日本の南西諸島には、貴重な生き物がたくさんいますね。キノボリトカゲは、その一種です。このトカゲの正式な種名は、定まっていません。それについては、以前、このブログで取り上げましたね
【イグアナ? いえ、キノボリトカゲです(2008/2/11)】。
南西諸島のキノボリトカゲは、数が減っているといわれます。ところが、日本の別の地域で、キノボリトカゲが発見されました。
その地域とは、九州の南部です。今のところ、宮崎県と鹿児島県で発見されています。正確な数は、わかりません。一説では、二万頭ともいわれます。
これは、喜ばしいことでしょうか? 違います。なぜなら、南九州のキノボリトカゲは、人為的に持ち込まれたことがほぼ確実だからです。
生き物の分布を人為的に変えるのは、褒められることではありません。持ち込まれた生き物は、慣れない環境での生活を強いられるからです。
もっと深刻なのは、もともと、その地域にいた生き物のほうです。弱い生き物であれば、それまで敵がいなかった環境に、突然、敵(=外来種)ができるかも知れません。あるいは、同じ食べ物をめぐって、外来種と争いになるかも知れません。
例えば、キノボリトカゲは、昆虫やクモを食べます。南九州の昆虫やクモは、キノボリトカゲという未知の敵に、いきなり対面することになったわけです。ひょっとしたら、このために、絶滅の危機にさらされている昆虫がいるかも知れません。
皮肉なことに、南西諸島では、キノボリトカゲ自身が、外来種の脅威にさらされています。ジャワマングース、グリーンアノールなどの外来種です。
ジャワマングースは、哺乳類です。南西諸島で、キノボリトカゲを捕食しています。グリーンアノールは爬虫類です。キノボリトカゲと、ほぼ同じものを食べます。南西諸島では、キノボリトカゲの食べ物が、奪われる形になっています。
「外来種は、すべて駆除すべき」なら、南九州のキノボリトカゲは、駆除しなければなりませんね。でも、これには、まだ結論が出ていません。難しい問題ですね。
オキナワキノボリトカゲが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、キノボリトカゲを取り上げています。また、外来種の問題も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/08/21)
クマノミの危機、タナゴの復活(2009/02/10)
キノボリトカゲ【台湾のキノボリトカゲ/画像】(2008/08/30)
オキナワキノボリトカゲ【画像】(2008/07/23)
大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/09)
などです。
2010年12月アーカイブ
サザンカ 画像
和名:サザンカ
学名:Camellia sasanqua Thunb. ex Murray
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑には、サザンカが掲載されています。
スイセン 画像
和名:スイセン
学名:Narcissus tazetta L.
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東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑には、スイセンが掲載されています。
ツワブキ 画像
和名:ツワブキ
学名:Farfugium japonicum (L.) Kitam.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑には、ツワブキが掲載されています。
今の日本には、たくさんの外国産植物があります。その中から、今回は、イトランの仲間を取り上げましょう。リュウゼツラン科イトラン属の植物です。
イトラン(糸蘭)は、ランと付いてもラン科ではありません。リュウゼツラン科に属します。リュウゼツラン(龍舌蘭)にもランと付きますが、ラン科とは遠縁です。
イトランの原産地は、北アメリカ大陸の南部です。日本には、観賞用に入れられました。常緑で、大きな葉を付けます。葉の形は、細長い剣状です。
イトラン属は、ユッカ属とも呼ばれます。ユッカ属は、すべての種が南北のアメリカ大陸に産します。もともと日本に自生していた種はありません。
イトランも含め、ユッカ属の植物は、ユッカと総称されます。ユッカの仲間は、イトラン以外に、何種も日本に入っています。キミガヨラン(君が代蘭)、センジュラン(千寿蘭)などの種です。どの種も、姿が似ています。常緑で、剣状の大きな葉を付けます。
ユッカ属は、花に特徴があります。花の時期になると、高さ1m以上にもなる花茎【かけい】が伸びます。そこに、白くて丸い鐘型の花が、多数、付きます。スズランの花を、巨大にしたような感じです。遠くからでも目立ちます。
