可憐な少女が鬼母に? ジガバチ

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 二〇〇八年は、五月十一日が、母の日ですね。これにちなんで、子育てをする生き物を、紹介しましょう。母親が、子育てをする生き物です。
 生き物の世界では、子の世話をするものは、とても少ないです。特に、昆虫などの無脊椎動物では、卵を産みっぱなしなのが、普通です。ヒトが、例外的なのですね。
 まれに、子育てをする無脊椎動物がいます。例えば、ジガバチは、子育てをする昆虫です。名のとおり、ハチ(蜂)の仲間です。アナバチ科に属します。
 ジガバチの母親は、子が産まれる前に、準備をします。
 雌(メス)のジガバチは、まず、地面に巣穴を掘ります。その中に、食べ物を入れ、卵を産みます。巣穴をふさぐと、母親ジガバチは、飛び去ってしまいます。
 幼虫は、巣穴の中で、安全です。食べ物にも、困りません。そうして、成虫になるまで、育ちます。親子の対面はなくても、立派な子育てですね。
 ジガバチには、いくつかの種が含まれます。どの種でも、成虫は植物食です。花の蜜や花粉を食べます。ところが、幼虫は動物食です。ガ(蛾)の幼虫を食べます。
 ジガバチの母親は、幼虫のため、自分が食べない物を、捕ってきます。いつもはおとなしいのに、この時ばかりは、狩りをします。ガの幼虫が、狩られます。
 ガの幼虫は、ジガバチの母親に、殺されるのではありません。麻酔をかけられたのと、同じ状態になります。ジガバチは、そういう毒を持つのですね。毒は、ガの幼虫に、針で注入されます。ガの幼虫は、眠ったまま、ジガバチの幼虫に食べられます。
 このように書くと、ジガバチの母親は、鬼母のようですね。けれども、これは、自然の摂理です。私たちヒトも、他の動物を食べますよね。同じことでしょう。
 ジガバチの仲間は、極端に、腰が細いのが特徴です。その特徴は、古代人にも知られていました。万葉集に、ジガバチの古名「すがる」が登場します。「すがる少女【おとめ】」といえば、「腰細【こしぼそ】の美少女」という意味の、褒め言葉でした。
 可憐な少女でも、強い母親になるのは、生物界共通のようですね。


 過去の記事にも、母の日にちなんだものや、子育てをする昆虫の話があります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ハサミムシの鋏【はさみ】は何のため?(2007/05/18)
 クモにも母性愛がある? カバキコマチグモ(2007/05/09)
 子どもの揺籠【ゆりかご】を作る虫、オトシブミ(2006/06/12)
などです。



図鑑には、サトジガバチや同じアナバチ科のクロアナバチが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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このページは、松沢千鶴が2008年5月 9日 07:51に書いたブログ記事です。

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