この紋所が目に入らぬか? フタバアオイ

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 フタバアオイ(双葉葵)という植物を、御存知でしょうか? おそらく、ほとんどの方は御存知ないでしょう。けれども、日本人ならば、この植物の葉を、どこかで見たことがあるはずです。正確に言えば、フタバアオイの葉の模様です。
 京都に、葵祭【あおいまつり】という有名なお祭がありますね。このお祭に使われる葵【あおい】が、フタバアオイです。この植物の葉が、お祭の行列の、牛車などを飾ります。
 葵祭は、京都の上賀茂神社【かみがもじんじゃ】・下鴨神社【しもがもじんじゃ】合同のお祭です。賀茂祭【かもまつり】というのが、本来の名でした。それが、フタバアオイを使うところから、葵祭と呼ばれるようになりました。「賀茂祭の葵」ということで、フタバアオイは、別名カモアオイ(賀茂葵)とも呼ばれます。
 フタバアオイは、もう一つ、重要な場面で活躍しています。徳川家の家紋「三つ葉葵【みつばあおい】」です。『水戸黄門』の印籠【いんろう】にある紋所ですね。これは、フタバアオイの葉を図案化したものです。
 実際のフタバアオイは、三枚の葉が一緒に付くことはありません。「双葉」の名のとおり、二枚ずつ葉が付きます。「三つ葉葵」にされたのは、図像的に、格好いいからでしょう。
 フタバアオイは、小さくて、目立たない植物です。花も決して派手ではありません。紋所にあるとおり、葉の形は、整ってきれいです。でも、似た葉を付ける植物は、他にもいくつもあります。なぜ、フタバアオイばかりがこんなに重視されるのかは、謎です。
 昔、フタバアオイは、日本に広く自生していました。上賀茂神社の周囲にも、たくさんあったそうです。ところが、今では、珍しい植物になってしまいました。環境破壊が進んだためです。お祭に使う葵を集めるのも、一苦労だといいます。
 日本の文化を象徴するものを、絶滅させてはいけませんね。多くの人々の協力により、フタバアオイ復活計画が始まりました。京都に、フタバアオイの群落を復活させる計画です。すでに、今年(二〇〇七年)、フタバアオイの栽培や移植が始まっています。
 これは、素晴らしい計画ですね。自然と文化を守る計画は、成功して欲しいです。


図鑑には、フタバアオイが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年4月17日 13:50に書いたブログ記事です。

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