フォッサ・マグナ要素の植物とは?

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 日本の植物の中には、時おり、不思議な分布を示す種があります。分布の広がりを妨げる障壁がない(ように見える)のに、特定の地域にだけ分布する種です。
 実例を挙げてみましょう。イボタヒョウタンボクです。この木は、以前、このブログで、少し触れましたね(ヒョウタンボクに、ヒョウタンは実らない?(2012/10/26))。。
 野生のイボタヒョウタンボクは、長野県・山梨県・静岡県の山岳地帯にしか、ありません。なぜ、こんなに限られた地域にしか、分布しないのでしょうか? これには、地質学的な要素が、からんでいます。日本列島の成り立ちと、関係があります。
 フォッサ・マグナという言葉を、聞いたことがおありでしょうか? 日本列島の真ん中あたりにある、大地の裂け目です。裂け目といっても、普通は、人間が見ても、わかりません。規模が大きすぎるからです。あくまで、地質学的な意味の「裂け目」です。
 フォッサ・マグナの範囲は、本州の新潟県・長野県・山梨県・静岡県・神奈川県あたりです。イボタヒョウタンボクの分布は、このフォッサ・マグナの範囲と、ほぼ重なっています。このような植物を、「フォッサ・マグナ要素の植物」と呼びます。
 イボタヒョウタンボク以外にも、フォッサ・マグナ要素の植物は、存在します。フジアザミ、マメザクラ、ランヨウアオイなどの種が、そうだといわれます。
 これらの植物は、互いに近縁とは限りません。例えば、イボタヒョウタンボクが、スイカズラ科なのに対して、フジアザミはキク科です。マメザクラはバラ科で、ランヨウアオイは、ウマノスズクサ科です。互いに遠縁なのに、なぜ、似た分布なのでしょうか?
 それは、何万年か前の火山活動と関係します。フォッサ・マグナは、火山活動が活発な地域です。昔、大規模な火山活動が起こり、ここに生えていた植物は、ほぼ全滅してしまいました。その後に、いち早く、空いた環境に入り込んだ植物がありました。
 その植物が、今の、フォッサ・マグナ要素の植物の祖先です。火山活動で荒れ果てた場所に、適応しました。フォッサ・マグナ要素の植物たちは、荒れ地に一番乗りした、開拓者ですね。開拓者たちは、いまだに、最初に獲得した土地に、固執しているようです。

図鑑には、フォッサ・マグナ要素の植物のイボタヒョウタンボク,フジアザミ,マメザクラ,ランヨウアオイが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、不思議な分布の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
コウモリの分布の謎(2012/05/21)
謎多き魚、アカメ(2012/03/05)
仲間は、地球の裏側に? アケビ(2011/10/14)
ヨーロッパ独りぼっち? レンギョウ(2010/03/12)
生き別れの親類が再会? ヤマボウシとハナミズキ(2008/05/19)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2012年11月 2日 07:55に書いたブログ記事です。

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