四、五年前に「カエルツボカビ症」というものが騒がれましたね。カエルなどの両生類に致命的な病気です。「世界の両生類の多くが、絶滅するかも知れない」などといわれました。この病気について、その後の様子を報告しますね。
カエルツボカビ症は、カエルツボカビという真菌(カビの仲間)によって、引き起こされます。カエルツボカビによる感染症です。ヒトは、この病気にかかりません。
カエルツボカビに感染しても、すべての両生類が、カエルツボカビ症になるとは限りません。感染しても、無症状のものもいます。
「感染しても、発病しない」のは、カエルツボカビに対して、何らかの抵抗力を持つからです。早くからカエルツボカビに接して、一種の免疫ができていると考えられます。そのような両生類は、カエルツボカビの「本来の宿主」の可能性があります。
最初は、アフリカツメガエルというカエルが、「本来の宿主」ではないかと疑われました。アフリカツメガエルは、名のとおりアフリカ原産です。現在では、実験動物として、世界中で飼われています。ペットにされることもあります。
実際に、アフリカツメガエルの多くが、カエルツボカビに感染していることが、確認されました。けれども、アフリカツメガエルは、カエルツボカビ症を発症しません。
これは、「本来の宿主」と疑わせる状況です。発症しないまま、感染したアフリカツメガエルが、世界中に運ばれたとすれば......世界にカエルツボカビ症が広まった理由として、納得できますよね。この説では、カエルツボカビの起源は、アフリカになります。
ところが、最近「この説は違うかも?」と言われ始めました。というのは、日本古来の野生の両生類に、カエルツボカビが感染していることがわかったからです。
その両生類とは、オオサンショウウオです。日本の固有種で、特別天然記念物ですね。
最近の調査によれば、オオサンショウウオは、カエルツボカビに感染しても、発症しません。オオサンショウウオが、「本来の宿主」の可能性があるわけです。
カエルツボカビ症の起源は、日本なのでしょうか? 解明の道は、まだ途上です。
図鑑には、オオサンショウウオなどの両生類が掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、カエルツボカビ症や、オオサンショウウオについて、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カエル・ツボカビ症のその後(2007/12/03)
大山椒魚(オオサンショウウオ)は冬眠しない?(2007/02/05)
世界のカエルが絶滅する? ツボカビ症を防ぐには(2007/01/14)
<カエル・ツボカビ症>国内で初確認 両生類絶滅の危険性も(2007/01/12)
2011年1月アーカイブ
シジュウカラ 画像
和名:シジュウカラ
学名:Parus major
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東京 新宿区 【2011.01.20】
図鑑には、シジュウカラが掲載されています。ぜひご利用下さい。
近年では、かや葺【ぶ】き屋根の家を見ることは、ほとんどなくなりましたね。それでも、多くの日本人は、かや葺き屋根のある風景におもむきを感じるでしょう。
ところで、かや葺き屋根に使われる「かや」とはどんな草でしょうか?
