和名:ノネコ
学名:Felis catus
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東京 新宿 【2007.10.21】
過去の御苑福猫
御苑の福猫(2007/10/16)
御苑のジジ(2007/10/08)
御苑のジジ(2007/03/04)
新宿御苑のお出迎え役(2007/02/18)
新宿御苑の福猫たち(2007/02/09) などです。
2007年10月アーカイブ
カブ(蕪)は、誰もが知っている野菜ですね。カブラとも呼ばれます。日本では、古事記や日本書紀に、「あをな」の名で登場します。それほど古くから、栽培されたのですね。春の七草の一つ、鈴菜【すずな】としても、知られます。
世界的にも、カブは、平凡な野菜です。ハロウィーン(西洋のお祭り)のカボチャ飾りは、元は、カブ飾りでした。親しい野菜の証拠ですね。
では、カブの原産地は、どこでしょうか? 日本ではありません。はるか、シルクロードの西方です。トルコの東部あたりで、原種が発見されています。
今、普通に見られるカブと、原種とは、まるで似ていません。原種は、大きな根を持ちません。葉も、あんなにふさふさしていません。外見は、貧弱な菜の花といった感じです。長い年月と、多くの人々の苦労を経て、現在のカブができました。
ただ、原種の花だけは、カブの花に似ています。カブの花を見たことがありますか? 黄色い菜の花そのものです。菜種【なたね】油を採るアブラナ(油菜)に、そっくりです。
じつは、生物学的には、カブとアブラナは、同じ種です。カブは、アブラナの一変種とされています。つまり、カブの原種は、アブラナの原種でもあります。
この原種からは、他にも、多くの野菜ができました。野沢菜【ノザワナ】、青梗菜【チンゲンサイ】、白菜【ハクサイ】などです。比べると、みんな違いますよね。なのに、生物学的には、全部、同じ種です。同一種のうちの変種、という扱いです。
例えば、野沢菜は、カブにとても近縁です。日本で、カブの一品種から生まれました。根が大きくならないカブ、といえます。
カブの中にも、多くの品種があるのですね。日本だけでも、五十品種以上あります。
日本のカブの品種は、東西で、系統が違うといわれます。おおむね、愛知・岐阜・福井を通る線で、分かれます。この線は、カブラ・ラインと呼ばれます。
なぜ、カブラ・ラインができたのかは、まだ、わかっていません。この謎が解けたら、シルクロードを旅してきた、カブの歴史がわかりそうですね。
過去の記事でも、さまざまな野菜を取り上げています。カブと同種のアブラナ(菜の花)も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
キュウリは、なぜ「胡瓜」と書く?(2007/8/17)
日本のダイコン(大根)は世界一(2007/1/15)
ハロウィーンはカボチャ祭り?(2006/10/31)
菜の花(ナノハナ)は何の花?(2006/4/7)
などです。
図鑑には、カブと同種であるアブラナも掲載されています。ぜひご利用下さい。
和名:コサギ
学名:Egretta garzetta
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沖縄 豊見城 【2007.10.18】
図鑑には、コサギも掲載されています。ぜひご利用下さい。
読書の秋ですね。今回は、本の中に登場する生き物について、紹介しましょう。
取り上げるのは、『ハリー・ポッター』です。世界中で知られたファンタジーですね。
『ハリー・ポッター』シリーズで、印象に残る生き物といえば、フクロウでしょう。おおぜいの魔法使いが、フクロウを飼うことになっています。
主人公のハリーが飼うのは、ヘドウィグですね。雪のように白いフクロウとされます。英語では、snowy owlです。こんなフクロウは、実在するのでしょうか?
