陸では、花が一番多い季節ですね。海の中にも、「花」が咲いています。 海中の「花」は、ハナギンチャクという生き物です。漢字で書けば、「花巾着」です。名前から想像されるとおり、イソギンチャク(磯巾着)の仲間です。 海中のイソギンチャクは、植物の花のようですね。触手が、花びらのようで、美しいです。英語で、イソギンチャクを、sea anemone(海のアネモネ)と呼ぶほどです。 けれども、イソギンチャクの仲間は、植物ではなく、動物です。おおむね、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう、または、かちゅうこう】イソギンチャク目【もく】に属するものを、イソギンチャクと呼びます。 ハナギンチャクの外見は、イソギンチャクにそっくりです。しかし、分類上は、意外に遠縁です。花虫綱のハナギンチャク目【もく】に属します。 ハナギンチャクと、イソギンチャクとは、どう違うのでしょう? 主な違いは、ハナギンチャクが、「管の中に棲む」ことです。このために、ハナギンチャクは、英語で、tube anemone(管のアネモネ)などと呼ばれます。 ハナギンチャクは、泥や砂の海底に棲みます。泥や砂に穴を掘り、そこに管を作ります。その管から、花のように、触手を出します。驚くと、管の中に引っ込みます。 イソギンチャクは、管を持ちませんね。海底の石など、硬い所に、直接くっつきます。くっつくために、イソギンチャクの体には、吸盤があります。触手のあるのとは反対側の、体の後端が、吸盤です。ハナギンチャクには、この吸盤がありません。 日本の近海には、ムラサキハナギンチャクと、ヒメハナギンチャクという、二種のハナギンチャクが多いです。どちらも、色彩の変異が多く、華やかな種です。 紛らわしいことに、イソギンチャクにも、泥底や砂底に棲むものがいます。スナイソギンチャクなどです。それらのイソギンチャクは、泥や砂の中の小石などに、吸盤でくっついています。「管がない」ことが、ハナギンチャクとの違いです。 イソギンチャクの仲間の分類は、難しいです。この話は、別の機会にしましょう。
図鑑には、 ヒメハナギンチャク、ムラサキハナギンチャク、ハナギンチャクと紛らわしいスナイソギンチャクが掲載されています。ぜひご利用ください。
過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。 イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21) クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24) 海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)などです。