2010年3月アーカイブ
寒くても、もう春ですね。あちこちで、春の便りが聞かれます。
春の便りの一つが、オキナグサです。多くの地域でオキナグサは、今の季節に花を咲かせます。花の色は黒っぽいですが可憐な花です。
オキナグサを漢字で書くと「翁草」です。お爺さんの草という意味ですね。
なぜ、こんな名が付いたのでしょうか? この名は花ではなく果実に由来します。
オキナグサの果実には、白く、長い毛がたくさん生えています。この様子を、お爺さんにたとえたわけです。なぜ、お爺さんなのでしょう? お婆さんでもいいはずですね。
と思ったら、方言名の中にオキナグサを、お婆さんに譬えたものがありました。「うばがしら」、「しらがばんば」、「やまんば」などの方言名です。
方言名の中には、男女に限らず、高齢者にたとえたものもあります。「しらがくさ」「としよりぐさ」などです。中には、男女両方を挙げた方言名もあります。「じーとんばーとん」「じじとばば」などです。ユーモラスで楽しい名が多いですね。
私が調べた範囲でオキナグサには、二百以上もの方言名があります。それだけ、日本で親しまれてきた草なのでしょう。万葉集にも、オキナグサを詠んだ歌があるといわれます。万葉集の「ねつこぐさ」は、オキナグサだというのです。
「ねつこぐさ」の正体は、いろいろ議論されてきました。「オキナグサではない」とする説もあります。万葉集の中で、正体未定の植物の一つです。
現在では、「ねつこぐさ=オキナグサ」説が有力です。理由の一つが、方言名です。方言名の中に、「ねつこぐさ」に似たものがあるのです。
オキナグサには、「ねこ」「おねこ」「ねこぐさ」「ねこばな」などの方言名があります。方言名には、古い時代の名が残ることが多いです(むろん、そうでないことも多いです)。前記の名は、古代の「ねつこぐさ」が変化して残ったものと考えられます。
万葉集の「ねつこぐさ」の歌は恋歌です。オキナグサの愛らしさは、恋歌にふさわしいですね。私も「ねつこぐさ=オキナグサ」説に一票を投じたいです。
図鑑には、オキナグサが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、万葉集に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
可憐な少女が鬼母に? ジガバチ(2008/05/09)
可憐なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
などです。
日本には、水族館がたくさんありますね。島国だからでしょう。どこの水族館でも人気なのがイルカです。皆さんも、きっと見たことがおありでしょう。
イルカの種数は、三十から四十種ほどといわれます。それらのうち、水族館で見られるのはごく一部です。ほとんどが、ハンドウイルカ(バンドウイルカ)という種です。
他に、カマイルカ、シロイルカなども飼われます。普通に飼われるイルカは、せいぜい五種くらいです。人気があるのに、なぜ、飼われる種が少ないのでしょうか?
理由は、いくつかあります。最も大きな理由は、飼育が難しいことでしょう。
生態がわからない生き物は、飼うのが難しいです。つまり、イルカの仲間は、生態がわからない種が多いのです。ハンドウイルカは、例外的な存在です。
水族館にいないイルカが、必ずしも絶滅に瀕しているわけではありません。例えば、マイルカ、スジイルカなどは、数が多いイルカです。でも、水族館では見ませんね。
数が多いなら、観察の機会が多いはずです。なぜ、生態がわからないのでしょうか?
