スズラン(鈴蘭)は、ランではない?

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 生き物の名前には、紛らわしいものがたくさんあります。近縁ではない種同士で、似た名が付いていたりしますね。
 例えば、スズランなどは代表的です。ラン(蘭)と付くのに、ラン科の植物ではありません。では、なに科に属するのでしょうか?
 「ユリ科」と答える方がいるでしょう。少し前まではそれが正解でした。スズランは、ユリ(百合)に近縁だと思われていました。
 「少し前まで」ということは、現在は違うのですね。スズランの分類は、今なお、議論の最中です。とりあえず、ユリ科ではなくなっています。
 現在、スズランは、スズラン科とされることが多いです。スズラン科は、近年に作られた、新しい科です。この科には、アマドコロ、オモト、ジャノヒゲ、ユキザサなどの種が属します。これらの種も、以前はユリ科に属するとされていました。
 ところが、書籍やウェブサイトによっては、スズランを「ユリ科でもスズラン科でもない」とするものがあります。これは、どういうことでしょうか?
 じつは、スズラン科の分類自体に議論があるのです。「スズラン科というグループは、わざわざ独立させるほどの差はない。他の科に含めてよい」という意見があります。
 スズラン科は、キジカクシ科と近縁です。「スズラン科全体を、キジカクシ科に入れてしまったほうがよい」という考えがあるのですね。このために、スズランやオモト、ジャノヒゲ、ユキザサなどは、キジカクシ科とされることがあります。
 ややこしいことに、キジカクシ科には、いくつかの別名があります。クサスギカズラ科、アスパラガス科などです。スズランは、クサスギカズラ科やアスパラガス科とされることもあるわけです。これでは、普通の人にはわけがわかりませんね。
 こんなふうに、面倒くさいことになったのはなぜでしょう? 植物の分類が、大きく見直されている最中だからです。生物学が発達したおかげです。
 科学は、宗教ではありません。真理を求めて、常に動いています。


図鑑には、ユリ科改めスズラン科のスズランアマドコロオモトジャノヒゲ、ユキザサが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、近年、分類が変わった生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ(2009/09/25)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年5月 6日 07:25に書いたブログ記事です。

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