
クサボケ 画像 和名:クサボケ 学名:Chaenomeles japonica

図鑑には、クサボケは残念ながら載っていませんがボケが掲載されています。ぜひご利用ください。
キブシという名の植物があります。日本の山に、普通に生える樹木です。早春に、黄色い花を咲かせます。ブドウの房のような花です。
キブシは、キフジと呼ばれることもあります。漢字で書けば「黄藤」です。黄色いフジに似た花だからですね。「この名がなまって、キブシになった」という説があります。
けれども、これとは違う説もあります。「キブシは、木の五倍子【ふし】の意味だ」という説です。「五倍子」と書いて「ふし」と読むのですね。
五倍子とは、ヌルデという木の葉から作られるものです。薬用や染料用に使われます。五倍子で染めた物は黒くなります。
キブシの種子は、この五倍子の代用になります。同じように物を黒く染めます。このことから「木五倍子【きぶし】」という名になったというのです。
ヌルデとキブシとは近縁ではありません。ヌルデは、ウルシ科に属します。キブシは、キブシ科です。遠縁なのに同じ用途になるとは面白いですね。
ヌルデの五倍子とキブシの種子は昔、お歯黒【はぐろ】に使われたそうです。「お歯黒」を御存知ですか? 主に、明治時代より前の日本にあった風習です。鉄漿【かね】という染料を用いて歯を黒く染めるというものです。
この鉄漿の原料に、ヌルデの五倍子やキブシの種子が使われました。昔は、このために多くのヌルデやキブシが栽培されたでしょう。
お歯黒の風習はすたれて久しいですね。他の染料としての用途も激減しました。人工染料が発達したためです。
現在、キブシが栽培されるのは果実を取るためではなく花を観賞するためです。ちなみにヌルデのほうは薬用に栽培されます。
野山では野生のキブシが健在です。早春の山を歩いたりドライブしたりすると、ずらりと下がった黄色い花が見られます。花が少ない季節なので目立ちますね。早春の山歩きでは、楽しみの一つです。
図鑑には、
キブシが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、早春に花が咲く植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ロウバイ(蝋梅)の花に来るのは、誰?(2009/02/02)
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01) ※早春に咲くサンシュユの解説があります。
ミツマタは、本当に「三つまた」になる?(2008/03/07)
ミツマタ(2008/03/06)【画像】
などです。
北海道や東北では、魚屋でよく「ツブ」という貝を売っています。「ツブ貝」と呼ばれることもあります。巻貝ですね。正式な種名は、何というのでしょうか?
これは、難しい問題です。「ツブ」と呼ばれる貝には、たくさんの種が含まれるからです。
中でも多いのは、エゾバイ科に分類される種です。エゾバイ、エゾボラ、ヒメエゾボラなどです。似た種名が多くてややこしいですね。
ここでは、ヒメエゾボラを取り上げてみましょう。この種は、代表的な「ツブ」の一種です。東北地方以北の海に分布します。
ヒメエゾボラの殻は、典型的な巻貝の形です。けれども、よく見ると個体ごとに少しずつ形が違います。模様も、個体ごとにさまざまです。別種のように見えるものもいます。このため、同じヒメエゾボラでも違う名で呼ばれることがあります。
ヒメエゾボラは、美味しい貝です。でも、食べ過ぎないように御注意下さい。この貝を食べ過ぎると、酔ったような状態になることがあります。
これは、テトラミンという物質のしわざです。ヒメエゾボラの、唾液腺【だえきせん】という部分に含まれます。調理されて売っているものでは、唾液腺を除いてあるのが普通です。除いてあれば、たくさん食べても大丈夫です。
ヒメエゾボラには、ネムリツブという別名があります。これは、テトラミン中毒の症状から来ています。酔ってふらふらしたり、眠くなったりした状態に似るのですね。
ヒメエゾボラ以外にも、エゾバイ科の種は多くテトラミンを持ちます。ですから、ネムリツブという名は、他の種にも用いられます。
英語では、ヒメエゾボラの仲間(エゾバイ科エゾボラ属の種)を、ネプチューンneptuneと呼びます。これは、エゾボラ属のラテン語の学名Neptuneaに由来します。Neptuneaとは、ローマ神話の海の神、ネプトゥーヌスNeptunusにちなんだ名です。
