刺す海藻? いえ、クラゲです

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 海水浴の季節ですね。今回は、海水浴の時注意すべき生き物を紹介しましょう。
 岩場の周りを泳いだ後で、皮膚が痛んだり、みみず腫れのようになったりしたことはありませんか? 「クラゲに刺された」と思うかも知れませんね。でも、海中を見ても、クラゲらしきものがいないとします。では、何に刺されたのでしょうか?
 クラゲの仲間には、一見、クラゲに見えない種もいます。岩場をよく見てみましょう。鳥の羽根のようなものが、生えていないでしょうか? だとしたら、それに刺された可能性があります。「羽根のようなそれ」は、おそらくクラゲの仲間です。
 羽根に似たクラゲの仲間には、「○○ガヤ」という種名のものが多いです。シロガヤ、クロガヤ、フトガヤなどです。ここに挙げた三種は、どれもヒトを刺します。
 「○○ガヤ」の多くは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】ヒドロ虫綱【ひどろちゅうこう】軟クラゲ目【もく】ハネガヤ科に属します。この仲間は、みなクラゲらしくない姿です。同じヒドロ虫綱には、刺すクラゲとして有名な、カツオノエボシが属します。
 ヒドロ虫綱に属する種が、すべて刺すわけではありません。ヒドロ虫綱には、ノーベル賞で有名になったオワンクラゲも属します。オワンクラゲが刺すとは聞きませんね。
 ハネガヤ科の「○○ガヤ」とオワンクラゲとは、比較的近縁です。ヒドロ虫綱の中で、同じ軟クラゲ目に属するからです。それにしては、ハネガヤ科の種とオワンクラゲとは、似ても似つきませんね。オワンクラゲは、クラゲらしい形です。
 「海藻に似た、刺すクラゲ」については、以前も、このコラムで取り上げています(海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16))。イラモとハネガヤ科の種とは、近縁のように見えますね。ところが、そうではありません。
 イラモは、刺胞動物門の中の、鉢虫綱【はちむしこう】に属します。ハネガヤ科の種とは、綱【こう】のレベルで分類が違います。たいへん大きな違いです。
 分類の違いはさておき、「刺す」点では、イラモもハネガヤ科の種も、注意すべき生き物です。海中の岩場で、それらしいものを見つけたら触らないほうがいいですね。

図鑑には、シロガヤが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、ヒトを刺す刺胞動物【しほうどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
鰹(カツオ)を連れてくるクラゲがいる?(2007/05/14)
電気クラゲとはどんなクラゲ?(2006/08/01)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年8月 2日 07:26に書いたブログ記事です。

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