実在します。シロフクロウという種がいます。突然変異で白いのではなくて、もともと白い種です。カナダや北欧などの、北極圏、もしくは、それに近いところに棲みます。
シロフクロウは、日本でも見られることがあります。主に北海道で、冬に飛来します。けれども、日本では珍しい種です。見られたら、運がいいですね。
ハリーの友人のネビルが飼うのは、メンフクロウです。ヨーロッパで、平凡なフクロウです。納屋【なや】などに巣を作るため、英語でbarn owl(納屋フクロウ)といいます。
メンフクロウは、日本には分布しません。名のとおり、ハート型のお面をかぶったような顔です。印象的な顔のせいか、ホラー映画などに、この種が登場することがあります。
ハリーのライバル、ドラコ・マルフォイは、ワシミミズクを飼います。この種は、世界最大のフクロウといわれます。英語でeagle owl(鷲【わし】フクロウ)と呼ばれるとおり、迫力のある外見です。ノウサギなど、かなり大きい獲物まで捕れるそうです。
ワシミミズクは、ごく少数ですが、日本にも分布します。北海道の北部に、十羽に足りないほどしかいません。日本で見るのは、難しいですね。
このように、フクロウの種を見ると、『ハリー・ポッター』がイギリスの作品であることが、よくわかります。どれも、ヨーロッパに多い種だからです。
『ハリー・ポッター』のフクロウたちは、手紙を運ぶのに活躍しますね。実際に、フクロウは、飼えば人に馴れます。しかし、何かの用ができるほどは、なつかないようです。野鳥を飼うのは、ファンタジーの中にとどめておくのが、正解でしょう。
過去の記事でも、フクロウを取り上げています。よろしければ、以下の記事もご覧下さい。
フクロウとミミズクは、どう違う?(2007/7/2)
また、他の文学作品に登場する生き物も、取り上げています。どうぞ、こちらもご覧下さい。ちなみに、今年の読書週間は2007年10月27日から11月9日までです。この機会に、何か1冊読みたいですね。
『野菊の墓』に登場する野菊は↓
九月九日は菊の節句(2006/9/9)
『よだかの星』に登場するヨタカは↓
ヨタカは醜い鳥か?(2006/7/14)
『ダ・ヴィンチ・コード』に登場する白百合【しらゆり】は↓
聖母マリアと白百合の関係(2006/5/18)
などです。
図鑑には、フクロウ科の鳥として、アオバズク、コノハズク、シマフクロウ、フクロウも掲載されています。ぜひご利用下さい。
マロンが、また顔を見せてくれました。元気そうです。
和名:ノネコ
学名:Felis catus
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沖縄 金武 【2007.10.13】
2007年6月のマロン
ノネコ(2007/06/20)
2007年5月のマロン
ノネコ(2007/06/20)
去年のマロン
美味しそうに飲んでますね。(2006/01/15)
中国から、嬉しいニュースが届きました。野生では絶滅したと思われたトラが、発見されたそうです。中国南部のトラの亜種、アモイトラです。華南トラとも呼びます。
トラは、多くの動物園で見られますよね。しかし、「動物園にいるから安心」ではありません。じつは、トラは、「絶滅する可能性が、非常に高い」と、心配されています。
トラは、どこの地域でも、最強の肉食獣です。それが、なぜ、絶滅寸前なのでしょう?
人間の活動のためです。人間が、森を切り開いたり、過度に狩猟したりしたために、ひどく数が減ってしまいました。
例えば、中東にいたトラの亜種、カスピトラは、二十世紀の半ばに絶滅しました。かつてのペルシャ帝国で、尊敬された生き物です。別名、ペルシャトラとも呼ばれます。
インドネシアのジャワ島の亜種、ジャワトラは、二十世紀の終わり頃、絶滅しました。同じインドネシアのバリ島にいたバリトラは、二十世紀の前半に絶滅しました。
バリトラは、トラの亜種の中で、体の大きさが最小でした。その他にも、いくつか、変わった特徴を持っていました。絶滅が、とても惜しまれます。
残るトラの亜種も、安泰なものはいません。例えば、アムールトラは、本来の分布地のうち、朝鮮半島では絶滅したようです。別名を、チョウセントラというくらいですのに。他に、シベリアトラ、ウスリートラ、マンシュウトラなどとも呼ばれます。
トラの亜種としては、他に、インドシナトラ(別名マレートラ)、ベンガルトラ(別名インドトラ)、スマトラトラがいます。どの亜種も、人間の開発によって、すみかを奪われています。今や、トラは保護動物なのに、いまだに密猟もなくなりません。
アモイトラは、「最も絶滅に近いトラの亜種」と呼ばれます。確認される限りでは、七十頭未満が、動物園にいるだけです。今回、本当に、野生個体が発見されたのだとしても、安心どころではありません。
大切なものを、「虎の子」といいますよね。トラが、子どもを大切にすることから、こう言うそうです。すべてのトラが、そんなふうに大切にされるといいですね。
※追記【その1】
その後、撮影された華南トラの写真は、ねつ造か?というニュースが報じられています。
※追記【その2】
残念ながらねつ造だったようですね。
過去の記事でも、絶滅が危惧される生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ホッキョクグマが絶滅する?(2007/09/12)
人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/05/31)
ツシマヤマネコの撮影に成功、対馬の下島【しもじま】にて(2007/05/10)
ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見(2007/03/17)などです。
秋から冬にかけては、海が荒れやすい季節ですね。海岸に、いろいろな物が打ち上げられます。なかには、海の生き物も混じっていますね。
流木などに、貝のようなものが付いているのを、見たことがありませんか? 紐【ひも】状の体に、白い殻があります。紐状の部分で、物に付着しています。
それは、きっと、エボシガイ(烏帽子貝)です。姿を見ても、名前を聞いても、貝の仲間のようですね。ところが、エボシガイは、貝の仲間ではありません。
なんと、エボシガイは、エビやカニの仲間です。専門的には、節足動物【せっそくどうぶつ】というグループに属します。貝類は、軟体動物【なんたいどうぶつ】というグループに属します。たとえて言えば、魚とヒトより、もっと縁が遠いです。
エボシガイは、エビやカニとは、全然似ていませんね。物にくっついて暮らします。エビやカニのようには、移動できません。なぜ、同じグループなのでしょうか?