これだけ目立つ花の後には、どんな果実がなるのでしょうか? 残念ながら、日本では、ユッカの果実は、まず見られません。花粉を運ぶ昆虫がいないからです。
ユッカ属の花粉を運べるのは、ユッカガと呼ばれるガ(蛾)だけです。ユッカガの雌(メス)が、ユッカの雌しべに花粉を付けます。と同時に、卵を産みつけます。ユッカガの幼虫は、ユッカの未熟な種子しか食べません。そうして、成長します。
種子を食べられてしまったら、ユッカのほうが大損ですね? でも、大丈夫です。ユッカの果実には、多くの種子があります。ガの幼虫は、全部は食べきれません。ユッカのほうも、ユッカガのほうも、両方、得をするようにできています。
日本には、ユッカガがいません。ユッカにとっては、大切なパートナーがいないわけです。それでも、花を咲かせる姿はけなげに見えますね。
イトランが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、変わった繁殖の仕方をする植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
植物も性転換する? マムシグサ(2007/06/01)
花が咲かないのに実がなる? イチジク(2006/10/06)
ヒボケ 画像
和名:ヒボケ
学名:Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑↓↓↓↓↓には、ボケが掲載されています。
十二月に花を咲かせる植物は少ないですね。数少ない中にアロエがあります。
アロエとは、アロエ属に属する植物の総称です。アロエ属には、三百種以上あるといわれます。それらのうち、日本で見られるのは数十種でしょう。
アロエ属の植物は、どの種も日本原産ではありません。種によりますが、多くのものは、アフリカ原産です。日本より、ずっと暑い地方の植物です。
暑い地方の植物が、なぜ、こんなに寒い季節に花を咲かせるのでしょうか? これについては、よくわかっていないようです。
もともと暑い地方の植物ですから、寒さには弱いです。日本では、おおむね、関東以南の地域に見られます。温暖な伊豆などに多いですね。
アロエの外見は、サボテンに似ます。けれども、サボテンの仲間(サボテン科)ではありません。また、リュウゼツランとも似ます。しかし、リュウゼツラン科でもありません。
アロエの属する科については、複数の説があります。議論されている最中です。
アロエ属の植物は、古くから、薬用にされました。キリスト教の聖書にも、アロエが登場します。新約聖書の「ヨハネによる福音書」です。
ところが、日本語の聖書を見ると、「どこにも、アロエなんて載っていない」ことがあります。これは、訳し方の違いによります。日本語の「ヨハネによる福音書」では、アロエ【英語でaloe】が、「沈香【じんこう】」と訳されていることが多いです。
沈香とは、ジンコウという種名の植物から取れる香料のことです。ジンコウとアロエとは、まったく違う植物です。でも、なぜか、聖書の時代には、混同されていたようです。その混同が、現在にまで持ちこされています。
先に、多くのアロエは、アフリカ原産だと書きましたね。新約聖書が書かれたのは、アフリカに隣接する西アジアです。聖書のアロエは、アフリカから輸入されたのだと考えられています。聖書によれば、アロエは、キリストの遺体の保存に使われました。
日本のクリスマスの季節に、アロエが花咲くのは面白い偶然ですね。
キダチアロエが掲載されています。ぜひご利用下さい。
カスザメは、海中の天使?(2008/12/01)
ポインセチアはクリスマスの花?(2006/12/14)
聖母マリアと白百合【しらゆり】の関係(2006/05/18)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。
スイセン 画像
和名:スイセン
学名:Narcissus tazetta L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】
スイセンが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ダニといえば、普通は嫌われ者ですね。他の動物の血を吸ったり、アレルギーの原因になったりするからです。
ところが、最近、他の動物の役に立つダニが発見されました。二〇〇八年のことです。
そのダニは、キタドロバチヤドリコナダニという種名です。名のとおり、キタドロバチというハチ(蜂)の巣に棲みます。
キタドロバチは、ミツバチなどと違い、集団生活をしません。単独で暮らします。母親になるハチが、独力で、子のために巣を作ります。このハチの巣に、キタドロバチヤドリコナダニが棲むことは、以前から知られていました。
