食虫目【しょくちゅうもく】とは、どんな哺乳類?

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 生物学の世界では、時々分類が変わります。はなはだしい場合には、一つの分類グループが、まるごとなくなることもあります。「そんなことがあるの?」と、びっくりですね。例として、実際に消えた分類グループを挙げてみましょう。
 食虫目【しょくちゅうもく】とは、哺乳類の中にあった分類グループです。正確には、哺乳綱【ほにゅうこう】食虫目という分類グループでした。
 食虫目に属するとされていたのは、モグラ、トガリネズミ、ハリネズミ、テンレックなどです。「○○ネズミ」という種名のものが多いですが、普通のネズミとは遠縁です。普通のネズミは、齧歯目【げっしもく】に属します。
 一九七〇年代から、食虫目の分類には議論がありました。この頃から、食虫目の解体が始まります。「そもそも、食虫目という名がふさわしくない」という意見があり、無盲腸目【むもうちょうもく】という名が提唱されました。
 けれども、無盲腸目の名は、普及しませんでした。普及する前に、目【もく】の解体が進んだからです。一九八〇年代以降、分子生物学の発達が分類を組み替えました。
 かつての食虫目(あるいは、無盲腸目)は、三つの目【もく】に分割されました。テンレック目【もく】、トガリネズミ目【もく】、ハリネズミ目【もく】です。テンレック目は、アフリカトガリネズミ目【もく】とも呼ばれます。
 これらの目【もく】のうち、日本に分布するのはトガリネズミ目だけです。アズマモグラ、ヒミズ、ジネズミ、ジャコウネズミなどが日本にいるトガリネズミ目です。
 日本の哺乳類のうち、昔の食虫目について知りたいなら、トガリネズミ目を調べればよいわけですね。ところが、それで話は終わりません。
 研究されるにつれ、「トガリネズミ目は、一つの目【もく】にするほどのまとまりがない」と言われるようになりました。例えば、「モグラの仲間とジネズミの仲間とは、目【もく】を分けるほどの差がある」というのです。現在のトガリネズミ目も近い将来、分類が変わるでしょう。生物学の発展には、目が離せません。


図鑑には、元・食虫目【もと・しょくちゅうもく】のオオアシトガリネズミカワネズミサドモグラミズラモグラが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、元・食虫目【もと・しょくちゅうもく】の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タンザニアで、新種の哺乳類を発見(2008/04/16)
ネズミでないネズミがいる?(2007/12/21)
日本はモグラの標本国?(2007/01/26)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年5月 3日 07:07に書いたブログ記事です。

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