八十年越しの純愛? アオキ(青木)

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 バレンタインデーが近いですね。それにちなんで、今回は、長年の純愛を実らせたお話をしましょう。この話の主役は、植物です。アオキという樹木です。
 アオキは、日本原産の植物です。常緑樹で、真冬でも、つやつやした葉が美しいです。また、冬には、赤く美しい果実が付きます。このために、江戸時代から、観賞用に栽培されました。薬用にもされました。
 江戸時代は、鎖国の時代でしたね。けれども、わずかながら、外国とのつながりもありました。日本の植物が、外国に持ち出されることもあったのです。
 十八世紀(江戸時代)、アオキは、イギリス人によって、本国に持ち帰られました。園芸植物にするためです。寒いヨーロッパでは、冬にも緑が美しい常緑樹は、尊ばれました。そのうえ、アオキには、つやつやと赤い果実がなるのです。ヨーロッパ人の目には、生命力の象徴のように見えたでしょう。こごえそうな冬に、希望を持たせる植物です。
 ところが、イギリスのアオキは、まったく果実を付けませんでした。雌株【めすかぶ】だけが持ち帰られたからです。アオキは、雌雄異株【しゆういしゅ】の植物なのですね。わかりやすく言えば、「雄(オス)の木と雌(メス)の木とがある」ということです。
 雌雄異株の植物は、雌雄がそろわなければ、果実ができません。動物と同じです。イギリス人は、アオキが雌雄異株だとは、気づかなかったのですね。
 それでも、イギリスで、雌のアオキは大事にされました。葉だけでも、充分に美しいからです。イギリスのアオキは、挿し木で増やされ続けました。
 やがて、「アオキが雌雄異株である」ことが、イギリス人に知られました。イギリスは、アオキの雄株を迎え入れるために、わざわざ日本へ軍艦を差し向けました。まるで、王子さまでも迎えるかのようですね。雄株は、丁重にイギリスへ運ばれました。
 「王子さま」雄株がイギリスに到着したのは、一八六一年といわれます。雌株がイギリスへ来てから、約八十年後でした。翌年から、イギリスでも、アオキの果実がなるようになりました。八十年越しの恋が、文字どおり「実った」わけですね。


 過去の記事でも、バレンタインデーにちなんだ生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 アホウドリの熱愛度は鳥類一?(2007/02/12)
 チョコレートの原料は古代文明の遺産、カカオ(2006/02/10)
などです。



図鑑には、アオキが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2008年2月 4日 06:29に書いたブログ記事です。

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