鳥の仲間には、姿や鳴き声が美しいものが多いですね。面白いことに、姿が美しい鳥は、鳴き声がきれいでないことが多いです。逆に、鳴き声が美しい鳥は、姿が地味なことが多いです。けれども、なかには、「天に二物を与えられている」ものもいます。
日本の野鳥では、オオルリが、そんな一種です。日本では、春に来て、秋に去る夏鳥です。名のとおり、オオルリの雄(オス)は、みごとな瑠璃色をしています。さえずる声も美しいです。ウグイス、コマドリと並んで、日本三鳴鳥の一種とされます。
オオルリの雌(メス)は、雄とはまったく姿が違います。オリーブ色といっていい、地味な体色です。
鳥では、このように、雄と雌の色が違うことが、よくありますね。さえずるのも、大概は雄だけです。こういった差は、雄が雌に求愛するために生まれたと考えられています。姿や鳴き声が美しい雄は、雌にモテやすいのですね。「ぼくは健康だよ」と、雌にアピールしやすいからでしょう。
どういうわけか、オオルリの場合は、雌もさえずります。この理由は、わかっていません。雌雄で、姿がこれだけ違うのに、さえずりは同じなんて、不思議ですね。
オオルリの雄は、誰がどう見ても、瑠璃色でしょう。ところが、オオルリの羽には、青い色素がありません。なら、どうしてオオルリの雄は、青く輝くのでしょうか?
オオルリが青く見えるのは、構造色という仕組みのためです。オオルリの羽は、とても細かく、複雑な構造をしています。電子顕微鏡で見ないと、わからないほど微細なものです。この構造により、青い光だけが散乱して、ヒトの目に見えます。
他にも、構造色を持つ鳥がいます。カワセミや、ルリビタキがそうです。カワセミやルリビタキの瑠璃色も、色素の色ではありません。光の散乱による、幻の色です。
幻の色であっても、オオルリは美しいですね。古来、その姿と声を、人に愛でられてきました。それは良いことですが、そのために、密猟されることがあります。野鳥が一番美しいのは、籠【かご】の中ではなく、野にいる時でしょう。
過去の記事で、オオルリと並ぶ三鳴鳥の一種、ウグイスを取り上げています。また、オオルリと同じく雄が美しいキジなども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
キジのお父さんも楽じゃない?(2007/4/16)
梅にウグイス? いえメジロです(2007/3/12)
などです。
図鑑には、オオルリや、コラムに出てきたカワセミ、ルリビタキ、ウグイス、コマドリが掲載されています。ぜひご利用下さい。
オオルリは瑠璃色【るりいろ】じゃない?
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