じつは、正式な日本語名(標準和名)を、「カヤ」という草はありません。カヤ―漢字表記は、萱、茅など―とは、複数の種の呼び名です。イネ科のいくつかの種を含みます。
現在では、多くのかや葺き屋根は、ススキで葺【ふ】かれているそうです。このため、「かや」とは、ススキのことだと思われているふしがあります。
実際には、ススキ以外の種も、「かや」と呼ばれます。例えば、カリヤス(刈安)、ノガリヤス(野刈安)などの種がそうです。
カリヤスは、ススキと同じく、イネ科ススキ属に属します。ノガリヤスは、カリヤスに姿が似るためにこの種名が付きました。けれども、カリヤスとは、同じイネ科でも、違う属に属します。ノガリヤス属です。
かつて、カリヤスと、ノガリヤスとは、かや葺き屋根の材料として喜ばれたそうです。ススキよりも、良質の材料とされました。
その理由は、ススキよりも、カリヤスやノガリヤスのほうが細いからです。同じ面積に、ススキよりも、たくさん葺けます。そうすると、隙間が少なくなりますね。このために、雨水がしみにくい屋根になります。長持ちのする屋根になるわけです。
昔の人は、身の回りにある動植物を、どう使ったらよいか、よく知っていました。呼び名は同じ「かや」でも、きちんと区別していたのですね。
イネ科には、正式な種名に「○○ガヤ」と付く種が多いです。チガヤ、カモガヤ、アゼガヤなどです。これらも、みな、昔には、「かや」と呼ばれていたのでしょう。
ややこしいことに、イネ科の草ではないのに、「カヤ」という植物があります。こちらの漢字表記は、榧【かや】です。こちらは、草ではなく、樹木です。イチイ科(学説によっては、イヌガヤ科)カヤ属に属します。混同しませんよう、御注意を。
図鑑には、ノガリヤス、ススキ、チガヤが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、「かや」と呼ばれるイネ科の植物を取り上げています。また、「かや」の草原に棲む動物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
鳥の巣? いえ、カヤネズミの巣です(2009/10/02)
茅の輪【ちのわ】くぐりの「茅」とは、どんな植物?(2007/06/29)
人間とは持ちつ持たれつのススキ(2006/10/01)
池が凍っていても平気!ここ数年では珍しく、池が凍ってました。久しぶりに冬らしいですね。 コサギ 画像
和名:コサギ
学名:Egretta garzetta
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東京 新宿区 【2011.01.20】
図鑑には、コサギが掲載されています。ぜひご利用下さい。
クマザサ 画像
和名:クマザサ
学名:Sasa veitchii (Carrière) Rehder
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東京 新宿区 【2011.01.20】
図鑑には、クマザサが掲載されています。ぜひご利用下さい。
キンクロハジロ 画像
和名:キンクロハジロ
学名:Aythya fuligula
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東京 新宿区 【2011.01.20】
図鑑には、キンクロハジロが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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冬は、バードウォッチングに良い季節です。木の葉が落ちて、見通しが良くなるからです。他にも、いくつか理由があります。日本に来る冬鳥が多いことや、食べ物を求めて人里に来る鳥が多いことなどです。ぜひ、この季節に、バードウォッチしてみましょう。
今回は、バードウォッチング初級者から、中級者へ、レベルアップできる?方法をお教えしますね。鳥の種の見分け方で、やや難しい場合を解説します。
例として、カシラダカという鳥を挙げましょう。カシラダカは、日本では、冬鳥です。夏には見られません。でも、冬には、平凡に見られる小鳥です。人家の庭木や、公園に来ることもあります。全体的に茶色で地味な鳥です。
この鳥は、夏と冬とで、羽毛の模様が違います。知らなければ、別種に見えます。
夏羽と冬羽とで、別種のように見える鳥は、たくさんいます。有名なところでは、オシドリの雄(オス)などもそうです。こういった鳥の種を見分けるには、夏羽と冬羽と、両方を知っていなければなりません。
カシラダカの場合、冬鳥ですから、夏羽を見る機会は少ないです。とはいえ、春先、渡りの直前などには、夏羽を見ることもあります。こういう時、夏羽を覚えていないと、「知らない鳥がいる!?」と、驚いてしまいますね。
また、同じ冬羽や夏羽であっても、違って見えることがあります。
わかりやすい例を挙げましょうか。クジャクです。クジャクは、あの飾り羽を広げた時と、閉じている時とでは、まるで違って見えますね。クジャクほど派手でなくとも、飾り羽を持つ鳥は、多くいます。飾り羽の状態により、別種に見えることがあります。
前記のカシラダカも、小さい冠羽【かんう】(頭の飾り羽)を持ちます。驚いた時などに、冠羽を逆立てます。ヒトが見る時には、冠羽が逆立っていることが多いです。たいがい、カシラダカのほうが、ヒトに驚いているためです。この状態のカシラダカしか知らないと、冠羽が立っていないカシラダカを、別種と見間違えかねません。
レベルアップに必要なのは、ちょっとした知識と、観察力です。誰でもできますよ。
図鑑↓↓↓↓↓には、カシラダカが掲載されています。
過去の記事でも、冬羽と夏羽が異なる鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ライチョウ(雷鳥)は氷河期の生き残り?(2008/01/21)
鴛鴦(オシドリ)は本当におしどり夫婦か?(2006/03/06)
などです。
アオキ 画像
和名:アオキ
学名:Aucuba japonica Thunb.