幼生の形から、そのことがわかりました。幼生同士では、エボシガイと、エビやカニは似ています。幼生の間は、エボシガイも移動できます。海中に浮いて暮らします。プランクトンですね。成体になると、物に付着します。親と子の姿が、似ても似つきません。
成体にも、エビやカニと似た点があります。生きたエボシガイを観察してみましょう。海に浮くブイや、桟橋【さんばし】の杭【くい】などで見られます。
静かに観察すると、エボシガイが、殻の間から、細い脚を出し入れするのがわかります。これは、蔓脚【まんきゃく】と呼ばれるものです。文字どおり、脚に当たります。小エビの細い脚に似ています。貝類には、こんな脚はありませんよね。
エボシガイは、フジツボと近縁です。フジツボにも、同じ蔓脚があります。フジツボも、貝にそっくりなのに、エビやカニの仲間(節足動物)なのですね。
時おり、エボシガイは、未確認生物と間違われます。ロープなどに、びっしりエボシガイが付着すると、ネッシーみたいな怪物に見えます。魚などの生き物に付いて、奇怪な新種と騒がれたこともあります。いたずら好きなのかも知れません(笑)
過去の記事で、エボシガイと同じ節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】に属する生き物として、ウミホタルを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「ウミホタル(海蛍)は海の掃除屋さん(2006/4/14)
などです。
図鑑には、エボシガイが掲載されています。近縁なカメノテや、イワフジツボ、クロフジツボも載っています。ぜひご利用下さい。
文化の秋ですね。博物館などで、文化財を見学される方も多いでしょう。
文化財の保存には、手間がかかります。湿気やカビや害虫など、敵がいっぱいだからです。文化財の害虫として有名なのが、カツオブシムシです。
カツオブシムシとは、変わった名ですね。漢字では、鰹節虫と書きます。幼虫が、鰹節【かつおぶし】などに付く害虫なので、この名が付きました。一種ではなく、たくさんの種があります。昆虫の中の、甲虫目【こうちゅうもく】カツオブシムシ科に属します。カブトムシやコガネムシの仲間ですね。
カブトムシと同じく、カツオブシムシの成虫は、硬い体を持ちます。けれども、非常に小さいです。成虫の大きさは、おおむね5mmほどしかありません。
カツオブシムシの中で、最もひどい害をもたらすのは、ヒメマルカツオブシムシでしょう。この種の成虫は、ヒトに無害です。野外で、花の蜜や花粉を食べています。
問題なのは、幼虫です。成虫とは、まったく生活が違います。主に人家に棲みます。
この幼虫は、およそ、何でも食べます。動物質も、植物質も、選びません。鰹節や煮干しなどの食品、毛織物や絹製品などの衣類、動物の剥製【はくせい】や植物の種子などの標本類まで、食い荒らします。美術館や博物館で、最も警戒される昆虫の一種でしょう。一般の民家でも、よく害を受けます。
ところが、カツオブシムシの中には、益虫になるものもいます。ハラジロカツオブシムシという種です。博物館で、動物の骨格標本を作る時に、活躍します。
スズメのような小動物の場合、骨格標本を作るのは、難しいですね。人手では、細かい骨まで取り出せません。そこで、ハラジロカツオブシムシの出番です。大まかに肉を取ったら、あとは彼らの幼虫に任せます。狭い隙間まで潜りこんで、きれいに肉を食べてくれる、というわけです。小さな博物館職員ですね。
害虫や益虫というのは、ヒトの勝手な見方です。同じカツオブシムシが、ヒトに害を与え、益ももたらします。自然界は、それでバランスが取れるのでしょう。
過去の記事でも、人家の害虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シロアリとアリとは、どう違う?(2007/6/11)
シミは本を食べる?(2006/10/27)
「ドイツのゴキブリ」とは、どんな虫?(2006/5/24)
などです。
図鑑には、ヒメマルカツオブシムシ、シロオビマルカツオブシムシが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ノーベル賞の受賞者が、発表される季節ですね。最近は、イグ・ノーベル賞というのも、有名になりました。これは、ノーベル賞のパロディです。「こういうことはすべきでない」と怒る方もいますね。でも、私は、ばかばかしいことも大好きです(笑)
今年は、イグ・ノーベル化学賞を、日本人の女性が受賞しました。受賞の対象となった研究は、「牛糞からの、バニラの芳香成分バニリンvanillinの抽出」です。つまり、「ウシの糞から、バニラの香りの成分を取り出した」ということです。
バニラといえば、アイスクリームやケーキの香りですよね。それが、なぜ、ウシの糞からできるのでしょう?
バニラの香り成分バニリンは、もともと、バニラという植物から抽出されたものです。多くの植物には、バニリンの元になる物質が含まれます。ウシは、植物を食べますよね。ウシの体内で、バニリンが生成されます。それが、牛糞に含まれるわけです。
植物のバニラは、ラン(蘭)の一種です。花を見ると、観賞用の洋ランと似ています。原産地は、中央アメリカといわれます。熱帯植物のため、日本での栽培は、難しいです。
お菓子作りをやる方は、変に思うかも知れませんね。お菓子の材料を買いに行くと、バニラビーンズ(バニラ豆)という物を売っています。お菓子に、バニラの香りを付けるのに使います。「豆」というからには、マメ科の植物ではないのでしょうか?