ヒメエゾボラの仲間に、テトラミンがあるのは、ネプトゥーヌスの戒めかも知れません。「海の恵みを、むさぼり過ぎるな」というわけでしょうか。
図鑑には、
ヒメエゾボラが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「越中バイ」はバイじゃない?(2009/01/26)
マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20)
ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(20080/7/25)
カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02)などです。
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コウモリ(蝙蝠)には、たくさんの種がいます。日本にも多くの種が分布します。
日本のコウモリは、ほとんどが小型の種です。翼を縮めれば、ヒトの掌【てのひら】にすっぽり入ってしまうくらいです。けれども中には大型の種もいます。
それは、オオコウモリの仲間です。日本では、小笠原諸島と南西諸島に分布します。
名のとおり、オオコウモリは、大型のコウモリ類です。専門的には、翼手目【よくしゅもく】というグループの中の大翼手亜目【だいよくしゅあもく】に属します。
普通のコウモリは、翼手目の中の小翼手亜目【しょうよくしゅあもく】に属します。日本の内地にいるコウモリは、みなこちらのグル-プです。
オオコウモリと、普通のコウモリとは大きさ以外にも違いがあります。分布、食性、飛び方などです。差がわかりやすいのは、分布と食性ですね。
オオコウモリの仲間は、熱帯から亜熱帯に分布します。寒さに弱いのですね。普通のコウモリは、亜寒帯にまで分布します。
食性は、オオコウモリが植物食です。果実や花の蜜を食べます。普通のコウモリは、動物食が多いです(例外もあります)。日本に分布する種は、主に昆虫を食べます。
英語では、オオコウモリの仲間をflying foxと呼びます。「空飛ぶキツネ」という意味ですね。キツネとは遠縁なのに、なぜ、オオコウモリが「飛ぶキツネ」なのでしょう?
理由は、オオコウモリの顔が、キツネに似るからです。尖った顔なのですね。この顔は、オオコウモリの食性と関係しています。
果実は、丸いのでくわえにくいです。しかし、オオコウモリは手が使えません。翼になっているからですね。口だけでうまく果実をくわえるには?
口を長くすれば、くわえる部分が多くなりますね。しっかりとくわえられます。口を長くした結果、オオコウモリの顔は突き出して「キツネ顔」になりました。
日本には、二種の「キツネ顔」コウモリがいます。オガサワラオオコウモリとクビワオオコウモリです。いつまでも、そのユニークな顔が見られるようにしたいですね。
図鑑には、
オガサワラオオコウモリとクビワオオコウモリが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、コウモリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
引越しは嫌い? ヒナコウモリ(2008/09/19)
米国で、コウモリが、謎の大量死(2008/05/12)
コウモリと共存しよう、引越し大作戦(2008/04/28)
虚々実々の駆け引き、ガ(蛾)対コウモリ(2007/07/13)
などです。
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寒い季節でも、暖かい地方では、生き物の活動が見られますね。今回は、南西諸島の生き物を紹介しましょう。カメ(亀)の一種、リュウキュウヤマガメです。
カメと言えば、「水中にいるもの」と思う方がいるでしょう。けれども、リュウキュウヤマガメは、陸生です。林の中で暮らします。時には、水に入ることもあります。が、陸にいるほうが、普通です。
カメの仲間には、このような陸生の種も、多いです。通称で、陸ガメと呼ばれます。
ややこしいことに、分類学的には、すべての陸ガメが、近縁なわけではありません。陸で暮らすカメと、水中に暮らすカメが、近縁だったりします。
