殻があっても貝じゃない、エボシガイ

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 秋から冬にかけては、海が荒れやすい季節ですね。海岸に、いろいろな物が打ち上げられます。なかには、海の生き物も混じっていますね。
 流木などに、貝のようなものが付いているのを、見たことがありませんか? 紐【ひも】状の体に、白い殻があります。紐状の部分で、物に付着しています。
 それは、きっと、エボシガイ(烏帽子貝)です。姿を見ても、名前を聞いても、貝の仲間のようですね。ところが、エボシガイは、貝の仲間ではありません。
 なんと、エボシガイは、エビやカニの仲間です。専門的には、節足動物【せっそくどうぶつ】というグループに属します。貝類は、軟体動物【なんたいどうぶつ】というグループに属します。たとえて言えば、魚とヒトより、もっと縁が遠いです。
 エボシガイは、エビやカニとは、全然似ていませんね。物にくっついて暮らします。エビやカニのようには、移動できません。なぜ、同じグループなのでしょうか?
 幼生の形から、そのことがわかりました。幼生同士では、エボシガイと、エビやカニは似ています。幼生の間は、エボシガイも移動できます。海中に浮いて暮らします。プランクトンですね。成体になると、物に付着します。親と子の姿が、似ても似つきません。
 成体にも、エビやカニと似た点があります。生きたエボシガイを観察してみましょう。海に浮くブイや、桟橋【さんばし】の杭【くい】などで見られます。
 静かに観察すると、エボシガイが、殻の間から、細い脚を出し入れするのがわかります。これは、蔓脚【まんきゃく】と呼ばれるものです。文字どおり、脚に当たります。小エビの細い脚に似ています。貝類には、こんな脚はありませんよね。
 エボシガイは、フジツボと近縁です。フジツボにも、同じ蔓脚があります。フジツボも、貝にそっくりなのに、エビやカニの仲間(節足動物)なのですね。
 時おり、エボシガイは、未確認生物と間違われます。ロープなどに、びっしりエボシガイが付着すると、ネッシーみたいな怪物に見えます。魚などの生き物に付いて、奇怪な新種と騒がれたこともあります。いたずら好きなのかも知れません(笑)


 過去の記事で、エボシガイと同じ節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】に属する生き物として、ウミホタルを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 「ウミホタル(海蛍)は海の掃除屋さん(2006/4/14) 
などです。



図鑑には、エボシガイが掲載されています。近縁なカメノテや、イワフジツボクロフジツボも載っています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年10月22日 06:51に書いたブログ記事です。

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