違います。バニラは、ラン科の植物です。とはいえ、バニラ豆は、確かに、バニラに実るものです。バニラの種子を包む莢【さや】が、バニラ豆です。単に、形が豆の莢【さや】に似ているために、バニラ豆と呼ばれます。
日本人で、バニラの香りを知らない人はいないでしょう。なのに、バニラという植物は、ほとんど知られていません。私たちがバニラの風味を楽しめるのは、昔のアメリカ先住民のおかげです。彼らが、バニラの香りを引き出す方法を、開発しました。
「牛糞からバニラの香り」とは、ばかばかしく見えますね。でも、この研究は、ものごとの思わぬ見方を、教えてくれたといえるでしょう。
過去の記事でも、お菓子に使われる植物を取り上げています。また、バニラと同じラン科の植物の写真もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョコレートの原料は古代文明の遺産、カカオ(2006/2/10)
紫蘭(シラン)(2006/5/22)
春蘭(2006/3/14)
図鑑には、残念ながら、バニラは載っていません。が、カトレヤ、コチョウランなど、十種のラン科植物が掲載されています。ぜひご利用下さい。
和名:ミズヒキ
学名:Antenoron filiforme (Thunb.) Roberty & Vautier
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東京 新宿 【2007.10.06】
図鑑には、ミズヒキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
文化の秋にちなんで、また、博物館へ行ってまいりました。神奈川県立の、生命の星・地球博物館です。神奈川県の小田原市にあります。
名のとおり、地球のことを、すべて扱っている博物館です。鉱物・植物・動物のコレクションが、充実しています。生き物の化石も、たくさんあります。
ここの博物館で、素晴らしいと思ったのは、「さわれる」展示が多いことです。
例えば、オーストラリアにしかいない、珍しい動物の、ハリモグラやカモノハシ。南米のアルマジロやカピバラ。インドのインドサイ。これらの剥製【はくせい】標本に、全部、さわれます。アンモナイトや、古代の巨木の化石にも、さわれます。
「ハリモグラの体毛は、本当に針みたいなのか」とか、「アルマジロの皮膚は、本当に鎧【よろい】みたいなのか」とか、さわらなければ、わかりませんよね。実際にさわれたおかげで、いちだんと深く、ものごとを知った感じです。
目の不自由な人にとって、ここは、とても面白いでしょう。普通の博物館では、標本にさわることは、ほとんどできませんものね。それでは、あまり楽しめないでしょう。ここは、点字の解説も付いています。誰でも、体感して、楽しめますね。
残念なことに、一部、壊れた標本がありました。カンガルーの剥製【はくせい】標本が、さわれない状態でした。誰かが、乱暴にさわったために、壊れてしまったようです。
剥製【はくせい】標本は、たいへん壊れやすいものです。不特定多数の人にさわらせるなんて、普通は、考えられません。でも、「より多くの人に、より多くのことを知ってもらいたい」と、博物館の人たちが考えたのでしょう。その気持ちに応えたいですよね。標本は、壊さないように、そっとさわりましょう。
博物館では、今、特別展「ナウマンゾウがいた!」を開催中です。この会場に、「匂いを嗅げる」展示がありました。本物の、アジアゾウの糞【ふん】です。透明なカプセルに包まれています。カプセルの蓋を開けると......臭かったです(笑) しっかり体感させてもらいました。ゾウだけに、大きな「ウン(運)」がつくかも知れません。
過去の記事でも、いろいろな博物館を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11)
馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/6)
夏休みの宿題の参考に、東京大学へ? 東大総合研究博物館(2007/8/9)
「腹びれのあるイルカ」はどうなった?(2007/2/6)
などです。
水浴び
和名:イソシギ
学名:Actitis hypoleucos
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沖縄 金武 【2007.10.12】
図鑑には、イソシギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
和名:ノネコ
学名:Felis catus
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東京 新宿 【2007.10.06】
過去の御苑福猫
御苑のジジ(2007/10/08)
御苑のジジ(2007/03/04)
新宿御苑のお出迎え役(2007/02/18)
新宿御苑の福猫たち(2007/02/09) などです。
鳥の中で、一番速く飛ぶのは、どの種でしょうか? それは、アマツバメではないかと推測されています。ツバメと似ているものの、別種の鳥です。
アマツバメとツバメとは、名前も、姿も似ています。けれども、分類上は、遠縁です。アマツバメは、アマツバメ目アマツバメ科に属します。普通のツバメは、スズメ目ツバメ科に属します。似ているのは、「他人の空似」です。