一つには、生息海域の問題です。外洋性のイルカは、観察される機会が少ないです。スジイルカは、これに当たります。マイルカも、外洋にいることが多いようです。沿岸に棲むイルカの種は、そう多くありません。
スジイルカとマイルカは、外洋で一緒にいることがあります。どちらの種も、百頭を越える大きな群れを作ります。群れの仕組みは、まだ、わかっていません。
スジイルカやマイルカは、飼育されたこともあります。けれども、長生きはできませんでした。水族館での生活は、自然の生活とは違いすぎるからでしょう。
彼らにとっては、広い外洋で何百頭もの仲間と一緒にいるのが「自然」です。水族館で、そんな環境を再現するのは不可能ですね。
普通は見られない生き物を間近で見てみたい。そういう気持ちは私にもあります。水族館や動物園は、そのような夢を叶えてくれます。だからといって、必要以上に生き物を苦しめることはしたくありませんね。
図鑑には、スジイルカが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、イルカについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/8/26)
揚子江【ようすこう】に、イルカはいるか?(2008/06/24)
イルカがクジラを救助した!?(2008/03/15)
イルカは淡水で暮らせない?(2007/09/05)
などです。
<東京・上野の国立科学博物館へ、行ってまいりました。「大哺乳類展 ―陸のなかまたち」という展覧会を観てきました。
この展覧会は、哺乳類の歴史をたどることから始まります。とても貴重な初期の哺乳類の化石が観られます。
また、現生の哺乳類のうち、原始的なものの骨格と、進化が進んだものの骨格と、爬虫類【はちゅうるい】の骨格とが並んで展示されています。比べることで、爬虫類からどのように哺乳類が進化してきたのか、わかりやすくなっています。
他にも、哺乳類の骨格標本がたっぷりです。「普段、見ている哺乳類の骨格が、こんなふうなのか」と、驚きがあります。骨格を見ると「コウモリの翼とは手なんだ」とか「アリクイの口には歯がない」といったことが納得できます。
骨ばかりでは面白くないですか? そういう方も安心です。まるで生きているような、剥製【はくせい】標本もたっぷり観られます。
剥製には、悪い印象を持つ方も多いですね。つやのない毛並みや「死んだ眼」などが、不気味だからでしょう。この展覧会の剥製は、そういった物とは、明らかに違います。ぱっと見ただけでは、生きているものと区別が付かないほどです。
この展覧会は、視るだけではありません。触ったり、匂いをかいだりして楽しむこともできます。例えば、何種もの哺乳類の毛皮に触れるコーナーがあります。「寒いところの哺乳類が毛が厚い」ことを実感できます。トナカイの角やサイの角にも触ることができます。こんな機会でもなければ、一生、触れませんよね。
匂いは? なんと、さまざまな哺乳類の糞の匂いを、かぎ比べることができます!
ちなみに、会場は、臭【くさ】くありません。糞の標本には、蓋【ふた】がされているからです。私も、実際にかいでみました。思ったよりどの糞も、臭くありません。
ただ、一種だけ臭いと思った糞がありました。どの種でしょうか? これは、ぜひ、会場で確かめて下さい(笑)
ウメの栽培品種"内裏【ダイリ】" ウメ画像
和名:ウメ
学名:Armeniaca mume Siebold
>※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ヤブツバキの栽培品種"春曙光【シュンショッコウ】" ツバキ画像
和名:ヤブツバキ
学名:Camellia japonica L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ヤブツバキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
シナマンサク 画像
和名:シナマンサク
学名:Hamamelis mollis
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、シジュウカラが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ある種の生き物が、絶滅したか、そうでないかは、どのようにして判断されるのでしょうか? 一般的には、「五十年間、観察されなければ絶滅」とみなされます。
けれども、五十年以上観察されなくても、再発見された「絶滅種」もあります。近年では、オオハシヨシキリの例が有名です。鳥の一種です。
オオハシヨシキリは、ウグイス科に属します。最初に発見されたのは、一八六七年です。十九世紀ですね。それ以来、二十一世紀になるまで観察されませんでした。
このため、当然のように「絶滅した」と考えられました。そもそも、この種の存在を疑う意見すらありました。「別種の鳥と間違えたのでは?」というわけです。
ところが、二〇〇六年になって、再発見されました。約百四十年ぶりです。
オオハシヨシキリの分布域はわかっていません。おそらく、南アジア地域です。日本には分布しません。狭い日本では、このような例は望めないのでしょうか?