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東京 新宿区 【2011.01.20】
図鑑には、アオキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
ラッコは、人気がある動物ですね。水族館や動物園で見られます。もともと、日本の北海道沿岸には、野生のラッコがいました。今では、とても数が減ってしまいました。
ラッコの数が減ったのは、ヒトによって乱獲されたからです。ラッコからは、たいへん良い毛皮が取れます。現在のラッコは、国際的に、捕ってはいけない動物です。
ラッコの毛皮は、「哺乳類一、質が良い」などといわれます。なぜ、ラッコは、そのような毛皮を持つようになったのでしょうか?
それは、寒い海で暮らすためです。ラッコが棲むのは、オホーツク海などの、冷たい海域です。ラッコは、冷たい海に入って、食べ物を探さなければなりません。密度の高い毛皮がなければ、こごえてしまうでしょう。
ここまで読んで、疑問に思う方が、いるかも知れませんね。「ラッコの毛皮が良質なら、同じく冷たい海にいるアザラシの毛皮も、そうなんじゃないか?」と。
ところが、アザラシの毛皮は、ラッコのものとは、まったく違います。
水族館や動物園で、アザラシを見たことがありませんか? アザラシの毛皮は、ラッコのように、ぼさぼさしていませんよね。体にぴったりしていて、毛が短いです。冷たい海で役に立つようには見えません。
見た目のとおりアザラシの毛皮は、寒さを防ぐにはあまり役立ちません。では、なぜ、アザラシは、ラッコと同じく冷たい海域で暮らせるのでしょうか?
アザラシは、毛皮の代わりに皮下脂肪で、寒さを防ぎます。陸にいるアザラシを見ると、どの個体も、丸々としていますよね。メタボ体型みたいです(笑) あれは、病気なのではありません。皮下脂肪を溜めているのが正常な姿です。
分類学的に言えば、ラッコとは、哺乳類の中の、食肉目【しょくにくもく】イタチ科に属する一種です。アザラシとは、食肉目アザラシ科に属する種の総称です。
同じ「寒さを防ぐ」機能を実現するのに、ラッコとアザラシとは、違う解答を選びました。なぜ、そうなったのかは、まだ解かっていません。
図鑑↓↓↓↓↓には、ラッコが掲載されています。
過去の記事でも、アザラシ、オットセイなどの海生哺乳類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
野生のオットセイやアザラシに、触ってもいい?(2008/01/24)
白くないアザラシの赤ちゃんもいる?(2006/11/24)
オットセイは日本にいるか?(2006/09/11)
アシカとアザラシはどう違う?(2005/11/04)
などです。
キンクロハジロ 画像
和名:キンクロハジロ
学名:Aythya fuligula
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東京 新宿区 【2011.01.04】
図鑑には、キンクロハジロが掲載されています。ぜひご利用下さい。
寒いですね。少しでも暖まるように、熱帯の生き物の話をしましょう。
熱帯の風景を特徴づけるのは、ヤシの木ですね。普通、ヤシと言って、思い浮かべられるのは、ココヤシでしょう。あの、熱帯の浜辺に生えるヤシの木です。
ココヤシは、ヤシ科の一種に過ぎません。ヤシ科には、三千種以上(!)もの種が属します。ほとんどの種が、熱帯に分布します。
日本には、自生するヤシは少ないです。国土の多くが、温帯にありますからね。
ヤシ科の植物は、栽培されることが多いです。熱帯の雰囲気が味わえるからでしょう。日本では、寒さに強い種がよく栽培されます。シュロ、ビロウなどです。
ヤシ科の種は、おおむねどれも姿が似ます。枝分かれが少ないですね。葉は、頂点のほうにまとまって付きます。一つ一つの葉は、大きくて、羽毛状や掌【てのひら】状に分かれています。ココヤシも、シュロも、ビロウもそうですね。
三千以上も種があるのに、なぜ、こんなに、似た種が多いのでしょうか? それは、ヤシ科の植物が、主に熱帯にあることと関係します。
熱帯では、激しい雨が降ることが多いです。実際に行かれた方なら、御存知でしょう。スコールという、叩きつけるような雨が降りますね。それ以外に、台風や、ハリケーン、サイクロンなどと呼ばれる熱帯性低気圧が来ます。風雨が荒れ狂います。
