日本はモグラの標本国?

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 日本の風習の一つに、「もぐら打ち」があります。現在は、すたれかけている風習ですね。たいていは、小正月(一月十五日前後)に行なわれます。モグラを追い払うために、藁束【わらたば】や木槌【きづち】などで、地面を叩いて回る、というものです。
 モグラは、田の畦【あぜ】に穴を開けたり、芝生を傷めたりします。農民にとっては害獣ですね。農村行事として、「もぐら打ち」ができたのは、自然なことでしょう。
 そんな行事ができるほどなのに、モグラの正確な姿は、知られていません。例えば、「モグラが日に当たると死ぬ」のは、迷信です。実際は、日に当たっても平気です。
 日本には、およそ七種のモグラが分布します。数が多いのは、アズマモグラとコウベモグラです。他に、サドモグラ、ミズラモグラ、ヒミズ、ヒメヒミズなどがいます。
 モグラの仲間は、どの種も、前足が発達しています。土を掘るためです。観察すると、種によって、前足の発達具合が違うのがわかります。
 サドモグラ、コウベモグラ、アズマモグラなどの大型種では、前足が特に大きいです。シャベルのような形をしています。ヒミズやヒメヒミズでは、前足はさほど大きくありません。丸っこいシャベル形ではなく、細長い形をしています。
 ヒミズとヒメヒミズには、ほかにも、他種のモグラと違う部分があります。この二種には、ふさふさと毛が生えた、長い尾があります。他の多くのモグラの尾は、毛が少なく、長さも短いです。また、多くのモグラの体毛は短くて、ビロード状です。対して、ヒミズとヒメヒミズの体毛は、ネズミに見られるような、普通の長さです。
 興味深いことに、ミズラモグラは、ヒミズやヒメヒミズと、他種のモグラとの中間的な特徴を持ちます。ヒミズの仲間と、他のモグラ類とをつなぐ種だと考えられています。
 モグラ類の尾が短いのは、地中で動く時、邪魔にならないようにです。体毛が短いのも、地中のトンネルの壁に引っかからないようにです。ヒミズやヒメヒミズは、これらの特徴が未発達なので、原始的なモグラとされます。
 日本には、原始的な種から進化した種まで、モグラ科の種がそろっています。こんな国は珍しいです。モグラの進化の様子が具体的に見られるなんて、幸運ですね。

 この投稿のほかにも、哺乳類に関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリーよりどうぞご覧ください。

図鑑には、ヒメヒミズヒミズミズラモグラアズマモグラコウベモグラサドモグラが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年1月26日 00:05に書いたブログ記事です。

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