二〇一〇年は、平城京遷都千三百年祭ですね。千三百年前、奈良時代が始まりました。当時の人々は、何を食べていたのでしょうか?
当時の文献を調べると、食べ物がわかります。古事記や日本書紀や万葉集ですね。奈良時代の人々も現代と同じように、さまざまな野菜を食べていました。
例えば、ニラは、奈良時代から日本にあったとされます。古事記に、賀美良【かみら】という名で登場します。万葉集では、久君美良【くくみら】という名で登場します。
「奈良時代、ニラを食用にしていた」という明確な証拠は、ありません。けれども、万葉集の歌には、くくみら(ニラ)を摘む様子が詠まれています。
当時は、今よりもずっと食糧事情が悪いです。食べられる物は、何でも食べたでしょう。手間をかけて摘んでいることからして、きっと食べていたと思います。
千年以上昔からあってもニラの原産地は、日本ではないと考えられています。原産地は、はっきりとわかっていません。中央アジアという説が有力です。中国の西の端あたり、タジキスタン(タジク)と国境を接するパミール高原付近です。
パミール高原は、漢字名では、葱嶺【そうれい】といいます。葱(ネギ)の嶺【みね】という意味ですね。この名の理由は、この地域に、ネギやニラの仲間がたくさん生えているからです。ネギとニラとは、同じネギ属に属します。
栽培されるニラの原種は、ラテン語の学名を、Allium ramosum【アリウム・ラモスム】というものだろうと考えられています。この種には、日本語名はありません。
アリウム・ラモスムは、モンゴルやシベリアにも分布します。現地では、現在も、この種を食べることがあるそうです。このことから、「モンゴルや中国北部で、アリウム・ラモスムからニラができた」という説もあります。
どの説にせよ、ニラは、ユーラシア大陸の奥深くで生まれたことになります。それが、奈良時代にはもう、極東の日本まで来ていました。いっぽう、現在のアフガニスタン(タジクの隣)でも、ニラをよく食べるそうです。シルクロードは、つながっていますね。
図鑑には、ニラが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、奈良時代に食べられた野菜を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
昔は主食だった? サトイモ(里芋)(2008/06/27)
キュウリは、なぜ「胡瓜」と書く?(2007/08/17)
節分に豆(ダイズ)をまくのはなぜ?(2006/01/23)
などです。
2010年4月アーカイブ
アオサギ 画像
和名:アオサギ
学名:Ardea cinerea
後ろ、セイタカシギ
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
沖縄県 豊見城【2010.03.05】
図鑑には、アオサギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
アオサギ 画像
和名:アオサギ
学名:Ardea cinerea
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沖縄県 豊見城【2010.03.05】
図鑑には、アオサギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ドジョウは、日本人に親しい魚ですね。『どじょっこ、ふなっこ』や『どんぐりころころ』など、童謡にも歌われます。そのわりに、生態が知られているとは言えません。
ドジョウとは、コイ目【もく】ドジョウ科に属する種の総称です。ややこしいことに、ドジョウ科には、単に「ドジョウ」という種名の種もいます。
日本に分布する種だけでも、ドジョウ科には、十種以上いるだろうといわれます。「だろう」というのは、正確には何種いるのか、わかっていないからです。
ドジョウ科の種は、どの種も地味です。外見では、区別が付けにくいです。そのうえ、昔は、水田などにたくさんいました。身近すぎて、研究が進まなかったのでしょう。
日本で最も普通なのは、種名ドジョウです。食用にされるのは、この種です。食用のドジョウには、カラドジョウという別種が混じることがあります。
他に、イシドジョウ、シマドジョウ、フクドジョウ、ホトケドジョウなどの種がいます。アユモドキ―日本の天然記念物に指定されています―もドジョウ科の魚です。
種名ドジョウ以外の種は、分布が限られているものが多いです。限られた地域にしかいない、ということです。その地域で、無差別に開発が進んだら絶滅しかねません。
そういう種は、たいがいの場合、一応の保護はされています。けれども、充分な状態とは、言いにくいです。特に、最近、見つかった種はそうです。スジシマドジョウ、ナガレホトケドジョウなどです。日本でも、最近になって新種が見つかるのですね。
これらの種には、日本語名はあっても、ラテン語の学名が付いていません(正式な日本語名とは、学名でなく、標準和名といいます)。正式に、学界で認められていません。
スジシマドジョウは、元は、シマドジョウの中に含まれていました。現在は、シマドジョウと似ていても、違う種とされています。同じように、ナガレホトケドジョウは、ホトケドジョウの中に入れられていました。現在は、違う種になっています。
このような「新種の発見」は、まだ、あるかも知れないといわれます。「発見されて早々に、絶滅の危機」などということにはしたくありませんね。
