死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?

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 だんだん寒くなってきましたね。季節は、海の中にもめぐります。
 例えば、伊豆の海を見てみましょう。伊豆は、ダイビングスポットとして人気です。おかげで、たくさんの種の魚が、ダイバーに観察されています。
 初夏から初冬にかけて、伊豆では、きれいな魚がたくさん見られます。クマノミ、ハマクマノミ、ツノダシ、タテジマキンチャクダイなどです。これらの多くは、サンゴ礁に棲む魚です。本来、もっと南の海にいるものたちです。
 温かいとはいえ、伊豆の海は、サンゴ礁ができるほどではありません。なぜ、サンゴ礁の魚が、伊豆にいるのでしょうか?
 彼らは、南の海からやってきます。海流に乗ってくるのです。伊豆の場合なら、黒潮ですね。日本の太平洋岸を通る暖流です。
 伊豆の海でも、初夏から初冬にかけては、かなり温かいです。南の海の魚が、普通に暮らせます。ところが、温度が下がってくると、そうはいきません。南海生まれの魚たちは、大部分が、冬に死んでしまいます。春になると、南から、新しい幼魚たちがやってきます。
 このような魚を、死滅回遊魚と呼びます。死滅しては、新たに回遊してくることを、繰り返すからです。死滅回遊魚は、南海の魚とは限りません。けれども、日本近海では、「南から北へ来て、冬に死滅する魚」が、こう呼ばれることが多いです。
 死滅回遊は、無駄なことに見えますね。なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
 同じ場所では、生きられる数が、限られるからです。すみかが足りないものは、別の場所へ、すみかを求めるしかありません。そうなるのは、たいてい、新たに生まれた幼魚です。彼らは、生きるために旅立ちます。死滅するために、旅するのではありません。
 たまたま、行き着いた先が、生きるのに適さない場所ですと、死滅回遊になってしまいます。でも、中には、生きやすい場所に着くものもいるでしょう。ひょっとして、そこは、思わぬ新天地かも知れません。リスクがあっても、旅立つ利点があります。
 自然は厳しいです。どの生き物も、その中で、精一杯、生きているのでしょう。

 過去の記事でも、サンゴ礁に棲む魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中の一角獣【いっかくじゅう】? テングハギ(2007/7/23)
クマノミの親子関係(2005/10/31)
ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)などです。



図鑑には、サンゴ礁の魚として、クマノミハマクマノミタテジマキンチャクダイツノダシテングハギバラフエダイなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年11月 5日 07:45に書いたブログ記事です。

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