アワビという種名の貝はいない?

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 アワビは、縁起が良いとされる食べ物の一つですね。縄文時代から、日本人に親しまれています。巻貝の仲間ですが、漢字では、「鮑」・「鰒」などと、魚へんで書かれます。
 親しまれる割に、アワビの実態は、知られていません。例えば、「アワビ」という種名の貝がいないことは、御存知ですか?
 アワビとは、おおむね、ミミガイ科アワビ属に属する貝の総称です。ただし、アワビ属でも、アワビと呼ばれない種もあります。逆に、アワビ属とはまったく遠縁なのに、アワビと呼ばれる種もあります。普通に食用にされる「アワビ」は、マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビ、エゾアワビなどです。このうち、エゾアワビは、クロアワビの亜種です。北海道などの北方系の海に分布します。他の二種は、クロアワビとは別種です。
 アワビ属の貝は、みな似ています。種の区別が難しいです。混同される種が、少なくありません。特に、メガイアワビとクロアワビは、同種だと誤解されがちです。
 メガイアワビの「メガイ」とは、女貝【めがい】の意味です。昔、メガイアワビは、クロアワビの雌(メス)だと思われました。そのため、こんな名が付いたのですね。対して、クロアワビは、「オン」、「オガイ」などと呼ばれました。男貝【おがい】の意味ですね。本当は、メガイアワビとクロアワビは、別種です。両種ともに、それぞれ雌雄がいます。
 種が違えば、旬【しゅん】も違います。じつは、アワビ全体が旬になる時期は、存在しません。種により、食べて美味しい時期が違います。それは、産卵期に左右されます。
 アワビの仲間は、産卵期の前が旬です。エゾアワビの場合なら、冬から春が旬です。水温の上がった夏に産卵するからです。マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビの場合は、夏が旬です。水温の下がった秋に産卵するからです。
 どの種のアワビでも、産卵する水温は、だいたい同じです。棲む海域により、水温が違うために、こうなるのですね。寒い海のエゾアワビは、暖かい時期に産卵します。暖かい海のマダカアワビなどは、涼しい時期に産卵するわけです。
 今の季節なら、エゾアワビが旬ですね。美味しいエゾアワビをいただきたいものです。


 過去の記事でも、アワビと同じ巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カタツムリの殻は右巻き?左巻き?(2007/06/18)
 いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
 鉄の鱗【うろこ】を持つ貝、スケーリーフット(2006/04/02)
 ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。



図鑑には、メガイアワビクロアワビが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2008年1月14日 07:00に書いたブログ記事です。

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