図鑑には、ドジョウ科のドジョウ、アユモドキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、ドジョウと同じく日本の淡水に棲む魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ちょっと待って! メダカの放流(2008/04/25)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
鯉(コイ)は本当に滝を登るか?(2006/04/24)
などです。
カルガモ 画像
和名:カルガモ
学名:Anas poecilorhyncha
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、カルガモが掲載されています。ぜひご利用下さい。
生き物の中には、複数の名前を持つものがありますね。一つしか名前がない生き物は、少ないです。国や地方により、違う名で呼ばれるのが、普通です。
生物学の世界では、正式には、ラテン語の学名を使います。混乱を防ぐためです。学名については、「学名と標準和名とは、違う? 同じ?」(2009/08/07))を参照して下さい。
中には、学名や標準和名が、決まっていないものもいます。困ったことですね。
例えば、植物のネズミサシが、そうです。この植物は、標準和名(正式な日本語名)が、「ネズミサシ(鼠刺)」なのか「ネズ(杜松)」なのか、決まっていません。
ネズとは、ネズミサシを省略した呼び名です。ネズミサシとは、面白い名ですね。これは、「葉をネズミ除けに使ったことから付いた」といわれます。ネズミサシの葉は、とげとげしく硬いです。害獣除けには、ちょうど良さそうです。
ネズミサシには、方言名も多いです。「むろ」「むろのき」「もろ」などという名が、各地に伝わっています。「もろ」は、「むろ」のなまりでしょう。
「むろ」という名は、起源が古いです。少なくとも奈良時代には、「むろのき」という名がありました。万葉集に「むろのき」を詠んだ歌が、いく首かあります。
有名なのは、大伴旅人【おおとものたびと】の歌でしょう。彼は、鞆の浦【とものうら】―現在の広島県福山市にあります―で、二首の歌を詠んでいます。
これらの歌によれば当時の鞆の浦には、大きな「むろのき」(ネズミサシ)が生えていたようです。歌に詠まれるほどですから、目立つ樹だったのでしょう。
大伴旅人ははかない人の命と比べて、『むろの木は常世【とこよ】にあれど』と詠みました。しかし現在それらしいネズミサシは、鞆の浦にはありません。
鞆の浦といえば、アニメ映画で有名になりましたね。『崖の上のポニョ』です。
今鞆の浦は、景観論争で揺れています。樹木一本どころか、浦の景観全体を変える力を、現在の人間は持っています。それほどの力は、良い方向に使いたいものです。鞆の浦のシンボルとして、「むろのき」を植えるなどしてはいかがでしょうか。
図鑑には、ネズミサシ(ネズ)が掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、万葉集に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?(2009/10/07)
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
可憐な少女が鬼母に? ジガバチ(2008/05/09)
などです。
ハナミズキ 画像
和名:ハナミズキ
学名:Cornus florida L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、ハナミズキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ハナカイドウ 画像
和名:ハナカイドウ
学名:Malus halliana Koehne
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、ハナカイドウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
カイツブリ 画像
和名:カイツブリ
学名:achybaptus ruficollis
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、カワウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
春は、潮干狩りの季節です。娯楽と実益を兼ねて、海辺へ行く方もいるでしょう。今回は海岸でよく見られる生き物を紹介します。
海辺の岩に、小さな円錐【えんすい】形の貝殻が、貼り付いているのを見たことがありませんか? ちょっと見たところでは、フジツボに似ています。
これらの「円錐形の貝」は、フジツボの仲間ではありません。見た目どおり、貝の仲間です。フジツボは、貝よりもエビやカニに近縁です。
これら円錐形の貝たちは、カサガイ(笠貝)と総称されます。昔の人がかぶった笠に似るからです。よく見ればフジツボとは、形が違います。時おり位置を動くのも、フジツボとの違いです。フジツボは、一度、付いた場所から離れられません。
貝には、二枚貝と巻貝とがありますね。カサガイは、巻貝の仲間です。専門的には、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】というグループに属します。
巻貝の仲間なのにカサガイの殻は、巻いていませんね。なぜでしょう?
