雑草か食草か? コナギとミズアオイ

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 田植えの季節ですね。田に水が入るといろいろな生き物が現われます。農家の方々にとっては、田の雑草となる植物も生えてきます。
 コナギやミズアオイは、水田の代表的な雑草とされます。どちらも、ミズアオイ科の一年草(一年で枯れる草)です。水田のような水場に、好んで生えます。
 現代日本では、コナギやミズアオイは、厄介な雑草です。けれども、昔は、野菜として、食べられていました。そのために、わざわざ植えていたといわれます。
 じつは、コナギもミズアオイも、「元は日本になかった」と考えられています。大陸から稲作が伝わった時、同時に、日本に来たようです。当時は、もちろん食草として、伝えられたのでしょう。食べ物が少ない時代ですからね。
 はっきりと「いついつに来た」と、記録があるわけではありません。両種が日本に帰化したのは、歴史時代より前です。このような植物を、史前帰化植物といいます。
 コナギもミズアオイも、東アジアに広く分布します。おおむね、水田があるところにはこの両種があります。稲作が広がるにつれて両種とも、分布域を広げました。人間が、せっせと運んだからです。その代わりに、食用にされました。
 両種とも、種子ができる前に、食べ尽くさなければ、また、次の年に生えてきます。イネと一緒に作れる野菜として、重宝されたでしょう。
 現在では、コナギもミズアオイも、食べる話を聞きませんね。雑草として、駆除される一方です。ミズアオイのほうは、絶滅寸前です。食べるどころではありません。
 食べられなくなったのには、それなりの理由があるのでしょう。美味しくない、下ごしらえに手間がかかる、採れる量が少ない、などが考えられます。
 しかし、これは、もったいないことだと思います。コナギもミズアオイも、少なくとも奈良時代から、利用されてきました。万葉集にも、両種が登場するほどです。
 ミズアオイはともかく、コナギのほうは、しつこい雑草だそうです。どうせ生えるものなら、万葉の香りを伝える植物として、何かに利用できるといいですね。

図鑑には、コナギが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、史前帰化植物【しぜんきかしょくぶつ】と考えられるものを取り上げています。また、それ以外にも、古い時代に帰化した生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
モンシロチョウ(紋白蝶)は、日本にいなかった?(2008/04/04)
ハハコグサは、母子草ではない?(2008/02/15)
七草ナズナは、ぺんぺん草(2008/01/07)
などです。
※ハハコグサ、ナズナは、史前帰化植物と考えられています。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年6月 4日 07:50に書いたブログ記事です。

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