木に化けて冬を越す? シャクガ

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 多くの昆虫は、冬に姿を消しますね。彼らは、どこで、どうしているのでしょう?
 冬を越す時には、卵や蛹【さなぎ】になる昆虫が多いです。卵や蛹は動かないため、見つけにくいですね。冬に、昆虫を見ることが少ない理由の一つです。
 けれども、冬の間も、幼虫や成虫で過ごす昆虫がいます。動くもののはずなのに、姿は、ほとんど見られません。巧妙に、姿を隠しているからです。
 例えば、シャクガの仲間を見てみましょう。シャクガとは、シャクガ科に属するガ(蛾)の仲間です。何種かのシャクガは、幼虫で越冬します。幼虫は、いわゆるシャクトリムシ(尺取虫)です。成虫は、シャクトリムシの親なので、シャクガ(尺蛾)と呼ばれます。
 シャクトリムシと聞いて、ぴんと来た方もいるでしょう。彼らのうちの何種かは、植物の枝や茎にそっくりです。動かなければ、植物の一部にしか見えないものが、少なくありません。擬態【ぎたい】ですね。これで、敵の目をあざむきます。
 地方によっては、シャクトリムシを、土瓶割【どびんわり】と呼びます。「昔、シャクトリムシを枝と見間違えて、土瓶をかけた人がいた。当然、土瓶はかからず、落ちて割れてしまった」という伝承によります。それほど似ている、というわけです。実際に、クワエダシャクなどの幼虫は、直接、指し示されても、枝と区別が付かないほどです。
 冬、葉の落ちきった森でも、枝にそっくりならば、目に付きませんね。動かないなら、食べる必要もありません。シャクトリムシたちは、そうやって、春を待ち続けます。
 何種かのシャクトリムシは、更にうわての技を持ちます。冬と春とで、色を変えるのです。冬の間は、枯れ枝に似た茶色です。春になると、緑色になります。若芽や若葉に紛れるように、でしょう。オオアヤシャクなどが、この手を使います。
 すべてのシャクガの幼虫が、植物そっくりなのではありません。また、すべてのシャクガが、幼虫で越冬するわけでもありません。しかし、一部に、忍者顔負けの種がいることは、確かです。冬、飢えた敵に食べられないように、彼らも必死なのでしょう。
 冬の公園で、植物に「化けた」シャクトリムシを探すのは、楽しい遊びかも知れません。


 過去の記事でも、昆虫のガ(蛾)の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 虚々実々の駆け引き、ガ(蛾)対コウモリ(2007/7/13)
 木に付いた卵の正体は?(2007/3/7)
 ミノムシは鳴く?(2006/11/15)
 オオスカシバ(2007/0804)
 ハチに擬態?(2006/08/02)
などです。



図鑑には、シャクガ科に属するオオアヤシャクカギバアオシャクが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2007年12月14日 07:29に書いたブログ記事です。

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