じつは、カサガイと呼ばれる種は、すべてが同じグループに分類されるのではありません。いくつもの遠縁なグループにカサガイ型の種がいます。ただし、どの種も、腹足綱に含まれるのは同じです。腹足綱の中で、どのグループに属するかが違います。
おそらく、最も多く「カサガイ」型の種が含まれるのは、腹足綱カサガイ目【もく】というグループです。このグループは、原始的な形の巻貝と考えられています。「巻貝が、巻くようになる前の姿」を残しているわけです。
他に、例えば、有肺目【ゆうはいもく】カラマツガイ科の「カサガイ」たちがいます。このグループは、「普通の巻貝のはずが、巻かなくなった」と考えられています。
カサガイ目の「カサガイ」も、有肺目の「カサガイ」も、外見はそっくりです。すみかも、同じ海岸です。同じように見えても体の構造は違います。
「カサガイ」の分類はまだ途上です。腹足綱の分類自体が、組み替えの最中だからです。前記の分類も変わる可能性があります。小さな貝の分類も難しいのですね。
図鑑には、カサガイ目【もく】のウノアシ、マツバガイ、ヨメガカサが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事で、「カサガイ」と紛らわしいフジツボ、カメノテを取り上げています。また、「カサガイ」と同じく海の岩場に棲む巻貝(アワビなど)や、有肺目の巻貝(カタツムリ)も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
カタツムリの殻は右巻き? 左巻き?(2007/06/18)
などです。
カワウ 画像
和名:カワウ
学名:Phalacrocorax carbo
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東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、カワウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
春です。いろいろな生き物が活動を始めていますね。足もとを見るとアリたちが、忙しそうにしているかも知れません。
時おり、アリが行列をなして植物に登っていることがあります。これは、何をしているのでしょうか? 多くの場合は、植物に食べ物を求めているのです。
植物のうえには、アリの食べ物として、主に二種類のものがあります。
一つは、アブラムシの出す甘露【かんろ】=甘い露です。
園芸や農業をやる方なら、アブラムシは御存知でしょう。植物に付く小さな昆虫ですね。バラの新芽など、放っておくとアブラムシだらけになります。
アブラムシは、植物の汁を吸って生きます。植物を弱らせるので害虫とされます。
アブラムシの甘露とは、アブラムシの排泄物です。これには、たくさんの糖分が含まれます。甘いわけですね。アリは、甘い物が好きですから、アブラムシに寄ってゆきます。甘露をもらうかわり、アリはアブラムシを保護します。
もう一つのアリの食べ物は、植物の出す蜜です。
花に蜜があるのは、皆さん御存知ですね。ハチやチョウばかりでなく、アリも花の蜜を食べることがあります。でも、花の蜜以外の蜜のほうが、よく食べられるようです。
植物に、花の蜜以外の蜜なんてあるのでしょうか? あります。花外蜜腺【かがいみつせん】といって、花以外のところにも、蜜を出す器官があります。
どの植物にも、花外蜜腺があるわけではありません。ない植物もあります。花外蜜腺が、植物のどこにあるかは種によって違います。
花外蜜腺は、もっぱら、アリのためにあるようです。アリを呼ぶために、花外蜜腺が発達したといえるでしょう。アリが植物に来ると良いことがあるからです。
アリは、植物を食べるガ(蛾)の幼虫などを攻撃します。植物は、守ってもらえるわけです。ところが、前記のとおりアリは、アブラムシも保護します。植物の敵と味方と両方を保護するのですね。自然の中では、敵味方が複雑にからみ合っています。
図鑑には、クロオオアリ、クロヤマアリ、トゲアリが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、アリを取り上げています。アリと植物の関係や、哺乳類のアリクイの画像も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オオアリクイ(2008/10/09)
