平家の怨霊が、ヘイケガニになった?

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 ヘイケガニ(平家蟹)は、有名なカニの一種ですね。平家の怨霊がカニになったという話で、知られます。そんな話が生まれたのは、このカニの背中(甲羅)に、ヒトの顔に似た模様があるからです。怒ったヒトの顔に見えます。
 むろん、「怨霊がカニになった」科学的な証拠は、ありません。では、なぜ、ヘイケガニの背には、ヒトの顔に似た模様があるのでしょうか?
 じつは、多くの種のカニに、ヒトの顔に似た模様があります。例えば、ヒライソガニ―磯で、普通に見られる種です―の甲羅にも、人面模様があります。ヒライソガニなど、ほとんどのカニは、うっすらとしか模様が見えないため、騒がれないのですね。
 ヘイケガニは、たまたま、極端に模様がはっきりしています。人面模様は、カニの筋肉の付き方にしたがって現われます。筋肉の付き方が、甲羅にくっきり反映されると、「人面」になります。筋肉の発達したヒトの、腹の筋肉が、割れて見えるようなものです。
 ヘイケガニの人面模様は、何かの役に立っているのでしょうか? 海の底で、あの模様で敵を脅すなら、面白いですね。ところが、実際の暮らしぶりは、それとは正反対です。普段、生きているヘイケガニは、あの模様を見せません。
 ヘイケガニと、その近縁種(ヘイケガニ科のカニたち)とには、面白い性質があります。背中に、貝殻などを背負って暮らすのです。種によっては、ヒトデやウニやナマコを背負うものもいます。なぜ、こんな不自由そうなことをするのでしょうか?
 それは、カモフラージュのためと考えられています。「自分はカニではない」と見せかけて、敵の目を逃れようというわけです。
 ヘイケガニ科のカニは、よく見ると、脚の数が足りません。はさみの付いた脚を入れても、六本しかないように見えます。けれども、もっとよく見ると、小さな四本の脚が付いています。この四本の脚は、貝殻などを背負う、専用の脚です。
 武士の名が付くわりに、ヘイケガニ科のカニたちは、臆病ですね。でも、これも、生きる知恵の一つです。無駄な争いはしない、ということでしょう。

過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。また、平家に関わる名の生き物や、人面模様のある生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/08/21)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/01/30)※タカアシガニの背にも、うっすらと、ヒトの顔に似た模様があります。
実盛虫【さねもりむし】の正体は、ウンカ?(2008/08/06)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2012年6月 4日 07:37に書いたブログ記事です。

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