クモにも母性愛がある? カバキコマチグモ

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 二〇〇七年の母の日は、五月十三日です。五月の第二日曜日ですね。今回は、これにちなんで、生き物の世界の母について、書きましょう。
 じつは、ヒト以外の生き物では、「子どもの世話を全くしない母親」が、大部分です。哺乳類のように、子どもの世話を焼く母親のほうが、ずっと少数派です。
 けれども、なかには、思いがけない生き物が、子どもの世話をします。例えば、クモの仲間には、そういう種が、いくつかいます。
 代表的な種が、カバキコマチグモです。カバキコマチグモは、日本の草原に棲むクモです。ススキやヨシなど、イネ科植物の群落を好みます。
 ススキの原っぱなどで、草の葉が、折れたように丸められているのを見たことがありませんか? それは、おそらく、カバキコマチグモの巣です。このクモは、網を張りません。代わりに、ススキやヨシなどの葉を丸めて、巣を作ります。その巣は、隠れ家であり、子どもを育てる場所でもあります。
 カバキコマチグモの母親は、葉っぱの巣で産卵します。孵化するまで、巣の中で卵を守ります。孵化した後も、子どもの一回目の脱皮が済むまで、母グモは子グモを守ります。
 驚くのは、その後です。脱皮が済むと、子グモは食事を始めます。食べるのは、母グモの体です。母親は抵抗しません。進んで、自分を食べさせます。
 これは、究極の母性愛のように見えますね。「こんな下等な生き物なのに」と、驚く方もいるでしょう。でも、「母性愛」や「下等」というのは、ヒトの勝手な見方ですね。
 他のクモにも、母親が子を守るものがいます。人家に多いアシダカグモなどがそうです。アシダカグモの母親は、卵を守るために、常にくわえて持ち運びます。
 「母親が、自分を子どもの食べ物にする」という行動は、昆虫のコブハサミムシなどにも見られます。考えてみれば、哺乳類の母親が「子どもに乳を与える」という行動も、体の一部を与えているといえますね。クモでも哺乳類でも、母親とは、身を削って子どもを育てるものなのでしょう。


 過去の記事で、カバキコマチグモ以外のクモを取り上げています。ススキやヨシも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19) 
人間とは持ちつ持たれつのススキ(2006/10/1) 
などです。この他、植物、無脊椎動物などに関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリやアーカイブよりどうぞご覧ください。



図鑑には、カバキコマチグモ、コラムで取り上げたアシダカグモコブハサミムシススキヨシが、掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年5月 9日 08:45に書いたブログ記事です。

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