「ねつこぐさ」の正体は、オキナグサ?

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 寒くても、もう春ですね。あちこちで、春の便りが聞かれます。
 春の便りの一つが、オキナグサです。多くの地域でオキナグサは、今の季節に花を咲かせます。花の色は黒っぽいですが可憐な花です。
 オキナグサを漢字で書くと「翁草」です。お爺さんの草という意味ですね。
 なぜ、こんな名が付いたのでしょうか? この名は花ではなく果実に由来します。
 オキナグサの果実には、白く、長い毛がたくさん生えています。この様子を、お爺さんにたとえたわけです。なぜ、お爺さんなのでしょう? お婆さんでもいいはずですね。
 と思ったら、方言名の中にオキナグサを、お婆さんに譬えたものがありました。「うばがしら」、「しらがばんば」、「やまんば」などの方言名です。
 方言名の中には、男女に限らず、高齢者にたとえたものもあります。「しらがくさ」「としよりぐさ」などです。中には、男女両方を挙げた方言名もあります。「じーとんばーとん」「じじとばば」などです。ユーモラスで楽しい名が多いですね。
 私が調べた範囲でオキナグサには、二百以上もの方言名があります。それだけ、日本で親しまれてきた草なのでしょう。万葉集にも、オキナグサを詠んだ歌があるといわれます。万葉集の「ねつこぐさ」は、オキナグサだというのです。
 「ねつこぐさ」の正体は、いろいろ議論されてきました。「オキナグサではない」とする説もあります。万葉集の中で、正体未定の植物の一つです。
 現在では、「ねつこぐさ=オキナグサ」説が有力です。理由の一つが、方言名です。方言名の中に、「ねつこぐさ」に似たものがあるのです。
 オキナグサには、「ねこ」「おねこ」「ねこぐさ」「ねこばな」などの方言名があります。方言名には、古い時代の名が残ることが多いです(むろん、そうでないことも多いです)。前記の名は、古代の「ねつこぐさ」が変化して残ったものと考えられます。
 万葉集の「ねつこぐさ」の歌は恋歌です。オキナグサの愛らしさは、恋歌にふさわしいですね。私も「ねつこぐさ=オキナグサ」説に一票を投じたいです。


図鑑には、オキナグサが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、万葉集に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
可憐な少女が鬼母に? ジガバチ(2008/05/09)
可憐なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年3月29日 07:05に書いたブログ記事です。

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