ジネズミは、ネズミじゃない?

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 生き物の世界では、「名前や姿が似ていても、分類上はまったく違うグループに属する」ことがよくあります。今回は、その例を紹介しましょう。
 それは、ジネズミという種です。名前に「ネズミ」が付くとおり、外見は、ネズミにそっくりです。けれども、ネズミとは遠縁です。
 普通のネズミは、齧歯目【げっしもく】に属します。対して、ジネズミは、トガリネズミ目【もく】に属します。目【もく】のレベルで、分類が違うのは、遠縁といえます。
 図鑑などによっては、ジネズミを、食虫目【しょくちゅうもく】や、無盲腸目【むもうちょうもく】に分類していることもあります。この事情については、以前のコラム食虫目【しょくちゅうもく】とは、どんな哺乳類(2010/5/3)を参照して下さい。
 ジネズミと同じトガリネズミ目には、オオアシトガリネズミ、カワネズミなどが属します。「○○ネズミ」という種名のものが多いですね。どの種も、齧歯目のネズミに似るからです。種名に、「ネズミ」が付いても、齧歯目とは限りません。注意が必要です。
 ジネズミは、日本の固有種です。世界的に見れば、珍しい種です。でも、日本では、むしろ平凡な生き物といえます。北海道からトカラ列島--九州の南の列島--まで、広く分布します。佐渡島や隠岐【おき】の島、伊豆諸島の新島でも、確認されています。
 平凡なわりには、「目撃した」という人は、少ないです。これは、そもそも、ジネズミの存在が知られていないからでしょう。目撃されても、普通のネズミと混同されてしまいます。ジネズミは、時に人家に巣を作るほど、身近にいます。
 ジネズミには、面白い習性があります。親子でつながって歩くのです。まず、親が先頭に立ちます。その親の尾を、一頭の子がくわえます。その子の尾を、別の子がくわえます。こんな具合に、ずらずらと一列につながります。キャラバン行動と呼ばれます。
 昔の人も、この行動は、目についたのでしょう。「普通とは違う、つながって歩くネズミがいる」と、意識したようです。このために、ジネズミは、妖怪じみた生き物、とされることもありました。現代の私たちが見れば、ほほえましい行動ですね。

ジネズミが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、ジネズミと同じトガリネズミ目【もく】の生き物を取り上げています。また、トガリネズミ目と紛らわしい生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タンザニアで、新種の哺乳類を発見(2008/04/16)
ネズミでないネズミがいる?(2007/12/21)
日本はモグラの標本国?(2007/01/26)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年10月15日 07:17に書いたブログ記事です。

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