ヤシの姿は、このような熱帯の気候に、よく適応したものです。枝分かれが少なければ、風雨で枝が折れることはありません。葉は、たくさんの切れ込みがあって、風雨を受け流すことができます。嵐が来ても、葉がちぎれたりするおそれが少ないわけです。
似た適応は、他の熱帯植物でも、見ることができます。例えば、観葉植物の、モンステラです。「大きな葉に、穴の開いた植物」といえば、思い当たるでしょうか? あの穴は、熱帯の強烈な雨だれから、葉を守るためにあります。
ヤシの、あのばさばさした葉にも、ちゃんと意味がありました。熱帯の気候に、よく合ったからこそ、ヤシ科植物は、三千種以上も仲間を増やしたのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、シュロ、ビロウが掲載されています。
過去の記事でも、ヤシ科の植物を取り上げています。また、ヤシ科と紛らわしい植物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ビロウとビンロウとは、違う? 同じ?(2010/01/29)
ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/02)
カラスが、鳥を捕食していました(たぶん、ヒヨドリだと思います)。撮影していて、ここ半年くらいでまたカラスが増えましたね。カラスも生きるのに必死なんでしょうね。 カラス 画像
和名:ハシブトガラス
学名:Corvus macrorhynchos
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東京 新宿区 【2011.01.04】
図鑑には、ハシブトガラスが掲載されています。
海に棲む生き物の中に、ウミウシと呼ばれるものがいますね。殻のない巻貝の仲間です。
殻のない貝といえば、ナメクジを思い出しますね。実際、ウミウシは、英語でsea slug(海のナメクジ)と呼ばれます。ウミウシは、海に棲むナメクジの仲間なのでしょうか?
この答えは、「そうだ」とも、「そうでない」とも言えます。なぜなら、ウミウシには、分類上、多様なグループが含まれることがわかってきたからです。
少し前まで、ウミウシとは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】後鰓亜綱【こうさいあこう】に属する生き物だ、と考えられていました。ところが、近年、この分類は、採用されなくなりつつあります。
どんな研究者でも、「ウミウシが、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】に属する」ところまでは、一致しています。問題は、その先です。
じつは、腹足綱の分類は、大きく見直されている最中です。腹足綱とは、簡単に言えば、巻貝の仲間すべてです。ナメクジも、カタツムリも、サザエも、アワビも、ホラガイも、みんな入ります。つまり、巻貝の分類自体が、見直されています。
二〇一一年現在では、後鰓亜綱というグループ名は、ほとんど使われなくなりました。
どうやら、ウミウシと呼ばれるものには、「巻貝の仲間で、海に棲んでいて、殻が(見え)ない」こと以外には、共通点がないようです。少なくとも、分類上の共通点は、ありません。ウミウシとは、前記の条件を満たす生き物の、通称と考えてよいでしょう。
例えば、アメフラシという「殻の退化した貝」がいます。日本の磯で、普通に見られます。腹足綱の中の、アメフラシ科に属します。目【もく】の分類は、決まっていません。
同じアメフラシ科に属する種に、ウミナメクジという種名のものがいます。名のとおり、外見は、緑のナメクジという感じです。でも、陸のナメクジとは、遠縁です。
逆に、ナメクジに似ないのに、ナメクジに近縁な「ウミウシ」もいます。イソアワモチという種です。普通のウミウシと違い、空気呼吸します。ナメクジと同じですね。最近の分類では、イソアワモチの仲間は、ナメクジと同じ目【もく】にされています。
図鑑↓↓↓↓↓には、ウミウシの仲間のアオウミウシ、シロウミウシ、ミノウミウシ、アメフラシが掲載されています。
過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)
ヤツデ 画像
和名:ヤツデ
学名:Fatsia japonica (Thunb.) Decne. & Planch.
