芝【しば】と柴【しば】との違いは?

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 日本の昔話を聞いて、疑問に思ったことがありませんか? よく、「お爺さんは山へ、しば刈りに」と語られますね。あの「しば」とは、何でしょうか?
 お爺さんが刈りに行く「しば」は、漢字で書けば、「柴」です。芝生の「芝」とは違います。柴【しば】とは、小さい木のことです。特定の種を指す言葉ではありません。
 昔は、柴を刈りに行くことが、普通の労働でした。薪【たきぎ】などにするためです。
 では、芝生の「芝」のほうは、どんな植物でしょうか?
 じつは、芝【しば】のほうも、一種だけを指す言葉ではありません。丈の短い草のことを、「芝」と総称します。そのうえ、ややこしいことに、正式な日本語の種名として、「○○シバ」と付く種が、いくつもあります。しかも、互いに近縁とは限りません。
 それらのうちで、有名なのは、正式な日本語名(標準和名)を、シバという種でしょう。イネ科シバ属に属する種です。北海道から沖縄まで、日本に広く自生します。
 標準和名シバは、伝統的に、日本の芝生に使われてきました。イネ科の他の種も、芝生に使われます。コウライシバ、コウシュンシバ、ギョウギシバなどの種です。
 コウライシバと、コウシュンシバとは、シバと同じくイネ科シバ属です。ギョウギシバは、イネ科ギョウギシバ属に属します。これら三種は、どれも、日本に自生する種です。他に、日本に自生しない種を使って、芝生を作ることもあります。
 芝生を作るには、それぞれ、その環境に合わせて、種を選びます。どこの芝生も同じ種、というわけではありません。複数の種を、一か所の芝生に使うこともあります。
 園芸業界では、標準和名シバのことを、野芝【のしば】と呼ぶようです。園芸店で高麗芝【こうらいしば】と呼ばれるのは、ほとんどが、標準和名コウライシバではなく、「コウシュンシバ」のほうです。紛らわしいですね。
 標準和名コウライシバは、園芸店では、本高麗【ほんこうらい】、キヌシバなどと呼ばれます。同じように、園芸店では、ギョウギシバをバーミューダグラスと呼んだりします。園芸用語と、生物学で使う言葉とは、往々にして異なります。注意が必要ですね。

図鑑には、シバギョウギシバが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、イネ科の植物を取り上げています。また、イネ科の植物に依存して暮らす生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
<カヤという草はない?(2011/01/28)
鳥の巣? いえ、カヤネズミの巣です(2009/10/02)
茅の輪【ちのわ】くぐりの「茅」とは、どんな植物?(2007/06/29)
クモにも母性愛がある? カバキコマチグモ(2007/05/09)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2011年5月20日 07:55に書いたブログ記事です。

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