ダニは、巣の中で、キタドロバチの幼虫の体液を吸って育ちます。これでは、ただの寄生虫に見えますね? でも、通常、体液を吸われても、キタドロバチの幼虫には害はありません。逆に、ダニは、幼虫を守る働きをするとわかりました。
キタドロバチには、恐ろしい敵がいます。その敵を、ダニが退治してくれるのです。
キタドロバチの敵とは、クロヒラタコバチという別の種のハチです。このハチは、キタドロバチの巣に侵入して、キタドロバチの幼虫に卵を産みつけます。クロヒラタコバチの幼虫が孵化【ふか】すると、キタドロバチの幼虫を食べてしまいます。
ここで、ダニの出番です。ダニは、押し入ってきたクロヒラタコバチを攻撃します。おおむね、七匹以上のダニがいればクロヒラタコバチを殺せるそうです。
ダニは、いわば、キタドロバチの用心棒です。キタドロバチの幼虫は、守ってもらうかわりに、自分の体液を与えるわけです。ギブ・アンド・テイクが成り立っていますね。
ダニは、昆虫に似ていますが、昆虫の仲間(昆虫綱【こんちゅうこう】)ではありません。クモ綱【こう】ダニ目【もく】に属するものを、ダニと総称します。
ダニの仲間は、二万種以上いるといわれます。数が多いだけに、暮らし方も多様です。キタドロバチヤドリコナダニのように、他の生き物の役に立つダニは、他にもいるでしょう。こんな面白い生態は、解明が進んで欲しいですね。
過去の記事でも、共生する生き物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/6/22) ※イカと細菌の共生です。
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03) ※キチョウ(チョウの一種)と細菌との共生です。
腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/06/21) ※マルカメムシ(カメムシの一種)と細菌との共生です。
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10) ※エビの一種と魚との共生です。
花が咲かないのに実がなる? イチジク(2006/10/06) ※イチジクとイチジクコバチ(ハチの一種)との共生です。
などです。
イロハモミジ、イチョウ他 画像
和名:イロハモミジ
学名:Acer palmatum Thunb. ex Murray
和名:イチョウ
学名:Ginkgo biloba L.
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.15】
図鑑にはイチョウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
とても嬉しいニュースが、飛び込んできました。「絶滅したと思われたクニマスという魚が、生きていた」というのです。
クニマスは、サケ科の魚です。世界中で、日本の秋田県の田沢湖にだけ分布していました。最後に田沢湖でクニマスが確認されたのは、1940年ころです。それ以来、約70年が経ちました。世界からクニマスは消えてしまったと思われました。
ところで、再発見された場所は、田沢湖ではありません。山梨県の西湖【さいこ】です。富士五湖の一つですね。なぜ、こんな離れた場所に、クニマスがいるのでしょうか?
じつは、1935年ころ、田沢湖から西湖へ、クニマスの卵が持ち込まれたことがあるそうです。その時の子孫が、生き残っていたと考えられます。
クニマスについては、詳しいことがわかっていません。調査が進む前に、絶滅した(と思われた)からです。「サケ科の中で、どの位置に分類されるのか」という、基本的なことさえ不明です。以前から、「クニマスは、独立種なのか?」という議論がありました。
クニマスは、同じサケ科の中の、ヒメマスという種に似ています。このため、「クニマスは独立した『種』ではなく、ヒメマスの『亜種』だ」という意見があります。
いっぽう、「クニマスはヒメマスに似るが、伝承によれば、生態が違う。独立種だ」という意見もあります。ヒメマスの亜種とすれば、クニマスのラテン語の学名は、Oncorhynchus nerka kawamuraeです。独立種ならば、Oncorhynchus kawamuraeです。
この議論には、永遠に決着がつかなと考えられました。クニマスの生きた個体が、もはや見られなかったからです。しかし、再発見のおかげで調査が進むでしょう。
なお、ニュースによっては、「クニマスは、ベニザケの亜種」と説明しています。これは、間違いではありません。ヒメマスとベニザケとは、同じ種だからです。正確には、ベニザケのうち、海へ下らずにずっと淡水で過ごすものをヒメマスと呼びます。
再発見されても、クニマスの将来は、安心できません。おそらく、個体数は、とても少ないはずです。早急に、彼らを保護する手だてが進んで欲しいですね。