そんなことはありません。例えば、二〇〇九年に日本で「五十九年ぶりの再発見」というニュースがありました。鳥ではなく、貝類の一種です。
再発見されたのは、サタミサキゴマガイという種です。陸に棲む巻貝です。カタツムリの一種といえます。ゴマガイ科に属します。
サタミサキゴマガイは、成体になっても殻の長さが2.2mmほどしかありません。小さくても、種の重要さに変わりはありません。
日本のように、開発が進んだ国では、大型の生き物が再発見される余地は少ないでしょう。でも、小さい生き物ならば、可能性は大いにあります。
多少、大きくても鳥類ならば、再発見の余地がありそうです。彼らは、空を飛べるからです。飛べる動物は、行動範囲が広いですね。人目に付かないところへ、避難している可能性があります。日本本土にいなくても、付近の大陸や島にいるかも知れません。
日本には「近年に絶滅した」といわれる鳥が何種かいます。オガサワラガビチョウ、カンムリツクシガモなどです。彼らの再発見といった奇跡はないものでしょうか。
図鑑には、日本に分布する珍しい生き物トウキョウサンショウウオ、オガサワラヤモリ、イリオモテヤマネコが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、再発見された「絶滅種」について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
などです。
シジュウカラ 画像
和名:シジュウカラ
学名:Parus major
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、シジュウカラが掲載されています。ぜひご利用下さい。
サンシュユ 画像
和名:サンシュユ
学名:Cornus officinalis Siebold & Zucc.
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、サンシュユが掲載されています。ぜひご利用下さい。
昆虫の種名には、「モドキ」が付くものが多いですね。イナゴモドキ、ナナフシモドキなどという種名があります。「もどき」とは、「何かに似て非なるもの」を指します。
一種だけでなく、いく種も含めた分類グループ全体に「モドキ」が付くこともあります。例えば、ジョウカイモドキが、そのようなグループです。
ほとんどの人にとって、ジョウカイモドキとは、聞き慣れない名前でしょう。ジョウカイ「モドキ」というからには、本家の「ジョウカイ」という昆虫がいるはずですね。
ジョウカイモドキの本家は、ジョウカイボンという昆虫です。甲虫目【こうちゅうもく】ジョウカイボン科に属する昆虫たちです。ジョウカイボンについては、以前、このコラムで取り上げています(ジョウカイボンとは、どんな昆虫?(2009/05/18))。
ジョウカイモドキのほうは、甲虫目ジョウカイモドキ科に属する昆虫たちを指します。名に反して、ジョウカイボンとは遠縁です。ジョウカイボン科は、ホタル上科に属しますが、ジョウカイモドキ科は、カッコウムシ上科に属します(分類には、異説があります)。
近縁でないのなら、ジョウカイモドキは、何をもってジョウカイボンの「もどき」とされたのでしょうか? おそらく、生態が似ることです。
ジョウカイボンもジョウカイモドキも、植物の葉や花にいることが多いです。これは、獲物を待ち伏せしているのです。花などにやってきた昆虫を、捕らえて食べます。ジョウカイボン、ジョウカイモドキともども、幼虫も肉食性です。
ところが、ジョウカイモドキの成虫は、完全な肉食性とは限りません。植物を食べることがあります。例えば、ツマキアオジョウカイモドキという種は、他の昆虫以外に、花粉を食べます。
生態が似るのに、食性が少し違うため、ジョウカイ「モドキ」にされたのでしょう。
ジョウカイモドキ科の昆虫は、生態がわかっていないものが多いです。すべての種が、ジョウカイボン科に似るわけではないでしょう。そもそも、ジョウカイボン科にも、いろいろな種がいます。全部を「もどき」呼ばわりするのは気の毒ですね。
図鑑には、ツマキアオジョウカイモドキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも「~モドキ」と付く生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウメモドキ? いえ、ツルウメモドキです(2009/12/25)
テリムクドリモドキ(2007/03/18)
サソリ? いえサソリモドキです(2006/09/29)
などです。
ダイサギ 画像
和名:ダイサギ
学名:Tachybaptus ruficollis
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ウメの栽培品種"古金欄【コキンラン】" ウメ画像
