グミと茱萸とは、同じ? 違う?

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 グミは、果実が食用になる植物ですね。昔は、子どものおやつにされました。農作物として育てられることは、少ないですね。庭などに植えられることが、多いです。
 グミの果実といえば、秋の印象が強いでしょう。けれども、秋以外に実るグミもあります。グミとは、グミ科グミ属に属する植物の、総称です。一種だけではありません。
 秋に実るのは、主に、アキグミという種です。他に、春に実るナワシログミ、夏に実るナツグミなどがあります。中には、果実が食べられない種もあります。
 「ぐみ」を漢字で書くと、「茱萸」です(他の漢字表記もあります)。難しい字ですね。もちろん、当て字です。「茱萸」を素直に音読みすれば、「しゅゆ」です。
 茱萸【しゅゆ】とは、もともと、中国にあった植物です。昔の日本人は、茱萸【しゅゆ】を、日本のグミだと考えて、この字を当てました。ところが、それは、間違いでした。
 本来の茱萸【しゅゆ】が、どんな植物だったのかには、いくつかの説があります。主な説は、二つです。サンシュユ(山茱萸)説と、ゴシュユ(呉茱萸)説です。
 サンシュユにも、ゴシュユにも、秋、赤っぽい果実がなります。このことから、グミと混同されました。特に、サンシュユの果実は、グミそっくりで、食用になります。
 グミと茱萸【しゅゆ】との混同は、日本の行事にも、影響しました。重陽【ちょうよう】の節句という行事です。旧暦の九月九日(今の暦では、十月上旬)に行なわれました。
 重陽の節句は、中国から伝わった行事です。中国では、この節句に、茱萸【しゅゆ】を用いました。日本では、グミを用いたようです。平安時代の文書に、茱萸【ぐみ】を入れた「茱萸嚢【ぐみぶくろ】」が、重陽の節句に用いられた、とあります。
 現在の日本には、サンシュユも、ゴシュユもあります。どちらも、江戸時代に、日本に伝わりました。平安時代の日本には、ありません。平安時代に「茱萸」といえば、グミを指したでしょう。今では、重陽の節句自体が、忘れられてしまいました。
 誤解からの始まりでも、茱萸嚢【ぐみぶくろ】という風習は、良いものだと思います。グミの果実は、赤く、かわいいですよね。日本の秋を、おもむき深くしてくれます。


図鑑にはアキグミ(秋茱萸)と、ナワシログミ(苗代茱萸)が掲載されています。また、サンシュユ(山茱萸)も、載っています。ぜひご利用ください。


 過去の記事でも、グミと同じく、重陽【ちょうよう】の節句に関する生き物を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)
九月九日は菊の節句(2006/09/09)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2008年10月13日 07:18に書いたブログ記事です。

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