年に二回、花が咲く? エゴノキ

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 エゴノキは、初夏に花咲く木の一種です。公園や庭に植えられます。雑木林【ぞうきばやし】に多い木でもあります。花の時期には、白い花がびっしりと付きます。枝から吊り下がって咲くので、下側からお花見がしやすいです。
 万葉集にも、エゴノキが登場します。「ちさの木」というのがそれです。今でも、エゴノキを「ちさ」と呼ぶ地方があります。奈良時代の人も、この木の花を愛でました。
 この木を身近に見ている方は、「あれ?」と思うかも知れませんね。この木には、年に二回、花が咲く「ように見える」ことがあります。普通の白い花以外に、白っぽく、小さなバナナのようなものが木に付きます。花のようにも、果実のようにも見えます。
 これは、花でも果実でもありません。「虫こぶ」です。専門的には、虫えい【ちゅうえい】または、ゴールgallと呼ばれます。昆虫やカビなどが、植物に寄生することによって、できるものです。寄生された部分が、異様にふくらんで、果実か花のように見えます。
 エゴノキの「小さなバナナ」のような虫こぶには、エゴノネコアシという名が付いています。バナナ状の虫こぶが並ぶ様子を、「ネコの足」にたとえたのですね。
 エゴノネコアシは、エゴノネコアシアブラムシという昆虫が作ります。アブラムシの一種ですね。このアブラムシは、エゴノキの側芽【そくが】に寄生します。側芽とは、枝の脇に付く芽です。寄生された側芽は、ふくらんで、「ネコの足」になります。
 虫こぶの中でも、エゴノネコアシは、有名な存在です。だからこそ、エゴノネコアシなどという名が付けられました。エゴノネコアシアブラムシにも、面白いラテン語の学名が付いています。Ceratovacuna nekoashi【ケラトヴァクナ・ネコアシ】です。
 エゴノネコアシアブラムシは、エゴノキ以外の植物にも寄生します。イネ科のアシボソ、チヂミザサなどです。このアブラムシは、七月頃、エゴノキを離れて、イネ科植物に移ります。晩秋には、イネ科植物から、エゴノキへと戻ります。
 このアブラムシは、エゴノキとイネ科植物と両方がないと生きていけません。なぜ、こんな不便な生活なのでしょうか? この謎は、まだ解けていません。


図鑑には、エゴノキが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、初夏に咲く花を取り上げています。また、「虫こぶ」についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
果実? いえ「虫こぶ」です、イスノキ(2009/10/19)
生き別れの親類が再会? ヤマボウシとハナミズキ(2008/05/19)
日本一の大輪の花、ホオノキ(2006/05/19)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年5月28日 07:01に書いたブログ記事です。

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