古代の「はじかみ」の正体は?

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 古代と現代とで、生き物の名前が違うことは、よくあります。古文書を読む場合には、生き物の名前に注意しなければなりません。現代と同じ名が登場しても、違うものを指していたり、馴染みのものが、現代とは違う名で呼ばれていたりするからです。
 例えば、「はじかみ」と呼ばれる植物があります。古事記や日本書紀に登場します。現代には、正式な種名(標準和名)をハジカミという植物は、ありません。この名は、現代の何という植物を指すのでしょうか?
 古事記や日本書紀の「はじかみ」は、サンショウ(山椒)だとされます。あの、香辛料になるサンショウですね。香辛料にされるのは、サンショウの果実です。
 ところが、古典に登場する「はじかみ」が、必ずサンショウだとは、限りません。他の植物を指すこともあります。それは、ショウガ(生姜)です。
 ショウガは、皆さん、御存知でしょう。スーパーで、普通に売っていますね。やはり、食用になる植物です。食用にされるのは、ショウガの根の部分です。
 サンショウと、ショウガとは、外見が全く違いますね。サンショウは樹木ですし、ショウガは草です。分類上も、遠縁です。サンショウは、ミカン科サンショウ属の一種です。ショウガは、ショウガ科ショウガ属に属します。
 こんなに違う植物同士が、なぜ、同じ名で呼ばれたのでしょうか? その答えは、味です。サンショウの果実にも、ショウガの根にも、辛味がありますね。古代には、辛味がある植物を、まとめて「はじかみ」と呼んだようです。
 「はじかみ」の語源については、諸説があります。決定的な説は、ありません。
 サンショウは、日本の野山に自生します。対して、ショウガは、熱帯アジアのどこかが原産地だとされます。遠い昔に、人間によって、日本列島に持ち込まれました。
 日本で、最初に「はじかみ」と呼ばれたのは、サンショウでしょう。日本に元からある植物だからです。後から来たショウガは、サンショウと区別するために、「くれのはじかみ」(=外国の辛い植物)と呼ばれることがありました。
図鑑には、サンショウ,ショウガなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、現代と違う名で呼ばれた植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
古代の真木【まき】の正体は?(2012/02/17)
古代の「ははそ」の正体は?(2010/08/13)
ケヤキは、古代の聖樹?(2010/07/09)
ニワトコは、庭の薬箱?(2010/06/23)
「つまま」の正体は、タブノキ?(2010/06/11)
などです。

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2012年6月29日 07:20に書いたブログ記事です。

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