幸せな共生の形、ドロバチとダニ

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 ダニといえば、普通は嫌われ者ですね。他の動物の血を吸ったり、アレルギーの原因になったりするからです。
 ところが、最近、他の動物の役に立つダニが発見されました。二〇〇八年のことです。
 そのダニは、キタドロバチヤドリコナダニという種名です。名のとおり、キタドロバチというハチ(蜂)の巣に棲みます。
 キタドロバチは、ミツバチなどと違い、集団生活をしません。単独で暮らします。母親になるハチが、独力で、子のために巣を作ります。このハチの巣に、キタドロバチヤドリコナダニが棲むことは、以前から知られていました。
 ダニは、巣の中で、キタドロバチの幼虫の体液を吸って育ちます。これでは、ただの寄生虫に見えますね? でも、通常、体液を吸われても、キタドロバチの幼虫には害はありません。逆に、ダニは、幼虫を守る働きをするとわかりました。
 キタドロバチには、恐ろしい敵がいます。その敵を、ダニが退治してくれるのです。
 キタドロバチの敵とは、クロヒラタコバチという別の種のハチです。このハチは、キタドロバチの巣に侵入して、キタドロバチの幼虫に卵を産みつけます。クロヒラタコバチの幼虫が孵化【ふか】すると、キタドロバチの幼虫を食べてしまいます。
 ここで、ダニの出番です。ダニは、押し入ってきたクロヒラタコバチを攻撃します。おおむね、七匹以上のダニがいればクロヒラタコバチを殺せるそうです。
 ダニは、いわば、キタドロバチの用心棒です。キタドロバチの幼虫は、守ってもらうかわりに、自分の体液を与えるわけです。ギブ・アンド・テイクが成り立っていますね。
 ダニは、昆虫に似ていますが、昆虫の仲間(昆虫綱【こんちゅうこう】)ではありません。クモ綱【こう】ダニ目【もく】に属するものを、ダニと総称します。
 ダニの仲間は、二万種以上いるといわれます。数が多いだけに、暮らし方も多様です。キタドロバチヤドリコナダニのように、他の生き物の役に立つダニは、他にもいるでしょう。こんな面白い生態は、解明が進んで欲しいですね。


過去の記事でも、共生する生き物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/6/22) ※イカと細菌の共生です。
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03) ※キチョウ(チョウの一種)と細菌との共生です。
腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/06/21) ※マルカメムシ(カメムシの一種)と細菌との共生です。
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10) ※エビの一種と魚との共生です。
花が咲かないのに実がなる? イチジク(2006/10/06) ※イチジクとイチジクコバチ(ハチの一種)との共生です。
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2010年12月20日 07:25に書いたブログ記事です。

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