生物学で大活躍、オワンクラゲ

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 夏、海へ行くと、クラゲに会うことがありますね。クラゲは、嫌われることが多いです。「刺す」といわれるからですね。けれども、中には、人間の役に立つクラゲもいます。
 オワンクラゲが、その一つです。お椀【わん】(お碗【わん】)型の体をしているために、この名があります。日本近海で、普通に見られる種です。
 私の知る限り、ヒトが、オワンクラゲに刺された例は、ありません。危険でないクラゲです。海で会っても、安心して下さい。
 オワンクラゲは、「光るクラゲ」として、知られます。ただし、その光り方は、あまり目立ちません。傘のふちが、ほのかに青白くなる程度のようです。
 この光る性質こそが、人間の役に立ちます。オワンクラゲの持つ「光る物質」が、生物学の実験に使われます。その物質は、二種類あります。イクオリンaequorinという物質と、「緑色蛍光たんぱく質」(略称で、GFP)という物質です。
 イクオリンのほうは、カルシウムの実験に使われます。イクオリンは、カルシウムを感知して、発光するからです。イクオリンを使えば、生き物の体の中の、どこにカルシウムがたくさんあるか、すぐにわかります。「光る」性質のおかげですね。
 GFPのほうは、さまざまな遺伝子が、生き物の体のどこで働いているか、調べる場合に、使われます。その方法は、以下のとおりです。
 まず、調べたい遺伝子と、GFPを作る遺伝子とを、つないで一つにします。これを、生き物の体に入れます。その生き物に、ある特定の光を当てると、生き物の体の一部が、光ります。そこに、GFPが現われているのですね。ということは、GFPの遺伝子とつながれた遺伝子(本命の、調べたい遺伝子)も、そこで働いている、とわかります。
 最近、「光るマウス(ネズミ)」や、「光るブタ(豚)」や、「光るダイズ(大豆)」のニュースを、見たことがありませんか? これらは、前記の手順で作られています。
 光る生き物は、決して、遊びで作られるのではありません。生物の仕組みを知るための実験です。海を漂うクラゲが、こんな実験に役立つなんて、驚きですね。

  


図鑑には、オワンクラゲをはじめ、十種以上のクラゲが掲載されています。ぜひご利用下さい。 

 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)

などです。


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このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2008年8月 4日 07:09に書いたブログ記事です。

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