花の季節には、昆虫も多いですね。たくさんの昆虫が、花にやってきます。蜜や花粉を食べるためですね。中には、他の目的で、花に来るものもいます。
庭や公園で、花を覗いてみましょう。小さなクモが、いるかも知れません。腹部が薄い黄色で、頭や脚が緑色のクモが、いませんか? それは、きっと、ハナグモです。
ハナグモ(花蜘蛛)という名は、花によくいるところから、付けられました。彼らは、蜜や花粉を食べに来るのではありません。他の虫を食べるために、花に来ます。
クモの仲間は、みな肉食性です。ハナグモの場合は、花に来る昆虫を待ち伏せることが多いです。チョウやハチなどが、蜜や花粉を食べるのは、命がけです。
こう書くと、ハナグモは、悪者みたいですね。けれども、園芸をやる人は、彼らを大切にします。ハナグモなどのクモは、花の害虫も、よく食べるからです。クモのような肉食者がいなければ、昆虫が増えすぎてしまいます。
ハナグモは、八本の脚のうち、前の四本がとても長いです。これは、獲物を捕らえやすいように、です。花にいる時は、たいてい、この四本を、大きく横に広げています。射程範囲に、獲物が入るやいなや、すばやく脚を伸ばします。
横に脚を伸ばした様子は、カニ(蟹)を思わせます。このため、ハナグモの仲間には、カニグモ科という分類名が付いています。カニグモ科には、ハナグモ以外にも、多くの種が属します。コハナグモ、ヒメハナグモなどは、ハナグモと紛らわしいです。
ハナグモの体色には、個体により、変異があります。腹部に、茶色っぽい模様があることが多いです。時に、その模様は、ヒトの顔に似ます。「人面グモ」などと騒がれるのは、たいがい、ハナグモです。なぜ、こんな模様があるのかは、わかっていません。
目立ってしまっては、待ち伏せに、不利な気がしますよね。しかし、目立ちそうな「人面グモ」も、普通に狩りをします。昆虫には、あの模様が、見えないのでしょうか。
ハナグモの「人面」は、個体によって、表情が違います。怒った顔、泣いた顔、笑った顔、みんなあります。ハナグモの表情拝見、などという自然観察も、楽しいですね。
図鑑には、
ハナグモが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
クモにも母性愛がある? カバキコマチグモ(2007/05/09)
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
などです。
人面グモ? いえ、ハナグモです
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