可憐【かれん】なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
シロアリとアリとは、どう違う?(2007/06/11)
などです。
イロハモミジ 画像
和名:イロハモミジ
学名:Acer palmatum Thunb. ex Murray
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 新宿区【2010.04.13】
図鑑には、イロハモミジが掲載されています。ぜひご利用下さい。
タチツボスミレ 画像
和名:タチツボスミレ
学名:Viola grypoceras A.Gray
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 渋谷区【2010.04.03】
図鑑には、タチツボスミレが掲載されています。ぜひご利用下さい。
芽吹きの季節ですね。落葉樹が、いっせいに芽を伸ばし始めています。
中にはまるで花のように、色づいた芽もあります。例えば、アカメガシワの芽は赤いです。だから「赤芽ガシワ」です。なぜ、芽が赤いのでしょうか?
アカメガシワの普通の葉は、普通の緑です。じつは、新芽の葉も、同じように緑色をしています。それなら、なぜ、赤く見えるのでしょうか?
新芽の葉をよく観察してみましょう。葉は、びっしりと細かい毛で覆われています。これは、星状毛【せいじょうもう】と呼ばれるものです。金平糖のように、放射状にちくちくと生える毛のことです。アカメガシワの星状毛は赤いです。
赤い新芽の色は、葉の色ではなく星状毛の色なのですね。ためしに、星状毛をこすり落としてみましょう。下からは、緑の葉が現われます。
葉が成長するにつれ、星状毛は脱落します。それでも、よく観察するとアカメガシワの普通の葉にも星状毛があるのがわかります。新芽の時よりずっとまばらにしか付いていません。このために、普通の葉は緑に見えます。
赤い星状毛には、新芽を守る働きがあると考えられています。具体的に、どのように働いているのかはわかっていません。
アカメガシワは、カシワと付いてもカシワの仲間(ブナ科)ではありません。トウダイグサ科に属します。カシワという名は、葉が大きいことから付けられました。
「かしわ」とは、本来「食べ物を包む木の葉」全般を指しました。おそらく、大きな葉を持つ木は、みな「かしわ」と呼ばれました。それらのうちで、代表的なものが、現在のカシワです。種を区別するため他種には「○○カシワ」という種名が付きました。
アカメガシワとは、近世になってから付いた名です。もっと昔は、別のいろいろな名で呼ばれました。例えば、万葉集に出てくる「ひさぎ」という木は、アカメガシワだといわれます(異説もあります)。漢字では、楸【ひさぎ】などと書かれます。
秋、アカメガシワは、紅葉ならぬ黄葉します。春には赤いのに、面白いですね。
図鑑には、アカメガシワが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事で、古代に「かしわ」と呼ばれたカシワや、別名「ほおがしわ」と呼ばれるホオノキを取り上げています。また、アカメガシワと同じく、古代に「ひさぎ」と呼ばれたキササゲも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
梓【あずさ】の正体は、キササゲ?(2009/11/09)
柏餅【かしわもち】は、なぜカシワで作られる?(2008/05/05)
日本一の大輪の花、ホオノキ(朴の木)(2006/05/19)
ツグミ 画像
和名:ツグミ
学名:Turdus naumanni
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 渋谷区【2010.04.03】
図鑑には、ツグミが掲載されています。ぜひご利用下さい。
メジロ 画像
和名:メジロ
学名:Zosterops japonicus
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、メジロが掲載されています。ぜひご利用下さい。