過去の記事でも、「絶滅か?」と思われた生き物の再発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミフウズラは、ウズラじゃない?(2009/03/24)
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
シラサギは、日本で普通に見られる鳥ですね。田んぼや川によく立っています。
じつは、「シラサギ」と呼ばれる鳥には、複数の種が混じっています。「シラサギ」という種名の鳥はいません。ただし、カラシラサギ(唐白鷺)という種はいます。
面白いことに、クロサギ(黒鷺)という種名の鳥はいます。名のとおり、黒いサギ科の一種です。ところが、クロサギの中には、全身が白い個体もいます。ややこしいですね。
サギ科に属する種のうち、全身がほぼ白いものを、シラサギと呼びます。おおむね、以下の種が、シラサギと呼ばれます。
それらの種とは、ダイサギ、チュウサギ、コサギです。他に、アマサギもそう呼ばれることがあります。アマサギの冬羽は、全身が白いからです(夏羽には、違う色が入ります)。前に挙げた、カラシラサギや、クロサギの白い個体も、シラサギと呼ばれます。
カラシラサギは、日本では、まれにしか見られません。クロサギの白い個体は、南西諸島に多いです。ですから、日本内地の「シラサギ」は、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギのどれかである可能性が高いです。
「シラサギ」の種の見分け方は、意外に簡単です。体の大きさで、見分けられます。
まず、ダイサギは、圧倒的に大きいです。背の高さは、ヒトの子供くらい(約90cm)あります。ツルと見まごう大きさです。
次に大きいのが、チュウサギです。全長が68cmくらいです。普通のカラスの脚と首を、ぐっと引き伸ばしたくらいの大きさです。
その次が、コサギです。チュウサギを一回り小さくした感じです。全長は、約60cmです。スマートなので、カラスより小さく見えますが、ハトよりはずっと大きいです。
一番小さいのが、アマサギです。コサギより、さらに一回り小さいです。全長は、約50cmです。サギの中では、首と脚が短く、ずんぐりして見えます。
正確には、種の差は、体の大きさだけにあるのではありません。生態も違います。それは、ぜひ、実際に観察してみて下さい。「シラサギ」は、比較的、身近な鳥ですから。
図鑑には、ダイサギ,チュウサギ,コサギ,アマサギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事で、「シラサギ」と呼ばれるサギの写真を載せています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
共存【アマサギ】(2010/06/02) ※アマサギ、コサギなどの写真です。
クロサギ【その3】(2009/06/04) ※黒いクロサギと白いクロサギの写真です。
ユキサギ(2008/05/14) ※日本に分布しない「シラサギ」です。
チュウサギ(2008/02/23)
ちょっかい?(2007/10/04) ※ダイサギとコサギの写真です。
シロとクロ(2006/11/12) ※黒いクロサギとダイサギの写真です。
などです。
シクラメンは、冬の鉢花として日本に定着しましたね。十二月に入る頃、花屋さんの店先を彩ります。近年は、多様な色のシクラメンがあります。
シクラメンという名からして、外来の種であることはわかりますね。この名は、ラテン語の学名に由来します。ラテン語の学名Cyclamenを英語読みにすると、シクラメンとなります。ラテン語読みにすると、「キクラメン」という感じの発音になります。
日本で普通に見られるシクラメンは、大部分がラテン語の学名をCyclamen persicum【キクラメン・ペルシクム】という種です。サクラソウ科キクラメン属に属します。
この種には、日本語名もあります。「ブタノマンジュウ」や「カガリビバナ」という名です。でも、どちらの名も、ほとんど使われません。Cyclamen persicumの正式な日本語名(標準和名)は、定まっていない状態です。
普通は、シクラメンといえば、Cyclamen persicumを指します。
Cyclamen persicum以外にも、キクラメン属の種が栽培されることがあります。最近、日本でも、入手できるようになりました。「原種シクラメン」と呼ばれるのは、だいたい、Cyclamen persicum以外のシクラメンです。
例えば、アキザキシクラメンです。この名が、正式な日本語名(標準和名)です。名のとおり、秋に咲きます。春に咲くシクラメンもあります。ツタバシクラメンなどです。
キクラメン属の種の多くは、地中海沿岸地方が原産です。普通のシクラメンCyclamen persicumも、アキザキシクラメンも、ツタバシクラメンもそうです。