和名:ウメ
学名:Armeniaca mume Siebold
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
海の生き物には、「ウミ○○」という種名のものが多いですね。陸上生物の中で、姿が似るものにたとえてこのような名が付けられます。
似ていても、近縁とは限りません。むしろ、遠縁であるほうが普通です。
ウミケムシ(海毛虫)も、そういう生き物の一種です。海釣りをやる方なら、ウミケムシに会ったことがあるかも知れませんね。キス釣りなどの外道としてかかります。
ウミケムシは、ゴカイの仲間です。専門的にいえば、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】ウミケムシ目【もく】ウミケムシ科の一種です(分類には、異説があります)。ウミケムシ科に属する種をまとめて、ウミケムシと呼ぶこともあります。
いっぽう、陸の毛虫はどうでしょう? こちらは、もちろん昆虫ですね。専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】昆虫綱【こんちゅうこう】に属します。ウミケムシとは、門【もん】のレベルで分類が違います。
それにしても、実物を見た方なら「ウミケムシ」という種名に納得するでしょう。本当に、毛虫にそっくりです。毛に毒があり、刺すところまで似ています。
毒があるのは、身を守るためです。毒のおかげで、ウミケムシは海底を、堂々と歩くことができます。彼らを襲うものは少ないです。
ゴカイの仲間は、一般的に魚の好物です。釣り餌にされるくらいです。ですから、海底の砂や岩の中に、隠れて棲んでいます。ウミケムシは、隠れる必要がありません。
ウミケムシの類を除けば、ほとんどのゴカイには、毒はありません。ヒトには無害です。なのに「外見が気持ち悪い」と、嫌われることが多いです。
ところが、ゴカイの仲間の学名を知ると驚きです。ラテン語の学名では、美女ぞろいなのです。主に、ギリシャ神話に登場する美女たちです。
例えば、オトヒメゴカイの学名は、トロイアの王女ヘーシオネーHesioneに由来します。オニイソメの学名エウニーケーEuniceは、ギリシャ神話の海の妖精から取られています。ゴカイの仲間も、よく見ると独特の美しさがあるからでしょう。
図鑑には、ウミケムシが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、環形動物【かんけいどうぶつ】の仲間を取り上げています。また、美女の名から取った学名についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョウ(蝶)の学名は、美女だらけ?(2010/01/11)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。
ハクモクレン 画像
和名:ハクモクレン
学名:Magnolia denudata
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東京都 品川区【2010.03.10】
図鑑には、カワセミが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ネジバナ 画像
和名:ネジバナ
学名:Spiranthes sinensis (Pers.) Ames
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沖縄県 浦添 【2010.03.05】
図鑑には、ネジバナが掲載されています。ぜひご利用下さい。
早春の花が見られる季節ですね。レンギョウは、日本の早春の花として有名なものの一つです。公園や庭によく植えられています。
レンギョウ属の種は、東アジアに広く分布します。日本にも在来種があります。ヤマトレンギョウとショウドシマレンギョウです。どちらも日本固有種です。
日本の公園などにあるのは、これらの日本固有種でしょうか? 違います。
植えられるレンギョウは、多くが人工的に作られた栽培品種です。複数の野生種を、交配したものです。元になったのは、中国や朝鮮半島原産のものです。
ややこしいことに、レンギョウ属の中にレンギョウという種名の種があります。種名レンギョウは、中国原産です。同じく中国原産の種としてシナレンギョウがあります。朝鮮半島を原産地とするのはチョウセンレンギョウです。
種名レンギョウとシナレンギョウ、チョウセンレンギョウが、栽培品種の源になりました。日本で普通に見られるのは、この三種のどれか、もしくは、これらの交配種です。
では、ヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウは、どこにあるのでしょう?