トカゲは、誰でも知っている爬虫類ですね。日本に最も多いトカゲは、ニホントカゲでしょう。都市でも、石垣があればちょろちょろしているのが見られます。日本人にとって、最もトカゲらしいトカゲといえます。
ニホントカゲ以外にも、日本には何種かのトカゲがいます。その中の一種は、ごく最近になって発見されました。オカダトカゲという種です。
新種といえば、「人里はなれた山奥か、離島で発見されるもの」と思う方が多いでしょう。ところが、オカダトカゲは人家のすぐ近くで発見されました。分布地では、普通に目撃されるトカゲです。ただ、それが新種だとは気づかれなかったのです。
オカダトカゲは、ニホントカゲとそっくりです。外見での違いは、鱗【うろこ】の数です。オカダトカゲのほうが、鱗の数が多いです。でも、こんな細かい特徴は、よほどしっかり観察しないとわかりませんね。
このために、オカダトカゲは、長い間ニホントカゲと混同されていました。「北海道、本州、四国、九州に分布するのは、すべてニホントカゲだ」と思われていたのです。
オカダトカゲは、最初、伊豆諸島で発見されました。神津島【こうづしま】、三宅島などですね。その後、伊豆半島のトカゲも、オカダトカゲだとわかりました。
それまで、伊豆半島のものは、ニホントカゲだと思われていました。外見がそっくりですからね。伊豆半島のどこで、オカダトカゲとニホントカゲの分布が分かれるのかは、まだ不明です。少なくとも、南伊豆のものは、オカダトカゲのようです。
島ではなく、半島なのに違う種が分布するとはどういうことでしょう? この謎も、まだ解けていません。「地質学の問題と関係しているのでは?」といわれます。
はるかな昔、伊豆半島は、日本の南の島でした。伊豆諸島の島々と同じです。それが、北上して日本列島に衝突しました。地球のプレート活動のためです。
このような地質学上の歴史とトカゲの分布とは、関係がありそうですね。スケールの大きな謎です。こういう謎解きはわくわくしますね。
図鑑には、ホントカゲが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、ニホントカゲなど日本に分布するトカゲを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本最大のトカゲとは?(2009/08/14)
イグアナ? いえ、キノボリトカゲです(2008/02/11)
大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/09)
トカゲのしっぽ切りは何のため?(2006/09/11)
などです。
ミツマタ 画像
和名:ミツマタ
学名:Edgeworthia chrysantha Lindl.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ミツマタ
が掲載されています。ぜひご利用下さい。
春と秋とは、渡り鳥の季節です。渡り鳥が移動する季節だからです。
今の時期ですと夏鳥が暖かい地域からやってきます。冬鳥が、寒い地域に去ってゆきます。それら以外に、旅鳥【たびどり】と呼ばれる渡り鳥が、見られます。
旅鳥とは、ある地域で、春と秋にしか見られない鳥です。その地域に、長く滞在はしません。渡りの途中に、立ち寄るだけなのですね。いる期間が短いため見るには、時期を逃さないように注意しなければなりません。
日本の旅鳥には、シギとチドリの仲間が多いです。シギとチドリの仲間は、分類上、近縁です。生態も似ています。どちらも水鳥です。干潟・水田・沢などにいることが多いです。このため、バードウォッチャーには、シギ・チとまとめて呼ばれます。
なぜ、日本のシギ・チには、旅鳥が多いのでしょうか? 理由の一つに、彼らの多くが、長距離を渡ることが挙げられます。
例えば、シギの一種、キョウジョシギを見てみましょう。彼らが繁殖するのは、北極のツンドラ地帯です。繁殖期が終わると南半球のオーストラリアやニュージーランド、南アフリカへ移動します。地球を半周するほどの距離を飛ぶわけです。
チドリの仲間も負けていません。例えば、ダイゼンというチドリの一種は、やはり北極のツンドラ地帯で繁殖します。非繁殖期には、オーストラリアや南アフリカ、マダガスカルなどへ渡ります。一部、日本国内で越冬するものもいます。
