エビ(海老)は、日本人に好まれる食べ物ですね。縁起が良いものとしても、喜ばれます。姿がかっこいいものが、多いためでしょう。
けれども、中には、奇妙な姿のエビもいます。例えば、ウチワエビです。
名のとおり、ウチワエビは、団扇【うちわ】にそっくりです。全体的に、平たいです。体の前半分が、円くて上下に平たいため、団扇のように見えるのですね。
ウチワエビは、なぜ、こんな姿なのでしょうか? 平たい体でぱたぱた泳ぐ、わけではありません。少なくとも、成体のウチワエビは、泳げないようです。移動する時は、海底を歩きます。普段は、海底の砂や泥に、潜っていることが、多いようです。
「ようです」と書いたのは、ウチワエビの暮らしが、よくわかっていないからです。彼らは、比較的、深い海に棲みます。ダイバーが行ける範囲には、いないことが多いのですね。ですから、自然の状態を、なかなか、観察できません。
海底で暮らす生き物は、体が平たいことが、よくあります。魚のアンコウなどが、そうですね。海底に、うまく紛れるためです。そうすれば、敵から逃れたり、獲物に忍び寄ったりできます。ウチワエビが平たいのも、そういう理由ではないでしょうか。
ウチワエビは、食用に、漁獲されています。主に、西日本で食べられます。日本の各地に、ウチワエビの方言名があります。ヒッパタキ、ヒラエビなどです。どれも、その印象的な姿から、名づけられています。
方言名には、注意すべきことがあります。一つの方言名が、必ず、一つの種を指すとは、限りません。複数の種を、含むことが多いです。
ウチワエビには、オオバウチワエビという、外見が似た別種がいます。ヒラエビといった方言名は、ウチワエビと、オオバウチワエビを、まとめて呼ぶ名です。市場で呼ぶ場合には、それで不自由はないのでしょう。この二種は、同じように美味だそうです。
ウチワエビの仲間(セミエビ科ウチワエビ属)は、暖かい海に、広く分布します。東南アジアなどでも、食べられています。美味しいものに、国境はないのでしょう。
図鑑にはウチワエビが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。
平たい体は何のため? ウチワエビ
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://blog.zukan.net/MovableType4/mt-tb.cgi/5131
ウチワエビっておよそエビらしからぬ形をしてますね。こんな種類のエビがいることを初めて知りました。
やはり、海底の方が外敵から身を守るのに有利だからだったのではないでしょうか?ウチワエビはエビの仲間でも弱者の方だったのかも知れません。
fkmildさん、いつもありがとうございます。
生物の形って本当に不思議ですよね。こんな不思議な形の生物を最初に食べた人はすごいですね(笑)。
また、お待ちしております。