リュウキュウヤマガメは、ニホンイシガメと、同じ科に属します。ニホンイシガメは、日本の内地にいるカメですね。よく、水中にいます。分布域も、暮らし方も、リュウキュウヤマガメとは違います。なのに、同じ科なのですね。
リュウキュウヤマガメや、ニホンイシガメが属する科は、イシガメ科といいます。イシガメ科は、バタグールガメ科とも呼ばれます。この科には、人間に身近な種が含まれます。ニホンイシガメや、クサガメなどです。その割に、研究が進んでいません。
例えば、リュウキュウヤマガメの分類は、一九九〇年代になって、見直されました。それまで、このカメは、スペングラーヤマガメの亜種だとされていました。
スペングラーヤマガメは、ベトナムなど、東南アジアに分布する種です。リュウキュウヤマガメは、この種の中の一グループだと思われました。それが、違う種だとわかったのですね。昔から知られた種でも、研究が進んでいないと、このようなことがあります。
リュウキュウヤマガメは、保護されています。けれども、前途が安泰とは、とても言えません。外来種にすみかを奪われたり、交通事故に遭ったりしています。今のところ、保護の対策は、目覚ましい成果を上げていません。
たぶん、生き物の保護対策には、特効薬は、ないのでしょう。すみかの整備や、食べ物の確保などを、地道に続けるのが、一番の対策だと思います。
図鑑には、
リュウキュウヤマガメが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、カメの仲間を取り上げています。また、南西諸島に分布する他の爬虫類も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「ひとりぼっちのジョージ」が、独りから脱出?(2008/07/25)
イグアナ? いえ、キノボリトカゲです(2008/02/11)
イシガメが絶滅寸前?(2007/11/19)
などです。
日本の冬といえば、「こたつに蜜柑【みかん】」ですね。ミカンの仲間は、冬の果物として定着しています。冬、ミカンの産地へ行くと果実が鈴なりですね。
ミカンの産地で、庭先の果実をいただこうとしたら「それは食べられないよ」と言われたことがあります。「ミカンではなくて、カラタチだ」というのです。
カラタチ(枳)は、食用のミカンと同じミカン科の植物です。ミカンによく似た果実がなります。けれども、果実は食べられません。酸味と苦味が強すぎるからです。
食用にならないのに、カラタチは栽培されます。主な用途は三つです。
一つは、生垣【いけがき】にするためです。カラタチの木は、棘が多いため防犯によいのですね。でも、近年は、生垣というもの自体が減ってしまいました。
もう一つは、薬用です。カラタチの果実は、民間薬に使われることがあります。果実酒の材料にされたりします。
最後の一つは、台木【だいぎ】にするためです。カラタチは、ミカン類の台木に、よく用いられます。
果樹を栽培するには、一般的に、接木【つぎき】という方法が使われます。別種の木同士を接ぎ合わせるのですね。その際、下側(根っこの側)になるほうを台木といいます。上側(接がれる枝)になるほうを、接穂【つぎほ】といいます。
ミカン類の栽培では、カラタチを台木にするのが普通です。ウンシュウミカンなど、果実を収穫したいものを接穂にするわけです。
接木には、さまざまな利点があります。病気に強くなったり、早く収穫できたりします。
ところが、接木には欠点もあります。まれに、接穂が枯れて台木のほうが育つことがあります。前記の「ミカンと思ったら、カラタチだった」のはその例です。
その家の人は、ミカンを育てるつもりでカラタチに接木をしました。なのに、カラタチのほうが育ったのだそうです。なぜそうなったのかはわかりません。「人間の思うとおりには、ならないぞ」と、カラタチが反抗したのでしょうか。
図鑑には、
カラタチが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、ミカン科の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)
お釈迦さまも食べた? レモン(2006/08/21)
代々の実が付くおめでたい果実、ダイダイ(2005/12/31)
などです。