こんなに長い距離を飛ぶのでは、途中で休みたくなるでしょう。日本は、彼らの渡りのルート上にあります。休息するのにちょうどいいのですね。
干潟は、彼らの休息地として特に重要です。干潟には、大型の肉食獣が来ません。歩きにくいからです。そして、ゴカイやカニなど彼らの食べる生き物がたくさんいます。「安心して休息できる」「食べ物がある」という二つの条件を備えています。
かつての日本は干潟の多い国でした。けれども、人間の開発のため、ずいぶん減ってしまいました。せめて残った干潟は、彼らの解放区にしておきたいですね。
図鑑には、キョウジョシギ、ダイゼンなどのシギ類とチドリ類が掲載されています。ぜひご利用下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、キョウジョシギなどのシギ類と、ダイゼンなどのチドリ類が載っています。
インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、シギやチドリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
キョウジョシギ(2009/05/12)
ソリハシセイタカシギ(2009/03/28)
西行【さいぎょう】の歌ったシギは、どの種?(2008/10/10)
フタオビチドリ(2008/06/03)
チドリはなぜ千鳥足で歩く?(2006/7/24)
などです。
ヒメオドリコソウ 画像
和名:ヒメオドリコソウ
学名:Lamium purpureum L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京都 文京区【2010.02.25】
図鑑には、ヒメオドリコソウ
が掲載されています。ぜひご利用下さい。
二十一世紀になっても、海では謎の生物が目撃されますね。シーサーペント(大海蛇)の伝説をほうふつとさせます。今回は、シーサーペントに間違えられそうな生き物を紹介しましょう。海にいて、長い体を持つものたちです。多くは、透明な体です。
第一は、刺胞動物【しほうどうぶつ】のグループです。クラゲの仲間ですね。クラゲといえば普通は、笠のような形を思い浮かべるでしょう。そうではないクラゲもいます。
特に、クダクラゲ目【もく】に属する種は、透明な紐【ひも】に見えます。アイオイクラゲ、ボウズニラなどの種は、長さが数m~数十mになることがあります。彼らの紐状の体からは、触手がたくさん垂れています。透明で細長いシャンデリアのようです。
第二は、有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のグループです。クシクラゲと呼ばれる仲間です。クダクラゲと紛らわしいですね。でも、刺胞動物のクラゲとは違います。
有櫛動物の中に、オビクラゲという種がいます。名のとおり、透明な帯【おび】状です。刺胞動物のボウズニラなどに比べると、幅が広く、薄べったいです。たくさんの触手もありません。こちらも、長さが1mを越えることがあります。
第三は、脊索動物【せきさくどうぶつ】のグループです。ホヤやサルパの仲間です。
脊索動物の中で長くなるのは、ヒカリボヤ目【もく】に属する種と、サルパ目【もく】に属する種です。時には、長さが数十mにもなります。
ヒカリボヤは、透明な筒状の体です。真ん中に穴があります。「泳ぐ筒」という表現がぴったりです。この特徴を知れば、他のものと間違えないでしょう。
サルパのほうは小さな樽【たる】状のものが、いくつもつながっているように見えます。一見、刺胞動物のクダクラゲ目に似ます。しかし、よく見れば、触手はありません。
第四に、軟体動物のグループにも「長くて透明なもの」がいます。ソデイカなど、一部のイカの卵塊【らんかい】(卵のかたまり)です。透明な筒状なので、ヒカリボヤと紛らわしいです。が、こちらは自力で泳ぎません。流れに漂うだけです。
こんなにいろいろな生き物がいるとはやはり、海は神秘の宝庫ですね。
図鑑には、ヒカリボヤ、オオサルパが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、「透明で長い海の生き物」を取り上げています。また、謎の生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。