セキヤノアキチョウジとは、どんな意味?

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 生き物の名には、不思議なものがありますね。セキヤノアキチョウジは、その例の一つです。これは、植物の名です。日本の野草の一種です。シソ科ヤマハッカ属に属します。
 カタカナでは、どこで切って読めばいいのかも、わかりませんね。漢字で書けば、わかりやすくなります。「関屋【せきや】の秋丁子【あきちょうじ】」です。
 もともと、アキチョウジ(秋丁子)という植物が、あるのですね。これと近縁なのが、セキヤノアキチョウジです。「関屋の」とは、どういう意味でしょう?
 関屋とは、関所の建物のことです。「箱根の関所を指す」説が、有力です。セキヤノアキチョウジが、関東地方と中部地方に、分布するからでしょう。箱根の関の付近に多かったため、「関屋の」が付いた、といいます。アキチョウジのほうは、西日本に分布します。
 ただし、この説は、確定していません。他の語源の可能性も、あります。
 セキヤノアキチョウジと、アキチョウジは、外見も似ています。ちょっと見ただけでは、区別が付きません。どちらも、秋に、可憐な青紫の花を、咲かせます。
 アキチョウジとは、「秋に咲く丁子【ちょうじ】に似た花」の意味です。丁子とは、スパイスに使われる「クローブ」のことです。東南アジアなどの、熱帯産の植物です。
 花の形は、確かに、丁子に似ます。けれども、アキチョウジや、セキヤノアキチョウジの雰囲気は、熱帯植物とは、かけ離れています。日本の野草らしい、控えめな美しさです。
 アキチョウジには、「キリツボ」という別名があります。これの意味は、わかりません。漢字表記では、「桐壺」でしょうか? 「切壺」かも知れません。「切壺」なら、昔、油を入れるのに使った、小さな壷のことです。それに、花の形が似ているのでしょう。
 しかし、ここは、「桐壺」説を、採用してみたいですね。源氏物語に登場する女性の名です。かの光源氏の母親です。控えめな美が、夭折した美人に似つかわしい、と思います。
 そういえば、源氏物語には、「関屋」という巻があります。この「関屋」は、逢坂【おうさか】の関を指します。「関屋」といい、「キリツボ」といい、源氏物語に縁がありますね。「関屋の秋丁子」を名づけた人は、源氏物語を想像したのかも知れません。
 


図鑑には、セキヤノアキチョウジが掲載されています。ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、源氏物語に関連する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 常夏の花とは、どんな花?(2008/08/20)
 「朝顔」は、謎の植物?(2008/07/21)
 ムクゲ(木槿)は昔、朝顔だった?(2008/07/04)
 源氏物語のヒロインも嘆く? ムラサキの運命(2008/06/06)
などです。

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このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2008年9月 5日 07:30に書いたブログ記事です。

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