もうじき、バレンタインデーですね。「この機会に想いを告白!」という方もいるでしょうか。今回は、そういう方に勇気を贈る話をしましょう。
生き物の世界では、普通、種の違うもの同士は結ばれません。種が違えば、暮らし方が違うからです。結ばれようがないのでしょう。
ところが、ごくまれに、種が違うもの同士が結ばれることがあります。人間が、無理やりそうさせたのではありません。自然にそうなった例が観察されています。
話の主役は、ナベヅル(鍋鶴)とクロヅル(黒鶴)です。どちらもツルの一種です。
ナベヅルは、冬、日本にたくさん飛来します。特に、鹿児島県の出水市【いずみし】には、多く来ます。なんと、八千羽ほどのナベヅルが、毎年、ここで冬を越します。
クロヅルも、冬、日本にやってきます。こちらは、少数しか来ません。ただし、世界的には、そんなに少ないツルではありません。ユーラシア大陸に、広く分布します。
一九七〇年頃、出水市で、ナベヅルとクロヅルのつがい(夫婦)が観察されました。ナベヅルの雌(メス)と、クロヅルの雄(オス)です。
つがいの間には、雄の子どもがいました。ナベヅルとクロヅルの混血ですね。この「ハーフくん」は、ナベクロヅルと名づけられました。
違う種の間に生まれても、ナベクロヅルは、ちゃんと成体になりました。つがいの相手もできました。お嫁さんは、ナベヅルの雌です。この二羽の間にも、子どもができました。毎年、その年に生まれた幼鳥を連れて、日本に来ているそうです。
別種の間に生まれた子には、繁殖能力がないことが多いです。けれども、ナベクロヅルは、まったく問題がないようです。他のツルと同じように、家族を作っています。
ナベクロヅルは、他にも、何羽か観察されています。ナベヅルとクロヅルのつがいが、無事に暮らしている証拠でしょう。種の壁を越えて、愛をはぐくんでいます。
ヒト同士のカップルならば、種の壁はありませんね。ほとんどの障害は、思い込みによるものではないでしょうか。カップルの仲の良さは、ツルを見習いたいですね。
図鑑には、
ナベヅルが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、ツルや、ツルと紛らわしいコウノトリを取り上げています。また、バレンタインデーにちなんだ生き物の話題もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
八十年越しの純愛? アオキ(青木)(2008/02/04)
鶴(ツル)の舞は何のため?(2006/01/03)
コウノトリとツルの違い(2005/10/04)
寒い季節には、昆虫を見ることは、少ないですね。でも、思わぬ場所で、昆虫に出会うこともあります。例えば、家の中です。
台所の隅などで、妙に脚の長い「コオロギ」に会ったことが、ありませんか? その脚にふさわしく、大きく跳ねる昆虫です。よく、「便所コオロギ」と呼ばれます。
それは、カマドウマという昆虫の仲間です。コオロギと同じく、バッタ目【もく】に属します。厳密には、コオロギとは、少し違うグループです。バッタ目の中の、カマドウマ科に属します。コオロギは、バッタ目のコオロギ上科【じょうか】に属します。
カマドウマ科に属する種は、みな似ています。そのため、どの種もまとめてカマドウマと呼ばれることが、多いです。正式な種名は、それぞれ、マダラカマドウマ、コノシタウマ、クラズミウマなどと付いています。ややこしいことに、正式な種名を「カマドウマ」というものもいます。
カマドウマ科の昆虫は、なぜ、人家にいるのでしょうか? たぶん、人家の中が、暖かいからでしょう。加えて、食べ物があることも、見逃せません。カマドウマの仲間は、雑食性です。ヒトが食べる物は、たいがい食べるようです。
もともと、カマドウマ科の昆虫は、洞窟や、朽ち木の穴に棲んでいたと思われます。今でも、種によっては、そのような場所に棲みます。そういう場所では、空を飛ぶ必要がありません。安全だからですね。そのため、彼らは、翅【はね】を失いました。
カマドウマたちから見れば、人家は、洞窟などと、似ているのかも知れませんね。食べ物が豊富な点では、洞窟などより、ずっと棲みやすいでしょう。
少し前までは、「カマドウマがいる家は、食べ物に困らない」とか、「カマドウマは、竈【かまど】を守る神」といった伝承が、各地にありました。これらの伝承は、あながち、間違いではなさそうです。「安全で、食べ物がある場所」と感じなければ、カマドウマは、その家に棲まないでしょうから。