アマツバメは、どのくらいの速さで飛ぶのでしょうか? 正確なところは、わかっていません。動きが速すぎるため、速度が計れないのですね。彼らが近くを飛ぶと、鋭い風切り音がするそうです。とんでもない速さなのは、確かでしょう。一説では、アマツバメの仲間のハリオアマツバメが、時速200kmほどで飛ぶといいます。
日本にも、アマツバメは分布しています。夏鳥で、春から秋にしか見られません。ただし、アマツバメの仲間のヒメアマツバメは、一年中日本にいます。
普段、アマツバメは、高い空を飛ぶことが多いです。だから、人目に付きにくいのですね。雨の日は、低く飛ぶことが多いようです。そのため、平地では、雨の日に見られる率が高いです。「雨燕」という名は、ここから付いたようです。
アマツバメは、ハチドリと並んで、「最も空中生活に適応した鳥」といわれます。生活時間のほとんどを、空中で過ごします。食事も、交尾も、睡眠さえも、飛びながらすることができます。水浴びの時も、空中から、一瞬、水に浸かるだけです。
さすがに、子育ては、空中ではできません。卵と雛【ひな】は、飛べませんから。崖【がけ】などに巣を作って、卵を産みます。ヒメアマツバメは、人家にも巣を作ります。
アマツバメは、飛ぶのが速いだけではありません。空中のアクロバットスターですね。そのかわり、脚が弱いです。歩くというより、「しがみつく」ことしかできません。
こんな不思議な鳥が、日本で見られるなんて、嬉しいですね。春と秋は、彼らを見る好機です。渡りのために、平地に来るからです。夏は、繁殖のために、高山や海岸の崖地にいます。長旅をする彼らを、温かく見守ってあげましょう。
過去の記事で、アマツバメに似たツバメを取り上げています。また、最近の研究で、アマツバメに近縁といわれるヨタカも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヨタカは醜い鳥か?(2006/7/14)
渡るツバメ、越冬するツバメ(2005/10/17)
図鑑には、アマツバメが掲載されています。ぜひご利用ください。
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和名:ダイサギ
学名:Egretta alba
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東京 新宿 【2007.10.06】
図鑑には、ダイサギも掲載されています。ぜひご利用下さい。
御苑では、秋のバラが咲き始めました。各地の公園やお庭でも咲き始めているのではないでしょうか。
さて、話題はがらっと変わりますが、先日こちらのバラを撮影した新宿御苑で『スズメバチ』が飛んでいるのを見かけました。
他の山、公園などなどいろいろなところでも、お見かけするのではないでしょうか?
週末行楽にお出かけの方は、くれぐれもお気をつけくださいね。
'インターナショナル・ヘラルド・トリビューン' 作出:1984年 イギリス ハークネス
和名:バラ 園芸種 'インターナショナル・ヘラルド・トリビューン'
学名:Rosa hybrida hort 'International Herald Tribune'
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東京 新宿 【2007.10.06】
過去の記事で、スズメバチの記事を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハチクマはスズメバチの天敵?(2007/09/24)
トラフカミキリは、スズメバチのそっくりさん(2007/09/21)
スズメバチは喧嘩に強い、でも寒さに弱い(2005/10/24) などです。
図鑑には、オオスズメバチ、キイロスズメバチ 、キボシアシナガバチ、クロスズメバチ、コガタスズメバチ、スズバチ、など10種が掲載されています。ぜひご利用下さい。
近年、秋になると、エチゼンクラゲが話題になりますね。エチゼンクラゲの大発生のために、クラゲに、悪役のイメージが付いてしまったようです。
クラゲは、ただの悪役ではありません。例えば、エチゼンクラゲは食用になります。食用になるクラゲとしては、他に、ビゼンクラゲとスナイロクラゲがあります。
ビゼンクラゲとスナイロクラゲは、同じビゼンクラゲ科ビゼンクラゲ属に属します。姿もそっくりです。じつは、「ビゼンクラゲとスナイロクラゲは、同じ種ではないか」という説があります。研究者でも、区別が難しいほど、似ています。
ややこしいことに、生き物には、個体差があります。ヒトでも、一人一人を見れば、顔つきや体格が違いますよね。他の生き物でも同じです。クラゲであれば、同種でも、体の大きさや形や色に、変異があります。違う種同士が、たまたま似た姿になることも、あり得ます。ちょっと見ただけでは、種の区別は、難しいです。
スナイロクラゲは、名のとおり、砂色をしています。けれども、青みがかった個体も多いです。青団子【あおだんご】という方言名があるくらいです。大きさは、エチゼンクラゲほど巨大になりません。傘の直径20cmほどです。時に、40cmを越えるほど大きい個体もいます。色や大きさは、個体差が激しいようですね。
これらの特徴は、ビゼンクラゲと同じです。大きさや色では、スナイロクラゲとビゼンクラゲとは、区別できません。
両種は、分布域でも、区別できません。どちらも、主に日本海に分布します。まれに、太平洋でも見られます。出現する時期も同じで、夏から秋です。スナイロクラゲは、山形県など、東北地方の日本海側に多いようです。ビゼンクラゲは、昔は、瀬戸内海に多かったと記録があります。今では、九州の有明海で、よく漁獲されています。
