果実? いえ「虫こぶ」です、イスノキ

user-pic
0

ico_weather_hare.gif
 イスノキという種名の木があります。たいていの人は、この名を聞けば「椅子の木」だと思うでしょう。実際この木は、椅子などの家具に使われます。ただし漢字では、柞【いすのき】と書きます。「椅子の木」が語源ではないようです。
 イスノキには、もう一つ漢字名があります。「蚊母樹」と書いて「いすのき」です。明らかに当て字ですね。なぜ、こんな漢字名があるのでしょうか?
 それは、イスノキに多くの虫が寄生するからです。イスノキには、たくさんの「虫こぶ」ができます。虫こぶが、種の判定の目安になるほどです。
 虫こぶとは何でしょうか? 昆虫などが植物に寄生すると、その部分が、大きくふくらむことがあります。これが「虫こぶ」です。専門的には、ゴールgallと呼ばれます。寄生するのは、昆虫だけではありません。菌類、ウイルスなどの場合もあります。
 イスノキには、枝にも葉にも虫こぶができます。このため、葉がぼこぼこになっていることが、よくあります。枝や葉芽の虫こぶは、果実と間違えられるほど大きくなります。イスノキに虫こぶを作るのは主に昆虫のアブラムシの仲間です。
 モンゼンイスアブラムシ、ヤノイスアブラムシ、イスノフシアブラムシなどが、イスノキに虫こぶを作ります。種によって、どの部分にどのような虫こぶを作るのか違います。虫こぶの中は、空洞です。中に、アブラムシが棲んでいます。
 アブラムシの仲間は複雑な生活史を持ちます。同じ種の成虫なのに、翅【はね】があるものとないものとがいます。翅がある成虫は、小さな蚊【か】のように見えます。
 イスノキの虫こぶからは、時おり、翅のあるアブラムシが出ます。昔の人は、これを見て、イスノキに「蚊の母の樹」という字を当てたのでしょう。
 翅のあるアブラムシが出ると虫こぶには、穴が開きます。これを利用して、イスノキの虫こぶは、楽器(笛)にすることができます。
 江戸時代に、この「虫こぶ笛」を、祭礼に使った記録があります。どんな曲が吹かれたのでしょうね? こんな素朴な楽器は、後の世まで残って欲しいです。

図鑑には、イスノキが掲載されています。ぜひご利用下さい。

 過去の記事でも、イスノキと同じマンサク科に属する植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トサミズキは、土佐に生える?(2009/03/23)
日向【ひゅうが】には生えない? ヒュウガミズキ(2009/03/16)
アメリカ楓の木について(2007/11/22)

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2009年10月19日 07:22に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「サルビアレウカンサ」です。

次のブログ記事は「行ってきました、浜名湖立体花博」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。