地中海沿岸は、日本とは、気候が違います。最も大きな違いは、冬に湿潤で、夏に乾燥していることです。日本と真逆ですね。
この違いのため、シクラメンが日本に根付くまでには、先人の苦労がありました。夏の高温多湿に耐えきれず、枯れるものが多かったのですね。
現在では、多様な美しいシクラメンを、日本で見ることができます。品種改良と栽培方法の改良が進んだおかげです。冬の日本を、明るくしてくれますね。
シクラメンが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、冬に花が咲く植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
商売は、商売敵の少ない時期に? ヤツデ(2008/11/28
クリスマスローズはクリスマスに咲かない?(2007/12/03)
サザンカとツバキはどう違う?(2006/12/04)
などです。
生き物の名前は、棲む場所を反映することが多いです。例えば、海の生き物で陸上生物に似るものは、「ウミ○○」と名付けられることがありますね。
けれども、たいていの「ウミ○○」は、名の由来となった陸上生物とは遠縁です。まったく違う生き物であることが、珍しくありません。
例を挙げてみますと「ウミシダ」などがいます。陸上生物のシダは植物ですね。ところが、ウミシダは動物です。棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】に属します。
珍しい例として、陸上生物と関係がある「ウミ○○」もいます。ウミサソリです。
ウミサソリは、はるか昔に絶滅した生き物です。名のとおり、海に棲んでいました。現在、陸に棲むサソリの直接の祖先ではないか、といわれます。
ただし、この説には異論もあります。ウミサソリは、サソリの直接の祖先ではなく、カブトガニに近縁だという説などがあります。
ウミサソリが、サソリの祖先ではないとしても同じ節足動物門【せっそくどうぶつもん】に属することは間違いありません。また、姿に共通性があることも確かです。ウミサソリには、尾に毒針を持つ種が多いです。
もしも、ウミサソリがサソリの祖先だとするとサソリは、「最も早い時期に、陸を歩いた動物」かも知れません。シルル紀末期(四億一千万年前ごろ)の地層から、ウミサソリが海岸を歩いた跡が見つかっています。海から陸へ進出したのですね。
現生のサソリには、書肺【しょはい】と呼ばれる器官があります。呼吸するための器官です。ウミサソリの化石を調べたところ、サソリの書肺に似た器官が見つかりました。このことなどから、「ウミサソリは、サソリの祖先」説が唱えられています。
節足動物の中で、サソリが原始的なものであることには異論はありません。四億年以上前に、地球に現われました。昆虫さえ、現われる前のことです。
その頃の陸は、植物が進出して間もないです。陸を歩く動物は、まだ現われていません。サソリは、空白の大地に第一歩を踏み出しました。陸上動物の先達ですね。
図鑑にはマダラサソリが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、サソリを取り上げています。また、サソリに似たサソリモドキや、ウミサソリと近縁かも知れないカブトガニも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サソリ? いえサソリモドキです(2006/09/29)
生きている化石は背泳ぎ上手、カブトガニ(2005/11/23)
サソリの毒はどんな毒?(2005/10/11)
などです。
植物は、どういう仕組みで、紅葉や黄葉をするのでしょうか? これは、解明されています。この説明については、省略させて下さい。ネットのあちこちにありますので。
けれども、「植物がどういう理由で、紅葉や黄葉をするのか?」は、まだ、解明されていません。少なくとも、生き残るのに不利ならば、紅葉や黄葉という現象はなくなっているでしょう。そのことから、何らかの理由はあるのでは、と推測されています。
一つの仮説があります。すべての植物に当てはまるものではありません。しかし、一部の植物では、そのとおりかも知れないと思わせる仮説です。
その仮説とは、「鳥を惹きつけるため」というものです。
植物のうち、多くのものが、種子の散布を鳥に頼っています。鳥に果実を食べてもらい、糞と一緒に種子がまかれることで子孫を増やすことができます。
そういう植物は、鳥に果実を食べてもらえるように工夫を凝らします。とにかく、「ここに美味しい果実があるよ!」と、目立たせなければなりません。
鳥類は、赤い色に、強く反応します。このため、鳥に食べてもらいたい果実は、赤く色づくことが多いです。では、いっそのこと、植物全体が赤くなったら?