ビゼンクラゲは、奈良時代ころから、日本で食用にされた記録があります。塩漬けにして、朝廷に献上されたそうです。もし、スナイロクラゲとビゼンクラゲが同種なら、彼らは、最も古くから日本人と付き合ってきたクラゲでしょう。
過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/8/24)
淡水にもクラゲがいる?(2007/8/6)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/7/16)
エチゼンクラゲの利用法(2005/9/20)
などです。
図鑑には、スナイロクラゲが掲載されています。ぜひご利用ください。
子どもの頃、「『ファーブル昆虫記』を夢中で読んだ」方は、多いでしょう。私も、その一人です。ファーブルは、フランス人なのに、日本で著名な昆虫研究者です。
今、日本で、ファーブルを記念する展覧会が開かれています。「ファーブルにまなぶ」展です。東京の国立科学博物館で、開催中です。
地方にお住まいの方、「また東京?」と、がっかりしないで下さい。この展覧会は、各地を巡回します。東京の後は、福岡・滋賀・兵庫を回ります。
私は、東京で、この展覧会を観てきました。小規模ながら、とても内容が濃いです。
会場は、第一会場と第二会場に分かれていました。第一会場では、ファーブルの人生と、彼が研究した昆虫たちが、紹介されています。第二会場では、現在の昆虫学の成果が、紹介されています。ファーブルに触発されて、発展したものです。
第一会場では、ファーブルの博学ぶりに驚きました。昆虫ではありませんが、彼の描いたキノコの絵は、必見です。精妙で、美しいです。立派なプロの画家ですね。
『昆虫記』でお馴染みのフンコロガシ(タマオシコガネ)など、たくさんの昆虫の標本があります。ファーブルにはわからなかった、昆虫の秘密も、解き明かされています。
例えば、ファーブルは、オオクジャクガというガ(蛾)の一種を研究しました。このガの雌(メス)が、何かの匂いを出して、雄(オス)を引き寄せることを発見しました。けれども、彼には、「その匂い物質が何か」までは、わかりませんでした。
現在では、フェロモンと呼ばれる物質であることが、わかっています。フェロモンの詳しい構造は、まだ解明できていません。
第二会場では、日本のハチ(蜂)学の紹介が、面白かったですね。単独生活だったハチが、なぜ、ミツバチのような集団生活になったのか、解明されつつあります。
日本のハチ学は、三人の学者によって、大きく発展しました。三人とも、『ファーブル昆虫記』に感銘して、ハチ学を志したそうです。ファーブルは、「日本の昆虫学の父」かも知れません。彼は、「虫の語る虫の生活」を聴き取った人なのでしょう。
和名:ノネコ
学名:Felis catus
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東京 新宿 【2007.10.06】
過去の御苑ジジ
御苑のジジ(2007/03/04)
秋、田に黄金の穂がなびく風景は、いいものですね。
現在は、農業技術が発達しています。おかげで、作物の収穫量が上がりました。けれども、昔は、さぞかし、害虫に悩まされたことでしょう。
日本には、イネに付く害虫がたくさんいます。イネクロカメムシは、代表的なイネの害虫です。名のとおり、イネに付く黒っぽいカメムシの一種です。
カメムシの仲間は、みな、口がストロー状になっています。ですから、固形物は食べられません。イネクロカメムシの場合は、イネの茎に付いて、そこから液を吸います。イネは、大事な水分や栄養分を吸われてしまいます。たまったものではありませんね。
日本人とイネクロカメムシは、長い付き合いだとわかっています。考古学的な証拠があります。なんと、弥生時代後期の遺跡から、イネクロカメムシの遺骸が発見されています。その遺跡は、大阪府八尾市【やおし】の亀井遺跡です。
イネクロカメムシは、方言名が多い昆虫です。長い付き合いだからでしょうね。福井県でゼントクムシ(善徳虫)、ゲントクムシ、四国でシャクゼン、石川県でフクダノムシなどと呼ばれました。中でも、善徳虫という呼び名に関しては、伝説があります。
昔、善徳という名の僧侶がいました。彼は銀を貯めこんでいました。それを狙って、誰かが彼を殺しました。亡き善徳は、恨みのために、イネを食う虫になったといいます。
イネクロカメムシに限らず、害虫に関しては、似た伝説がいくつもあります。害虫は怨霊だというわけです。そう思いたくなるほど、昔は、虫の害がひどかったのでしょう。
「害虫は、いないほうが良い」と、思いがちですね。しかし、まったくいなくなれば、自然のバランスを崩してしまいます。どこかで、折り合わなければなりません。
害虫のために、昔の人は、苦労が多かったでしょう。そのかわり、虫たちと、うまく折り合おうという気持ちが強かったと思います。フクダノムシというイネクロカメムシの別名が、それを表わすようです。「虫がいるのは、福田(=豊かな田)の証拠」と考えることで、彼らの取り分を認めていたのではないでしょうか。
過去の記事でも、カメムシの仲間を取り上げています。また、伝説に登場する昆虫も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