ショウドシマレンギョウは、名のとおり、瀬戸内海の小豆島に自生します。ヤマトレンギョウは、私の知る範囲では、岡山県の一部にしか自生しません。どちらの種も、ごく限られた地域にあるだけです。このため、絶滅が心配されています。
レンギョウ属の分布には、謎があります。ほとんどの種が東アジアにあるのに、一種だけ、ヨーロッパに分布するのです。セイヨウレンギョウという種です。
セイヨウレンギョウは、東ヨーロッパの一部(バルカン半島)にだけ分布します。近隣には、近縁種はありません。広大なユーラシア大陸の東端と西端に、飛び離れて分布するわけです。なぜ、こんな分布なのかはわかっていません。
レンギョウ属の分布は、彼らが進化してきた道筋と関わりがあるでしょう。彼らが地球に生まれた頃には、大陸が、現在とは違う形だったといわれます。レンギョウ属を調べれば、何千万年も昔の地球の様子がわかるかも知れません。
図鑑には、シナレンギョウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、分布に謎がある生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生き別れの親類が再会? ヤマボウシとハナミズキ(2008/05/19)
大山椒魚(オオサンショウウオ)は冬眠しない?(2007/02/05)
氷河期の生き残りキタサンショウウオ(2005/11/07)
などです。
カワセミ 画像
和名:カワセミ
学名:Alcedo atthis
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、カワセミが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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ニホンヒキガエル亜種アズマヒキガエル 高音でクククククと鳴いていました。きれいな鳴き声です。 ニホンヒキガエル画像
和名:ニホンヒキガエル
学名:Bufo japonicus
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ニホンヒキガエルが掲載されています。ぜひご利用下さい。
二〇〇八年のことですが、興味深いニュースがありました。ある種の魚の鱗【うろこ】が、防弾チョッキの開発に役立つかも知れないというのです。
防弾チョッキというと軍事技術ですね。「そんな恐ろしいものの話は、聞きたくない」方もいるでしょう。でも、待って下さい。このような技術は、平和利用できます。
今回のニュースになったのは、ポリプテルス・セネガルスという魚です。アフリカに分布します。日本にはいません。けれども、熱帯魚としてペット屋で売られています。
ポリプテルスの仲間は、特殊な鱗を持ちます。「ガノイン鱗」と呼ばれるものです。この鱗は、とても丈夫です。これのために、ポリプテルスの仲間は、怪我や病気をしにくいと考えられています。
実際、ポリプテルスの仲間は、長生きすることが知られます。
この鱗を調べたところ、厚みがないのに『防御能力が非常に際だっている』ことがわかりました。この構造を真似れば、軽くて丈夫な「衝撃防止服」を作れそうです。
「衝撃防止服」は、防弾チョッキとは限らないでしょう。例えば、建築現場など、危険な場所で作業する人の服にぴったりです。スポーツ選手のユニフォームにも、良さそうです。万が一、事故があっても、服のおかげで、命が助かるかも知れません。
ガノイン鱗を持つ魚は、ポリプテルスだけではありません。ガーパイクの仲間も、ガノイン鱗を持ちます。ガーパイクの仲間は、北米から中米に分布します。
同じガノイン鱗でも、ポリプテルスのものとガーパイクのものとでは構造が違います。しかし、丈夫なことは同じです。ガーパイクの鱗も、研究する価値はあるでしょう。
ガーパイクの仲間は、多くが、「熱帯魚」ではありません。温帯に棲みます。この点が、ポリプテルスと違います。つまり、日本の普通の気候に適応しやすいわけです。
これは、飼いやすさにつながります。飼いやすい生き物は、研究しやすいですね。
今の日本で、ガーパイクの仲間は、外来魚として問題になっています。もしも駆除するならば、ただ殺すのではなくて、研究材料にしたらどうでしょうか? 手近な自然に学べることは、たくさんあると思います。
過去の記事でも、ガーパイクなど、日本の外来魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?(2007/11/08)
ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
などです。
ウメの栽培品種"通小町【カヨイコマチ】" ウメ画像
和名:ウメ
学名:Armeniaca mume Siebold
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東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ウメの栽培品種"黄梅【オウバイ】" ウメ画像
和名:ウメ
学名:Armeniaca mume Siebold
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
生き物の中には、変わった名前のものがいますね。植物のボケ(木瓜)は、珍名さんのうちに入るでしょう。ボケというのが正式な日本語名(標準和名)です。
ボケは、古くから園芸植物として栽培されてきました。原産地は中国です。日本には、平安時代に入ったと考えられています。その頃から、美しい花を愛でられました。
ボケとそっくりな別種として、クサボケ(草木瓜)があります。こちらは、日本原産です。ボケと同じく、バラ科ボケ属に属します。やはり、園芸植物として栽培されます。
ボケもクサボケも、低木です。草ではありません。どちらの種も草と見まごうほど、小さな木ですね。クサボケのほうが全体的に小さいです。
ボケや、クサボケは、枝が見えなくなるほど、びっしりと花を付けます。なのに、果実は、それほど多くありません。どう考えても、無駄花が多いですね。なぜでしょう?
