ススキの下で、何を思う? ナンバンギセル

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 秋、ススキの穂が目立ち始める季節ですね。古来、ススキの穂は尾花【おばな】と呼ばれ、秋の風情を代表するものとされました。
 ススキの根もとを見ると、そこに、愛らしい花を見つけることがあります。ナンバンギセルという種です。ほんのりと淡紅色に染まった花です。キセルのような形です。
 昔の人は、ナンバンギセルにも、秋の風情を感じたようです。万葉集に、ナンバンギセルを歌ったといわれる歌があります。『道の辺の尾花が下の思ひ草』と詠まれます。この『思ひ草【おもいぐさ】』というのが、ナンバンギセルの古名とされます。
 『思ひ草』の正体は、長く謎とされてきました。明治時代の後半に、その謎が解かれました。ナンバンギセルは、主に、ススキの下に生える習性があります。花は、ちょっと首をかしげて、ものを思う人のように見えなくもありません。
 ナンバンギセルは、ススキの下にだけ生えるわけではありません。ススキと同じイネ科の植物や、ミョウガなどのショウガ科の植物の下に生えます。
 なぜ、ナンバンギセルは、イネ科やショウガ科の植物の下に生えるのでしょうか? それは、ナンバンギセルが、それらの植物に、寄生するからです。寄生植物なのですね。
 ナンバンギセルは、葉が退化しています。葉緑体も持っていません。つまり、自力で光合成をして、栄養を作ることができません。他の植物から、栄養を奪って生きています。
 これは、ずるく見えますね。愛らしい外見に似合いません。でも、賢い生き方とも言えます。ススキの下で、ナンバンギセルは、「うまい生き方」を思うのでしょうか(笑)
 ナンバンギセルが寄生しても、ススキなどは、深刻なダメージを受けているようには見えません。けれども、南の島では、事情が違います。
 サトウキビ畑に、ナンバンギセルが大発生して、被害を与えることがあるそうです。サトウキビもイネ科なので、ナンバンギセルが寄生するのですね。
 亜熱帯の島で見ると、万葉集の「思ひ草」という雰囲気ではないでしょう。詩歌のような芸術は、風土や、その土地の動植物に左右されるものですね。

ナンバンギセルススキが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事で、ナンバンギセルが寄生するススキを取り上げています。また、ナンバンギセルと同じく、万葉集に登場する植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「かおばな」の正体は、ヒルガオ(昼顔)?(2010/6/18)
「ねつこぐさ」の正体は、オキナグサ?(2010/03/29)
人間とは持ちつ持たれつのススキ(2006/10/01)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年9月10日 07:47に書いたブログ記事です。

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