お菊虫の正体は、ジャコウアゲハ?(2007/8/13)
腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/6/21)
カメムシはなぜ臭【くさ】い?(2006/11/3)
カメムシ(2006/06/07)
などです。
図鑑には、イネクロカメムシが掲載されています。ぜひご利用ください。
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉がありますね。これにちなんで、「馬の博物館」というところへ行ってきました。横浜市中区にある博物館です。
名のとおり、馬のことを何でも扱っています。大まかに分けると、「生物としてのウマ」のコーナーと、「人との関わりにおける馬」のコーナーとがあります。
生物としてのウマは、主に、第四展示室で扱われています。最初のウマの祖先は、柴犬くらいの大きさしかありませんでした。肢【あし】の趾【ゆび】も、一本ではなく、三本や四本でした。それが、進化するにつれ、体は大きくなり、趾【ゆび】の数は減ってゆきます。模型や化石で、この様子が、わかりやすく説明されています。
原始時代、初めてヒトとウマが出会った頃の説明もあります。最初、ヒトは、食べるために、ウマを狩りました。やがて、ヒトは、ウマを使役することを考えます。けれども、すんなり馬を乗りこなせたのではありません。乗馬ができるようになったのは、道具の発明によるところが大きいです。馬銜【はみ】・鞍【くら】・鐙【あぶみ】といったものです。これらの道具の実物が、展示されています。時代や地域により、道具が違います。例えば、ヨーロッパと日本とでは、馬の扱い方が違った、とわかります。
第一展示室や第二展示室では、特別展や企画展が催されることが多いです。私が行った時には、第一展示室で「馬と日本人」展が、第二展示室で「馬の幻獣」展が開催中でした。もうじき、秋季特別展として、「馬のシルクロード」展が開催されます。馬がいなければ、シルクロードは、こんなに栄えなかったでしょう。面白そうな展覧会ですね。
馬の博物館は、根岸森林公園の中にあります。緑が豊かで、とても気持ちが良いところです。博物館の隣には、ポニーセンターがあります。ポニーセンターには、実物の馬がいます。土日には、ポニーセンターで、馬と触れ合う催しが開かれます。
嬉しいことに、馬の博物館は、入館料が安いです。大人でも、たった百円です。特別展の時でも、二百円くらいです。今どき、こんなお値段で楽しめるところなど、そうはないでしょう。手軽な行楽地として、お勧めです。
ホトトギスといえば、たいていの人は、鳥を思い浮かべるでしょう。初夏の風物詩の鳥ですね。ところが、全く同じ「ホトトギス」という名の植物もあります。
植物のホトトギスは、秋に花が咲きます。ですから、秋の季語になっています。一見、鳥のホトトギスと、共通点はありません。なぜ、同じ名が付いたのでしょうか?
それは、ホトトギスの花の模様に由来します。この花には、紫色の細かい斑点があります。この模様が、鳥のホトトギスの胸にある模様と似ている、といいます。
似た模様の生き物は、他にもたくさんいそうです。なぜ、その中から、鳥のホトトギスを選んだのでしょうか? きっと、風流な人が名づけたのでしょう。ホトトギスの花は、日本人の「風流」に合うようです。茶道で、茶席の花として、よく使われます。
ところ変われば、花の感じ方も違います。英語では、植物のホトトギスを、toad lilyと呼びます。「ヒキガエルのユリ」という意味ですね。同じ模様なのに、鳥にたとえるのと、ヒキガエルにたとえるのでは、ずいぶん印象が違います。
漢字で書けば、植物のホトトギスと、鳥のホトトギスを区別できます。植物のホトトギスは、「杜鵑草」や「時鳥草」と書きます。鳥のホトトギスには、「草」が付きません。「不如帰」・「杜鵑」・「時鳥」・「子規」など、多くの漢字名があります。
野草のホトトギスの仲間は、日本に十種以上も分布します。そのほとんどが、日本固有種です。日本は、世界のホトトギスの分布中心地です。園芸用に、栽培されることもありますね。最近では、外国でも、園芸植物として、知られてきたようです。
ホトトギスの花は、面白い形をしています。真ん中から、棒のように突き出ているものがありますね。先端が、三つに分かれています。これが雌【め】しべです。その周囲に、雄【お】しべがあります。花粉がくっつきやすいように、雌しべからは、べたつく液が分泌されます。奇妙に見えても、花は、役目を果たせるようにできているのですね。
近年、野生のホトトギスの仲間を、根こそぎ持ち去る人がいます。そんな行為は、「風流」ではありませんね。日本の誇る固有種は、日本の野山に置くべきでしょう。
過去の記事で、鳥のホトトギスや、野草のヤマジノホトトギスの写真を取り上げています。また、別グループの生き物なのに、同じ名が付いた例として、「ミミズク」も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
昆虫にも「ミミズク」がいる?(2007/7/9)
フクロウとミミズクは、どう違う?(2007/7/2)
田植えを促【うなが】す? ホトトギス(2006/5/3)
野草のホトトギス(2005/12/18)
図鑑には、植物のホトトギスと、ヤマホトトギスが掲載されています。鳥のホトトギス-鳥類も載っています。ぜひご利用ください。
和名:アオサギ
学名:Ardea cinerea
千葉県 谷津干潟【2007.09.15】