これには、二つの原因があると考えられます。一つは、ボケとクサボケの花には、雄花と両性花が混じることです。雄花は、果実になりません。花粉を出すだけの花です。
もう一つは、花粉の運び手の問題のようです。ボケやクサボケの花は、都合の良い花粉の運び手を、見つけられていないらしいのです。
ボケやクサボケが咲くのは、昆虫が少ない早春です。チョウやミツバチは、ほとんどいません。昆虫に花粉を運んでもらうなら、寒さに強いハナアブの類でしょう。
ところが、昆虫を花粉の運び手とすると都合が悪いことがあります。ボケやクサボケの花には、蜜が多いのです。昆虫は、すぐに満腹してしまいます。体が小さいですからね。これでは、多くの花から花へ、花粉を運んでもらいにくいです。
では、ボケやクサボケの花粉を運ぶのは、昆虫以外の動物でしょうか? 日本で、考えられる花粉の運び手としては鳥がいます。メジロやヒヨドリは、よく花を訪れますね。
しかし、ボケやクサボケは低木です。これでは、鳥は訪れにくいでしょう。地上には、鳥の敵が多いからです。敵に襲われやすいところには、来たくないはずです。
自然の中でボケやクサボケは、どうやって殖えていたのでしょうか? 謎です。
図鑑には、植物のボケが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、植物の花粉の運び手について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネムノキは、本当に眠る?(2009/07/24)
咲いた、咲いた、チューリップ(2009/04/13)
ロウバイ(蝋梅)の花に来るのは、誰?(2009/02/02)
などです。
ウメの栽培品種"ウグイスカクシ" ウメ画像
和名:ウメ
学名:Armeniaca mume Siebold
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ウメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ヤブツバキの栽培品種"天の川【アマノガワ】" ツバキ画像
和名:ヤブツバキ
学名:Camellia japonica L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ヤブツバキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
アテツマンサク 画像
和名:アテツマンサク
学名:Hamamelis japonica Sieb. et Zucc.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、マンサクが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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日本は、南北に細長い列島ですね。北と南とでは、生息する生き物がずいぶん違います。中には同じ日本国内で、季節によって棲み替えるものもいます。
鳥類には、そのような種が多いです。移動能力が高いからです。やはり、空を飛べるのは大きいです。夏鳥(ある地域に、春から夏にかけてだけいる鳥)、冬鳥(ある地域に、秋から冬にかけてだけいる鳥)などという言葉があるくらいです。
例えば、シメという鳥がいます。この鳥は、渡りをします。季節により、棲む地域を替えるのですね。シメは、日本の北部では夏鳥です。主に、北海道で繁殖します。日本の本州中部以南では、冬鳥です。暖かい地方で、冬を過ごします。
シメは、市街地でも見られる鳥です。初心者でも、見分けやすいです。わかりやすい特徴があるからです。見分け方を覚えて自慢しましょう(笑)
まず、大きさは、スズメより少し大きいです。全体的に、ふっくらしています。体色は、灰色に見えます。翼が黒っぽいです。何よりの特徴は、嘴【くちばし】が太いことです。嘴の色も灰色で角度によっては光沢が見えます。
日本国内には、シメに似た鳥はあまりいません。しいて言えば、イカルとコイカルに似ます。けれども、シメとイカルやコイカルとは、簡単に区別できます。嘴の色が違うからです。イカルとコイカルは、黄色い嘴です。
「市街地で太い嘴が目立つ小鳥」を見たら、シメ、イカル、コイカルのどれかだと思って、間違いはありません。灰色っぽい嘴なら、シメに決定です。
シメの嘴が太いのは「植物の種子を割って食べるため」と考えられています。太くて丈夫な嘴でなければ、そんなことはできませんね。イカルやコイカルも同じように嘴を使うと考えられています。硬い種子を食べられるのは、他の鳥より有利ですね。
シメは、春先、渡りの直前や直後に見る機会が多くなります。この時期に、シメは群れを作るからです。群れは目立ちますが、集団のほうが安全だからでしょう。そんな彼らを見ると道中の無事を祈りたくなります。
図鑑には、シメ,イカルが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、春先に見られやすい鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
気まぐれな渡り鳥? キレンジャクとヒレンジャク(2008/03/14)
紋付袴【もんつきはかま】で御挨拶? ジョウビタキ(2007/01/01)
カモメは冬にしかいない?(2006/10/23)
などです。