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東京 新宿区 【2011.01.04】
図鑑には、ヤツデが掲載されています。
風邪をひきやすい季節ですね。風邪には、休養が一番効きます。でも、つらい症状は、薬か何かで早く治したいですよね。
現代のように、医療が発達していない時代には、薬草などを使う民間療法がありました。風邪のような平凡な病気には、今でも、いろいろな言い伝えが残っていますね。
民間療法で、「風邪に効く」といわれる植物には、いくつもの種があります。有名なのは、クズでしょうか。クズは、葛根湯【かっこんとう】という漢方薬の成分になります。
クズのように、ちゃんとした薬として、使われていない植物もあります。例えば、タンキリマメという植物などが、そうです。マメ科の一種です。
タンキリマメ(痰切豆)とは、いかにも、薬になりそうな種名ですね。これが、正式な日本語名(標準和名)です。名のとおり、昔は、痰を切る薬草として、使われたそうです。けれども、現在は、漢方薬にも、西洋の薬にも、使われていません。
タンキリマメは、日本で普通に見られる野草です。日本には、近縁な別の種もあります。オオバタンキリマメ(大葉痰切豆)です。同じマメ科タンキリマメ属に属します。
オオバタンキリマメには、トキリマメ(吐切豆)という別名があります。こちらのほうが、正式な種名とされることもあります。トキリマメの語源は、はっきりしません。
タンキリマメにも、オオバタンキリマメにも、赤い莢【さや】の果実がみのります。莢は、やがてはじけます。中から、黒い種子が出てきます。
民間療法では、この種子を、煮て食べたそうです。「中毒した」話は聞きませんから、毒ではないのでしょう。しかし、薬になるかどうかも、実証されていません。
人間の思惑は別にして、タンキリマメや、オオバタンキリマメの本来の目的は、種子を鳥に食べてもらうことです。そのために、はじけた赤い莢と、黒い種子とで、目立つようになっています。鳥に食べられることで、遠くへ運ばれることを狙っています。
「痰を切る」言い伝えには、根拠があるのでしょうか? ひょっとしたら、タンキリマメには、何らかの薬効成分があるのかも知れません。誰かに調べてもらいたいですね。
図鑑には、タンキリマメと近縁な>オオバタンキリマメが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、マメ科の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クズ(葛)の葉は、「うらみ」がましい?(2010/09/03)
エニシダは、魔女の帚【ほうき】になる?(2009/04/06)
藤(フジ)のつるは右巻き?左巻き?(2007/04/19)
節分に豆(ダイズ)をまくのはなぜ?(2006/01/23)
ハギという植物はない?(2005/09/27)
などです。
カイツブリ 画像
和名:カイツブリ
学名:Tachybaptus ruficollis
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東京 新宿区 【2011.01.04】
図鑑には、カイツブリが掲載されています。
お正月ですので、おめでたい話をしましょうか。不老不死の話です。
古くから、不老不死は、ヒトの夢ですね。今のところ、「不老不死のヒトがいる」確実な証拠はありません。他の生き物では、どうでしょうか?