「不潔だ」と追い出すよりは、共存をはかるほうが素敵な感性だと思います。
図鑑には、
マダラカマドウマが掲載されています。マダラカマドウマに近縁のコノシタウマの画像もあります。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、バッタ目【もく】の昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
精霊【しょうりょう】バッタとは、どんなバッタ?(2007/08/15)
都会派のコオロギ、アオマツムシ(青松虫)(2006/10/02)
キリギリスは草食か肉食か?(2006/06/30)
カルガモ 画像
和名:カルガモ
学名:Anas poecilorhyncha
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2009.01.24】
図鑑には、
カルガモが掲載されています。ぜひご利用ください。
福猫ちゃんのごはんを、ちょっといただけないか...いい子座りでアピールしているカラス。ハシブトガラス 画像
和名:ハシブトガラス
学名:Corvus macrorhynchos
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2009.01.24】
図鑑には、
ハシブトガラスが掲載されています。ぜひご利用ください。
一年で最も寒い季節ですね。外に出ると何もかも凍りついているように見えます。生き物の気配など感じられませんね。
ところが、こんな季節にも花を咲かせる植物があります。ロウバイです。
ロウバイの花期は、だいたい一月から二月頃です。花は小さくて目立ちません。そのかわり、とても良い香りがします。花の色は、黄色い中に茶色の芯があります。
なぜ、ロウバイはこんな季節に花が咲くのでしょうか? おそらく、ライバルの少ない季節を狙ったのでしょう。以前、ヤツデのコラムで説明しましたね。( 商売は、商売敵が少ない時期に? ヤツデ(2008/11/28))
それにしても、こんなに寒くては活動できる昆虫などいなさそうです。ロウバイは、 昆虫以外に花粉を運んでもらうのでしょうか?
例えば、ツバキは鳥に花粉を運んでもらいます。ツバキも、寒い季節に咲きますね。
けれども、ロウバイはあまり鳥に頼っているようには見えません。その理由は、ロウバイの花が鳥が来やすいようにできていないからです。
鳥に花粉を運んでもらう花を鳥媒花【ちょうばいか】と呼びます。鳥媒花には、いくつかの特徴があります。大型の花であること、赤い色が多いこと、香りが少ないことなどです(例外もあります)。これらは、鳥に見つけてもらいやすい特徴です。
鳥は、視覚が発達しています。ですから、「大きくて、赤くて、目立つ」花が多くなります。香りが少ないのは、鳥の嗅覚が発達していないからです。
ロウバイの花は、鳥媒花らしくありませんね。「小さくて、黄色くて、香りが強い」花です。ロウバイの花粉の運び手は誰でしょうか?
この問題を解くには、マンサクの花がヒントになりそうです。マンサクの花は、ロウバイに似るからです。どちらも、寒い季節に咲きます。黄色くて芯が茶色い花です。
マンサクの花には、ハエや、ハナアブが来ます。ハエやハナアブは、成虫で越冬するのですね。その間の栄養を、マンサクやロウバイに頼っているのでしょう。
図鑑には、ロウバイ、マンサクが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、寒い季節に花が咲く植物を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クリスマスローズはクリスマスに咲かない?(2007/12/03)
サザンカとツバキはどう違う?(2006/12/04)
あんこ椿(ツバキ)は恋の花(2006/02/13)
などです。
今頃は、満開ではないでしょうか。 ソシンロウバイ 画像
和名:ソシンロウバイ
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2009.01.24】
図鑑には、ロウバイが掲載されています。ソシンロウバイの花の画像も載っています。ぜひご利用下さい。