これを実現したのが、まさに紅葉ですね。人間の世界でいえば、レストランを宣伝するのに、お店全体をネオンサインで飾ったようなものです。
紅葉の「お店」に、鳥が来たとします。そこに、本当に美味しい果実があれば、鳥は満足するでしょう。ところが、植物の中には、「看板に偽りあり」をやるものがいます。果実に栄養を溜めるのは、負担になるため、これをサボる(笑)植物があります。
例えば、ニシキギ科の植物です。マユミや、ニシキギなどの種ですね。これらの種は、紅葉が美しいので有名です。果実も、赤く色づきます。なのに、果実には、栄養になるところが少ないです。たぶん、鳥にとっては、あまり美味しくないでしょう。
そんな果実でも、ないよりましです。食べ物が少ない冬には、鳥が食べに来ます。
マユミやニシキギは、ずるく見えますね。これはこれで、生き残る技なのでしょう。
図鑑には、マユミ,
ニシキギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、紅葉や黄葉が美しい植物を取り上げています。また、鳥のために、赤い果実を付けると考えられる植物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ナンテンの赤い実は、鳥のため?(2010/01/15)
一度滅びて、復活? ナンキンハゼ(2009/11/02)
日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?(2009/10/07)
ツタ(蔦)は紅葉する?しない?(2006/12/01)
などです。
クロツラヘラサギ 画像
和名:クロツラヘラサギ
学名:Platalea minor
和名:セイタカシギ
学名:Himantopus himantopus
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
沖縄 糸満 【2010.11.12】
図鑑にはセイタカシギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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近年、生き物の中で、外来種が問題になっていますね。外来種とは、もともとある土地にいなかったのに、後から入ってきた種のことです。現在ではもっぱら、人間によって持ち込まれた種を指します。
日本で、身近な外来種としては、アカミミガメがいます。通称、ミドリガメと呼ばれるカメですね。池や川など、淡水域に棲む種です。原産地は、南北のアメリカ大陸です。
日本の淡水域には、ニホンイシガメ、クサガメ、スッポンなどがもともと棲んでいました。日本の池や川にいるカメといえば、たいていこれら三種のどれかでした。
これら三種の数は、ここ数十年で激減しました。それと反比例するように、アカミミガメが数を増やしました。ただし、日本の在来種が減ったのは、アカミミガメのせいばかりではありません。環境破壊のほうが大きな問題です。
今、「ニホンイシガメやクサガメなどの、在来種を守ろう」という動きがあります。
ところが、「これまで、在来種と思われていた種が、外来種かも知れない」という意見が出てきました。具体的に言えば、クサガメのことです。
最近の研究によれば、日本のクサガメのミトコンドリアDNAが、韓国のクサガメと近いそうです。また、江戸時代中期以前には、クサガメらしいカメの記録がありません。これらのことから、クサガメは、江戸時代前期ごろに日本に持ち込まれたというのです。
クサガメと似たニホンイシガメについては、外来種だという意見はありません。この種が日本固有種であることは、間違いなさそうです。
クサガメが外来種だとすると、困ったことになります。外来種を一律に排除すべきなら、クサガメも、アカミミガメと同じ扱いをすべきでしょう。けれども、現在の日本の「外来生物法」では、明治時代より前の外来種は、規制の対象になっていません。
クサガメが外来種だとしても、日本の自然に根付いて、すでに百年以上経っています。そのような種まで、規制の対象にすべきでしょうか? これについては、意見が分かれています。みんなで考えるべき問題でしょう。
図鑑には、クサガメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、クサガメなど、日本の淡水域に棲むカメを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イシガメが絶滅寸前?(2007/11/19)
スッポン(鼈)の故郷はどこ?(2007/02/23)
亀(カメ)は本当に長生きか?(2006/01/02)
などです。