「不老不死の生き物」は、実在します。ベニクラゲという、クラゲの仲間です。一時期、マスコミで騒がれましたから、御存知の方もいるでしょう。二〇〇四年には、ヤワラクラゲというクラゲも、不老不死であることが発見されました。
クラゲの仲間は、みな、不老不死なのでしょうか? そんなことはありません。非常に短い寿命が確認されているクラゲもいます。
クラゲの仲間は、成長段階が、はっきりわかっている種のほうが少ないです。ですから、今後も、不老不死のクラゲが見つかる可能性はあります。もしかしたら、日本近海で、とても平凡に見られるクラゲも、不老不死かも知れません。
例えば、ミズクラゲです。日本の海水浴場に、よく現われますね。生物の教科書にも、よく載っています。成長段階が、はっきりわかっているからです。
ミズクラゲは、卵から生まれて、成長段階ごとに、姿を変えます。それぞれの成長段階には、名前が付いています。卵→プラヌラ→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→親のクラゲ、という順番です。これらのうち、ストロビラの段階に、秘密があります。
ストロビラは、体に、いくつものくびれができた状態です。やがて、くびれの部分から体が分かれて泳ぎだします。泳ぎだしたのが、エフィラです。後には、エフィラにならなかった部分が、海底にくっついて残っています。
この残りの部分が、「不老不死」である可能性があります。残りの部分は死なずに、再び成長することがあるからです。残りの部分が、またストロビラになって、エフィラを生みます。それを繰り返せば、「不老不死」ですよね。
ミズクラゲが、本当に不老不死なのかどうかは、確認されていません。確認されたとしても、私は驚きません。自然の驚異には、限りがないと思っているからです。
図鑑にはミズクラゲが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/8/02)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
などです。
シジュウカラ 画像
和名:シジュウカラ
学名:Parus major
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑には、シジュウカラが掲載されています。
ハクセキレイ 画像
和名:ハクセキレイ
学名:Motacilla alba
※画像をクリックすると大きな画像が見られます。
東京 新宿区 【2010.12.21】
図鑑には、サザンカが掲載されています。
明けましておめでとうございます。今回は、お正月にふさわしく、華やかな花の話をしましょう。洋蘭【ようらん】の仲間、カトレヤ(カトレア)です。
洋蘭の代表のようにいわれるのが、カトレヤですね。カトレヤとは、一種の植物だけを指すのではありません。ラン科カトレヤ属に属する種を、カトレヤと総称します。
カトレヤ属の野生種は、現在のところ、四十種ほど見つかっています。これら以外に、栽培品種が、数え切れないほどあります。カトレヤ属の野生種同士を交配して、作られたものです。花屋さんの店先にあるのは、栽培品種がほとんどです。
カトレヤ属以外の種が、カトレヤと呼ばれることもあります。ラン科の中で、カトレヤ属に近縁で、姿も似るものたちです。ブラッサボラ属、レリア属、ソフロニティス属に属する種です。園芸の世界では、これらの属の種も、まとめてカトレヤと呼ばれます。
ところが、ややこしいことがあります。カトレヤ属、ブラッサボラ属、レリア属、ソフロニティス属の種は、互いに交配することができます(!) 属をまたいで作られた栽培品種が、たくさんあります。これらの品種も、花屋さんで、普通に売られています。
自然の世界では、違う種が交配すること自体が、珍しいですね。ちゃんと子が生まれたとしても、その子には、生殖能力がないことが多いです。
例えば、ラバという動物がいますね。ウマとロバの間に生まれるものです。ラバには、通常、生殖能力はありません。まれに生殖能力があると、ニュースになるほどです。
ウマとロバとは、同じウマ属に属します。同じ属の種同士で交配しても、三世代めができるのは、難しいわけです。まして、属が違えば、もっと縁が遠いです。属が違うもの同士では、交配できないのが普通です。
その点、ラン科の植物は、変わっています。属が違っても、交配できるものが多いです。しかも、それらの属間雑種にも、生殖能力があります。三世代め、四世代めと続きます。新たな属が、どんどんできているようです。
なぜ、ラン科は、そんなことができるのでしょうか? 未解明の謎です。
図鑑にはカトレヤ・ラビアータが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事で、カトレヤと同じラン科の植物を取り上げています。また、ラン科のランと紛らわしい植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
スズラン(鈴蘭)は、ランではない?(2010/05/07)
紫蘭【シラン】(2008/04/24)
イグ・ノーベル賞の、バニラ【Vanilla】の研究とは?(2007/10/18)
などです。