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
図鑑には、アオサギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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二〇〇七年の春、「米国で、ミツバチが集団で失踪」というニュースが話題になりましたね。養蜂場のミツバチが、突然いなくなり、群れが崩壊するという現象が、相次ぎました。
この現象は、英語で、「colony collapse disorder」と名づけられました。略称で「CCD」です。日本語では、「蜂群崩壊症候群【ほうぐんほうかいしょうこうぐん】」と訳されています。「ミツバチいないいない病」などという呼び方もあります。
原因究明は、なかなか進みませんでした。「伝染病説」・「携帯電話などの電磁波により、体調や方向感覚がおかしくなった説」・「人間に、蜜を取られ過ぎたことによるストレス(あるいは過労)説」などが、取り沙汰されました。どれも、決め手に欠けていました。
が、このほど、有力な説が現われたようです。それは、「ウイルス病説」です。
病気の原因は、英語名を「Israel acute paralysis virus」というウイルスです。略称で、「IAPV」と呼ばれます。日本語では、「イスラエル急性麻痺【きゅうせいまひ】ウイルス」です。これに感染すると、ミツバチは、最終的に、全身が麻痺して死亡します。この病気の蔓延【まんえん】が、蜂群崩壊症候群(CCD)の原因と推測されます。
けれども、ウイルスだけが原因ではなさそうです。ウイルスに感染しただけでは、ミツバチは発病しません。何らかの原因で、ミツバチが弱っている時のみ、発病します。根本的には、ミツバチが弱っていることが、問題ですね。
寄生虫や、食料不足が、ミツバチを弱らせているのでは?と推測されています。寄生虫として、ミツバチヘギイタダニ(学名Varroa jacobsoni)というダニが、疑われています。
このダニは、セイヨウミツバチの、重大な病気の原因になります。バロア病(varroasis)という病気です。バロア病は、セイヨウミツバチに、重い発育障害を起こします。
世界的に、養蜂に使われるのは、セイヨウミツバチです。セイヨウミツバチに、致命的な病気が蔓延したら、農業が破綻しかねません。農作物の受粉は、セイヨウミツバチに、大いに頼っているからです。ミツバチの危機は、人類の危機ですね。
危機は、考える機会です。生き物との付き合い方を、再考する時かも知れません。
過去の記事でも、ミツバチを取り上げています、よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミツバチが消えた?!(2007/03/02)
地域によって暮らしが違う蜜蜂(ミツバチ)(2006/05/12)
などです。
図鑑には、セイヨウミツバチと、ニホンミツバチが掲載されています。ぜひご利用ください。
ヤスデという虫がいますね。ムカデに似て、違う生き物です。ヤスデとムカデの差については、以前、このブログでも取り上げました。(ムカデとヤスデはどう違う?(2006/10/15)) どちらも、人に嫌われますね。でも、両方とも、必要な生き物です。
ヤスデは、森林の掃除屋として、欠かせません。彼らは、森林の落ち葉や、菌類(キノコの仲間)、動物の死体などを食べます。要するに、「森林の地面に落ちているもの」を食べます。彼らが片付けてくれるおかげで、森林の地面はきれいになります。
ヤスデは、森林の成り立ちにも、貢献しています。森林の根本を支えるのは、じつは落ち葉です。その落ち葉の分解に、ヤスデは深く関わっています。
森林の落ち葉は、菌類によって分解されて、腐葉土になります。腐葉土は、植物の栄養になります。栄養が行き渡れば、木々が育ちます。その木々が、また葉を落とします。この循環があるからこそ、森林が成り立つのですね。
ヤスデが加わることで、この循環は、うまく回っています。ヤスデが落ち葉を食べて、糞をしますね。糞になった落ち葉は、細かく砕かれています。菌類が分解しやすい状態です。おかげで、菌類がどんどん働いて、分解が進みます。
もしも、ヤスデがいなければ、落ち葉の分解が進みにくいでしょう。すると、腐葉土の生産量が減ります。腐葉土が減れば、植物の栄養が、減ってしまいますね。
前記のとおり、ヤスデは、とても役に立つ生き物です。しかし、時には、ヒトの迷惑になることもあります。有名なのが、キシャヤスデの被害です。
キシャヤスデは、八年ごとに大発生します。大発生の時は、線路を覆いつくして、列車を止めるほどになります。だから、「汽車ヤスデ」と名づけられました。
なぜ、キシャヤスデは、八年ごとに大発生するのでしょうか? どうやら、彼らの繁殖期と関係あることが、わかってきました。けれども、まだ、完全には謎が解けていません。キシャヤスデに限らず、ヤスデ類の生態には、謎が多いです。
ヤスデが嫌いでも、むやみに殺すのはやめましょう。彼らは、森林を支える存在です。
過去の記事でも、ムカデやヤスデの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
実在する猫バス? ゲジゲジ(2007/3/9)
ムカデとヤスデはどう違う?(2006/10/15)
図鑑には、ヤスデの一種、ヤケヤスデが掲載されています。ぜひご利用ください。