カメムシはなぜ臭【くさ】い?

user-pic
0

ico_weather_hare.gif

 カメムシという昆虫がいますね。彼らは嫌われ者です。理由は、臭いからです。子どもの頃、つい彼らをいじってしまって、臭い思いをした方は多いでしょう。
 カメムシが臭いのは、敵から身を守るためと考えられています。ヒトも、あの臭さは苦手ですよね。他の動物にとっても同じようです。あんなに臭いのでは、食べようという気をなくすでしょう。カメムシは、食べられないように、臭い物質を分泌します。
 じつは、カメムシの臭い物質は、他の役割も果たしています。フェロモンの役割です。
 フェロモンという言葉は、誤解されがちです。よく「異性を惹きつける魅力」の意味で使われますね。本来は違います。フェロモンとは、生き物が放出する化学物質のことです。同種の他の個体に、いろいろな情報を伝えるものです。
 中で有名なのは、同種の異性を惹きつける「性フェロモン」です。これが、前記の意味に転用されたのですね。すべてのフェロモンが性フェロモンなのではありません。他にも、さまざまなフェロモンがあります。同種の仲間に「集まれ」と知らせる「集合フェロモン」や、「敵が来たぞ。分散して逃げろ」と伝える「警報フェロモン」などです。
 カメムシの仲間では、臭い物質を、集合フェロモンと警報フェロモンに使う例が知られています。例えば、ホソヘリカメムシは、臭い物質を集合フェロモンに使います。ホオズキカメムシは、臭い物質が警報フェロモンになります。
 ナガメという種は、臭い物質を、集合フェロモン・警報フェロモン両方に使います。少量を放出すると集合フェロモンに、大量に放出すると警報フェロモンになります。巧みな使い分けですね。
 臭い物質は、敵から逃れる防御物質としてできたのでしょうか? 防御物質が、フェロモンに転用されたのでしょうか? それとも、フェロモンが先にできて、それが防御物質に転用されたのでしょうか? この問題は、解決されていません。
 カメムシは、ただの臭い昆虫ではありません。「臭いこと」には、巧妙な仕組みがひそんでいます。自然の仕組みには、いつも驚かされますね。

図鑑にはホソヘリカメムシホオズキカメムシナガメなど三十種以上のカメムシが掲載されています。ぜひご利用ください。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.zukan.net/MovableType4/mt-tb.cgi/4238

コメントする

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2006年11月 3日 08:50に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「電線にとまっているすずめは」です。

次のブログ記事は「夕日」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。