三月三日は草餅【くさもち】の節句?

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 三月三日は、桃の節句として知られますね。現在では、雛祭【ひなまつり】の日になっています。この節句には、草餅の節句という別名があるのを、御存知ですか?
 近年まで、三月三日には、草餅を作って食べる風習がありました。地方によっては、まだ残っているかも知れませんね。この風習は、節句の本来の意味である「魔除け」と関係があります。草餅には、ヨモギ(蓬)という草を入れるからです。
 ヨモギには、さまざまな薬効成分が含まれます。昔から、薬草とされてきました。漢方では、艾葉【がいよう】と呼ばれます。お灸の「もぐさ」に使うのが有名ですね。
 昔の人にとって、病気とは「魔」そのものです。病気を治すヨモギは、「魔除けの草」でした。草餅の節句に「よもぎ餅」を食べるのは、体内の魔をはらうためです。魔除けのために、昔は、端午の節句(五月五日)にも、ヨモギを飾ったりしました。
 ヨモギが属するヨモギ属には、なんと、二百種以上が含まれます。それらの多くが、薬効成分を持ちます。そのため、世界各国で、薬草に利用されます。「魔除けの草」や「魔法の草」と呼ばれる種も多いです。
 例えば、ヨーロッパに分布するニガヨモギは、アブサンというリキュールの原料にされます。リキュールとは、香草などで風味を付けたお酒です。同じく、ヨーロッパに分布するオウシュウヨモギは、「旅行に持ってゆくと災難に遭わない」魔除けの草とされました。ヨーロッパで「ヨモギ」といえば、普通はオウシュウヨモギのことです。また、中央アジアに分布するシナヨモギは、ヒトの寄生虫の駆除薬になります。フランス料理に使うハーブのフレンチ・タラゴン(エストラゴン)も、ヨモギ属です。
 日本に分布するヨモギ属では、ヨモギとカワラヨモギが、草餅の材料にされます。ヨモギが分布しない北海道では、オオヨモギ(ヤマヨモギ)が、ヨモギと同じように使われます。沖縄では、ニシヨモギ(フーチバー)が、よく料理に用いられます。
 ヨモギの仲間は、世界中に分布します。どの種も丈夫です。放っておいても、野山にどんどん生えます。人間にとっては、ありがたい自然の恵みですね。

過去の記事でも、桃の節句など、日本の節句に関する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。

鯉(コイ)は本当に滝を登るか?(2006/04/24)
花も実もある魔除けの木、モモ(2006/3/3)
などです。
 
この他、昆虫や植物などさまざまな生物に関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリよりどうぞご覧ください。


図鑑にはヨモギコイ(鯉)モモ(桃の木)など、日本で見られるたくさんの生物が掲載されています。ぜひご利用ください。

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このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2007年3月 2日 06:02に書いたブログ記事です。

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