竜の胆【きも】が薬になる? リンドウ

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 植物の中にも、「竜」の名が付く種があります。今回は、その一種を取り上げましょう。リンドウ(竜胆)です。日本の東北以南の草原に、自生します。
 リンドウの花は、秋の風情を表わすものとして、愛されてきました。『枕草子』や『源氏物語』にも、「りんだう」(リンドウ)が登場します。どちらも、秋の場面です。
 リンドウという名は、漢字名の「竜胆」を、「りゅうたん」と読んだことに由来します。「りゅうたん」がなまって、「りんだう」、「りんどう」になりました。
 こんな愛らしい花の植物に、なぜ、「竜胆」などと、大仰な名が付いたのでしょうか? これは、リンドウの根に原因があります。リンドウの根は、漢方薬に使われます。薬効成分があるのですね。その成分は、とても苦い味がします。
 根の苦い味を、竜の胆に譬えたのだそうです。竜は、もちろん、架空の生物ですが、その胆は、極めて苦いものと考えられたようです。
 平安時代より、もっと古い時代には、リンドウは、「ゑやみぐさ」【えやみぐさ】と呼ばれました。「ゑやみぐさ」の意味については、いくつかの説があります。
 一つの説は、やはり、根の苦さに由来するといいます。あまりに苦いため、「根をなめると、笑み【ゑみ】が止まってしまう」から「ゑやみ草」だというのです。
 別の説では、「ゑやみ」は、「疫病を止める」意味だといいます。薬効に注目した説ですね。けれども、現在の科学では、「リンドウの根には、疫病を止めるほどの作用はない」とされています。医療が未発達の時代には、疫病に処方されることもあったでしょう。
 漢方薬に使われるのは、リンドウの中でも、主に、トウリンドウ(唐竜胆)と呼ばれる亜種です。日本のリンドウと同じ種ながら、亜種が違います。トウリンドウは、中国大陸・朝鮮半島・日本の対馬に分布します。
 リンドウの苦みについては、面白い話があります。イタリアのお酒カンパリや、フランスのお酒スーズの苦みは、リンドウの一種、キバナリンドウの成分によるといわれます。日本風にいえば、これらは、「竜の胆のお酒」でしょうか。
図鑑には、リンドウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、漢方薬にされる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ナンテンの赤い実は、鳥のため?(2010/01/15)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/05/04)
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)
茅の輪【ちのわ】くぐりの「茅」とは、どんな植物?(2007/06/29)
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などです。

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このページは、松沢千鶴が2011年12月 8日 07:53に書いたブログ記事です。

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