦とは、茎の片側にしか葉がないヨシのことです。一方からの強い風に吹かれて育つと、そのようになります。昔の人には原因がわからず、不思議だったでしょう。本所七不思議などに入れられていますね。
 ヒト以外の生き物にとっても、ヨシは重要です。ヨシは、水場の環境を整えるからです。
 ヨシが生えた場所は、水の流れが緩やかになります。そこに、水に運ばれた砂や泥が溜まります。すると、多くの小動物にとって、棲みやすい場所ができあがります。
 軟らかい砂や泥は、小動物が巣穴を掘るのにちょうどいいです。かわりに、大型動物にとってはやっかいです。重みで沈んでしまうからです。また、ヨシの原は、生い茂るヨシのため、視界が遮られます。大型動物にはやりにくいですね。小動物が身を隠すには、もってこいです。
 おかげで、ヨシの原は、小動物の楽園になりました。砂や泥には、カニの一種のアシハラガニや、魚のトビハゼが巣穴を掘ります。ヨシ自体には、昆虫やクモが棲みつきます。オオヨシキリ、コヨシキリ、ヨシゴイなどの鳥たちは、ヨシの原に巣を作り、子育てをします。その他の鳥の餌場やねぐらとしても、ヨシの原は欠かせません。
 ヨシは、一見、冴えない植物ですね。けれども、大切な役割を果たしています。弱い動物たちの守り手です。小動物の水場の揺り籠【ゆりかご】と言えるでしょう。


図鑑には、残念ながら、アシハラガニとトビハゼは載っていませんが、植物のヨシ、鳥類のオオヨシキリコヨシキリヨシゴイは掲載されています。ぜひご利用下さい。

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 今日はエイプリル・フール、嘘をついてもいい日ですね。これにちなんで、今回は... 続きを読む

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このページは、松沢千鶴が2006年9月 8日 00:23に書いたブログ記事です。

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